- これからは探求の時代 - http://bbs.kyoudoutai.net/blog -

【企業が農業に参入するのは何で?】第十三弾 ~コラム①:食料自給率が低いのは何で?~

こんにちは、chiueです
みなさんは「農業問題」と聞いて何を思い浮かべますか?
「食料自給率」「食の安全」「後継者問題」「耕地面積の減少」・・・
いろんな問題がありますよね。
この中でも特に世論を賑わせているのが「食料自給率」ではないでしょうか。
低い低いと連呼されていますよね^^;
「食料自給率」が「低い」ってことは分かっても、
結局、何が問題で、どっちの方向に向かえばいいのか、どこに可能性があるのかは一向に見えてこない気がします。
「指標」ってみんなをやる気にさせ 🙂 、もっといい方向へ向かわせるためのもの のハズ。
そんな「食料自給率」の問題点と今後の可能性について追求していきたいと思いますv
将来、食料自給率が上昇する可能性はあるのか!?
↓↓続きもぜひ読んでくださいねv


ありがとうございます
では、まずは「食料自給率」の問題点から。
■食料自給率が低くて得をするのは、誰か?
一般に、食料自給率が低く海外輸入に頼る日本は、海外に対して強気な態度を取れないと言われます。
日本の食料自給率が低いと、得するのは海外だ・・・と思っていたのですが、実は他にもいたのです

低い食料自給率をテーマにした報道、特集が連日マスコミを賑わせている。
自給率39%! 食料の6割以上を海外に依存する超輸入大国! 世界で食料争奪戦! ニッポンの食は大丈夫か? ”担い手がいない”農業崩壊寸前……。今年農水省が17億円の予算(前年ゼロ)を使って展開する自給率広報戦略に、メディアが乗った。
国民の危機感を煽れるテーマは売れる
自給率向上対策を名目にした予算維持・拡大(今年166億円、65億円の前年比255%)を狙う農水省とメディアの思惑が一致した格好だ。
従来から自給率向上運動を展開していた農協も、国の予算激増に連動してその勢いを加速させている。
月刊『農業経営者』2008年10月号より [1]

そう。日本の食料自給率が低くて喜ぶのは海外だけではありません。
農水省マスコミ・メディアの思惑があったんです!!
政府広報・マスコミで不安感を醸成しておいて、
政府の世論調査で「食料自給率、国民の9割以上が『高めるべき』」と発表する。
こうやって堂々と国の予算(国民の税金)を消費していくツールとして利用しているのが「食料自給率」なのですね 👿
ちなみに、「食料自給率向上のための集中重点事項の取組について [2](農林水産省)」には、関連予算として以下の項目が挙げられています。

食料自給率戦略広報推進事業(新規):2,000百万円
新規米加工品需要開発事業(新規):120百万円
粗飼料増産未利用資源活用促進対策事業(新規):605百万円
国産粗飼料増産対策事業(拡充):1,989百万円
粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発(拡充):606百万円の内数等
エコフィード緊急増産対策事業(新規):1,030百万円等
加工・業務用対応型園芸作物生産流通拡大事業(拡充):60百万円
強い農業づくり交付金(継続):30,298百万円の内数
食料産業クラスター展開事業(継続):609百万円
にっぽん食育推進事業(組替):3,095百万円
みなぎる輸出活力誘発事業等(拡充):輸出促進対策総額2,453百万円

広告費、技術開発、交付金、なんたら事業・・・。日本の農業にどれほどの効果があったか、ぜひ現場の声を聞きたいところですね
■食料自給率の中身は?
次に、政府がそこまで広報する「食料自給率」の計算方法や中身を見てみましょう。
ここで問題にしているのは、カロリーベースの自給率です。
(ちなみに金額ベースの自給率は約70% すごいですよね

率の分母になるのが、国民一人一日当たりの供給カロリー。国産に輸入を加えた国内消費仕向量を品目別に熱量換算し、人口数で割る。そのうち、国産でまかなわれる供給カロリーの比率が自給率だ。
2006年、全供給カロリーが2548kcalで国産でまかなっているのが996kcalだという。996÷2548で39%というわけだ。
しかし、輸入や実際はロスされたものを含む全供給カロリーをベースにして、国民が望む”自給”という概念に答えが出せるのだろうか。
カロリーが過剰なゆえに、ダイエットブームやメタボ対策が流行り続けているのが今のニッポンである。
ここから大量の食品廃棄物も発生している。
79%も自給率があったとよく引き合いに出される1960年と2005年を比較してみると、
実に、1人1日当たり平均2291kcalから2573kcalと300kcal近くも増えている(重量換算では国民1人1年当たりの輸入量は356㎏も増加した計算になる)。
同じ自給率といっても、このように輸入購買力の向上によって供給カロリーの分母がこれだけ大きくなれば、国産の比率=自給率は過少評価されてしまう。
月刊『農業経営者』2008年10月号より [1]

ちなみに、日本の廃棄食料は推定30%と言われています。廃棄食料の増減で変化してしまうんですね
そこで、月刊『農業経営者』の編集部では、廃棄食料を除いた計算方法を提唱しています。

国民が自給率と一般に理解しているのは、健康に生活するのに必要な食料が身近な国産でどれだけまかなえているかではないか
輸入が増えた減ったの話ではあるまい。首相自ら指揮する自給率向上政策になぜこんなに現実離れした数式を使うのか。
できるだけ小さくみせたい農水省の情報操作だとしたら納得がいく。 
ならばと、自給率を厚労省が定める健康に適正な「食事摂取カロリー」を基準に編集部で試算しなおしてみた。
年齢別性別の適正基準に対しその人口分布を厳密に当てはめてみると、国民一人一日当たり1805kcal(男性2012 kcal、女性1599kcal)となる。
国産供給の1013kcalをそれで割ると、自給率は55%にもなる
実際の「摂取カロリー」(最新05年版の国民健康・栄養調査)をベースにしても同様の結果が出る。
摂取1904kcalに対し、自給カロリーは54%を占める。
双方とも、政府が定める2015年度目標45%を軽々と超え、福田首相が先日、農相に「工程表」を指示したその次の政策目標50%も一気に突破したことになる。
めでたしめでたし、である。これがいたずらに食料不安を抱かせず、常識的な理解に即した自給率の数字と言えるだろう。「(同上) [1]

軸になるのは「本当に必要な供給カロリー」。必要か否か、その判断を加えるだけでこんなにも違うんですね!
農水省は政府全体の統計担当者の約7割(4000人)を抱え、統計予算の3割を使い、自給率等の資料作りに励んでいると言われています。
だったらもっとみんなの役に立つ指標を本気で追求して欲しい!と想うのは私だけではないはず。
こうやって調べていくと「食料自給率」という指標に活力を感じない理由上昇していく可能性が一向に見えない理由が分かった気がします。
もっと他にみんなの活力をUPさせる指標がありそう!と思いませんか??
そこで次回は『現在の食料自給率に代わる新しい指標の可能性』について追求します。
お楽しみに~

[3] [4] [5]