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共認時代の金融機関の役割は?~後編~

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記事前編 [1]中編 [2]を通じて、金融業界の不透明な問題を解き明かしてきました 😮
これまで、市場拡大を理由に、国の借金を増大させ、世界規模の経済危機の元凶となっているにもかかわらず、自利のみを追求する姿勢が浮彫りになりました
そして、現在の金融システムのほぼ全てが、実は、国際金融資本家たちが大衆から搾取するために都合のいいシステムとなっていることも明らかになりました
現在の金融機関は、全く大衆の期待に応えられていないどころか、このままでは、市場の崩壊と共に、金融機関も共倒れしていくことは十分に予想されます
後編では、これからの時代に金融機関どのようなことが期待され、どのような姿になっていくのか 具体的に考えていきたいと思います 😮


●共認時代の社会像
まずは、近未来の社会像はどのようなものか考えて見ます。
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そして、2011年、原発災害を契機に、節約志向や食抑意識は急速に顕在化しています。また、’08年のリーマンショック、’11年の大震災を経て、誰もが市場の終焉を潜在的に感じ取っており、いざとなったら自分たちで何とか生活していくという意識、自分たちでできることは自分たちで担っていくという意識=「自給志向」も強く顕在化し始めています
このような意識潮流の背後には、市場からの脱却(≒脱金貸し)の意識が潜在しています
ですから、将来、大衆期待の中心は、食料やエネルギーの自給、適正規模での集団自治など、「自分たちの生きる場を自分たちでつくる」ための産業や社会システムを構築し自ら担っていくことに大きく移行していくでしょう
そのような社会において、企業に期待される役割は、皆が必要だと認める仕事を分担し、地域や社会を支えてゆくことだと言えます。そして、企業は大衆の期待に応える形で生産を担い大衆は日々の生産活動に対する評価や感謝として代金を支払うというのが、共認時代の経済活動の姿ではないでしょうか 😛
参考 実現論:序7(中) 企業を共同体化し、統合機関を交代担当制にする [3]
●共認社会に求められる金融機関の機能
前半の記事で扱ったように、現在の金融システムは、利率の操作や複雑な投機商品といった不透明な仕組みで相手を騙し、大衆からの掠め取りによって、自らは労せず儲けを生み出すようなシステムです。しかし、上記のような共認社会において、そのようなシステムは大衆の期待にそぐわないことは明らかであり、敬遠され、見放されていくものでしょう
一方で、社会に必要な生産が分担され、生産活動が行われている以上、金銭のやり取りは発生しますし、生産のための資金需要や、資金の貯蓄、交換のための決済なども必然的に発生するでしょう。そこに本来、金融機関が担うべき機能もあるのだと思います。
上記の大衆期待と生産・消費の関係から考えると、求められる役割としては、預金機能決済機能貸付機能に大別されるでしょう
<預金機能>
日常生活のなかでは、病や怪我など不測の事態や、冠婚葬祭などまとまったお金が必要になる場合に備えることが必要となりますし、企業の生産活動においては、やり取りされる金額や貯蓄額も大きくなります。
日常生活や企業運営を安心して営んでいくために預金機能は必要となる機能でしょう。
<決済機能>
日常のあらゆる場面で、交換の媒体としての紙幣の役割は生じます。特に企業間の取引、税金の徴収など、高額な支払いや一度に多数の決済を、当事者間で直接やり取りするのは、あまりにも非現実的です。
金融機関の決済業務は、日々の決済を円滑に進めるための重要な機能だといえます。
<貸付機能>
例えば、新エネルギーの開発・研究などは利益に直結しませんが必要な仕事です。また中小企業の初期投資など企業規模に比べて非常に多額な資金が一度に必要となる場合もあります。このような場合、一時的に資金を提供する仕組み=貸付機能が必要です。また、資金的に余力を持つ個人が、本当に必要な仕事や活動に支援してゆきたいという大衆期待に応えるための仕組みもあわせて必要となるでしょう 😮
●経済活動の潤滑油、活性化を支援する役割
共認社会では、人々が活力をもって生産に携わり、充足することができる生産活動が期待されています。
これからの金融機関には、預金、決済、貸付を通じて、間接的に生産活動を支援し、充足と活力の潤滑油となることが期待されている役割ではないでしょうか
特に貸付機能については、現在のように出資者や大企業を優先し、投資利益を生みだすことを至上命題とするのではなく、みなの善意として資金を集め、たとえ利息配当が微々たるものor無しだったとしても、本当に必要な仕事を実現させていくために、出資者の持つ余力を有効活用していくというスタンスが求められます 😛
●金融機関のあるべき姿
投資で利益をほとんど得られないとすれば、現在のシステムでは、金融機関は企業として存続していくのは無理でしょう。金融機関として存続し、社会的役割を担っていくためには、どのような収益システムを実現していけばよいのでしょうか。
・安心・安全の対価としての手数料
銀行が投機で得た利益を元に、預金者に対して利子を支払い、預金者が利子を当然のごとく要求するようなシステムは、双方が何もせずとも利益を得る不自然なシステムだといえます 😡
安全に資産を守りたいという期待にまっすぐ応えるならば、決済と同じように、預金についても手数料をとる仕組みが考えられます。
例えば預金額に応じて年間何%といった形で手数料を設定し、預金された金額は、徐々に減っていくことになりますが、預金者が自らの資産の安心・安全に対して支払いを行うというのはまっとうなシステムといえます。
中編で触れた「究極的には利子の廃止」も可能となり、健全な金融システム構築の足がかりとなるのではないでしょうか
・みんなの期待を集めた貸出機能
融資や投資についても、現在は投機的色合いが強く、あくまで金融機関自らの利益のために行われていますが、その結果、大企業を優遇し、本当に必要なところに資金が回らないといった状況を生み出しています。しかし、共認社会では、必要な仕事をみんなで応援していきたいという期待も強く顕在化しているでしょう。
ですから、それに応える貸出し機能としては、みんなの期待という形で資金を集め、それを媒介するための手数料として、金融機関が利を得るというシステムも考えられます。
このシステムでは、金融機関は、情報の収集・発信力に加え、貸出した相手を勝たせていくために導いていく能力や、本当に社会にとって必要な仕事かどうかを見極め、発信していく認識力も期待されます。
・預金機関と貸出機関を分離
さらには、「安全に資金を守る」という期待と「必要な仕事を応援したい」という期待にまっすぐ応えていくのであれば、預金機関と貸出機関を分離し、大衆や企業が預け入れるお金の意味を明確に分けた形で金融機関の役割を設定することも可能性として考えられます。利用者は、預金機関に対しては、安全・安心の対価として手数料を支払うという形ですし、貸出機間であれば、その機関の株式購入や貸出機関を媒介した出資という形で資金的な援助を行い、その手数料が貸出し機関の利益となります。
これによって、現在のような金融機関の不透明な運営はできなくなりますし、お金がお金を生み出すような不健全さも払拭できるでしょう。
また、出資者が応援したくなるような企業・産業を発掘しその必要性を、貸出機関が示せるかどうかによって、貸付機関への高い評価圧力を形成することもできます。
このように金融機関の仕事が、しっかりとお金の使い道を見定め、何に役立てていくかを導いてゆく仕事に変わってゆけば、大衆・企業のお金の使い道も変化し、みんなの共認によってお金が動く共認社会の経済システムが構築することも可能になっていくでしょう。
さらには、大衆の自給期待に応えるという観点でみれば、自集団や地域の仲間で必要な金額を出資しあい、金融機関に代わる機能を、自分たちで担っていくことも大いに考えられます。
●現在すでに、共認時代の金融機関のヒントとなる仕組みや、金融機関に頼らずとも仲間たちでやっていける仕組みも存在していますので、いくつか紹介します。
◆「社員出資」制度:株式会社類設計室 [4]
 
会社を立ち上げる場合、通常は銀行に融資をしてもらったり、株主を募ったりしていますが、社員共同出資という方法をとればそれらが不要になります。
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社員自身が出資者となる「社員出資制度」により銀行からの借り入れゼロで会社の運営をしています。
創立当初から、経理・財務を含む全情報を全社員に公開する情報公開システムを作り上げ、全員が取締役となって経営に参画する合議体制を構築し、社員自らが組織や事業の方向を決定しています。
出資者=経営者=生産者の仕組みが、自分達の生きる場を自分達で作ることを可能にしています。
模合(もあい):沖縄「模合」はユイマール(互助)精神あふれる金融システム [5]
信頼のおける仲間たちでお金を融通し合う「模合」という形は、共認時代の新しいシステムといえるかもしれません
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模合は同級生模合、兄弟模合、家族模合、飲み屋模合、ご近所模合、PTA模合などの親睦模合と、事業や利殖を目的とした模合に大別され、親睦模合の金額はせいぜい月1万から2万円。割戻し(利子)はつけないのが一般的。メンバーは10~20人、年始にスタートして年末に終了するものが多い。たとえば1人1万円で10人のメンバーの場合、月1回集まった10万円を毎月、必要な人が必要に応じて落札していく。落札せずに旅行資金などを目的に積立貯金する例もある。
事業資金や利殖のための模合は、単位も10万、50万、100万…と金額が大きくなる。
◆市民バンク
 
地域や仲間のお金を出し合い、それを仲間内で融通し合う、こんな沖縄の模合のような動きが都会でもいま、広がりつつあります。
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東京江東区の白岩徳子さんの「健康手作りの会」は、地域の寝たきりや1人暮らしのお年寄り110人に日・祭日以外の日の昼と夜、弁当と温かい味噌汁を届けている。白岩さんを含むメンバー11人が分担を決め、自転車に乗って配達してはお年寄りの話し相手になって健康管理に気を配っているのだ。
白岩さんがこのサービスを思い立ったのは7年前。だが、一介の主婦、しかも無担保では、どの銀行もその資金を貸してくれない。
そこで、「市民バンク」に申し込み、300万円の融資を受けてスタートすることができた。その後、5年で返済するはずのお金は4年で返済を終わったという。
 
地域で集めたお金を地域のために投資するという、まったく逆のお金の動きが起きていることは明らかだ。
参考「あなたの夢に1千万」 ―市民バンクの無担保融資」 [6]
市民出資で成立した全国各地の自然エネルギープロジェクト [7] 
2001年から2006年現在までに、地球温暖化を防止するための自然エネルギーの普及を目的として、合計6回の類似の市民出資が国内で行われています。
市民出資とは、市民の方々の出資で自然エネルギーによる発電所を設置し、売電やサービス料等の収入をえることで損益を分配していく仕組みです。
延べ3500名の市民から合計約20億円が寄せられ、全国で合計10基の風力発電所(市民風車)と38機の太陽光発電所が稼働しています。
募集を開始した本「備前みどりのエネルギーファンド」もこれらの事業の後に続くものです。
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鎌倉投信 [8]
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「いい会社をふやしましょう!」
これが鎌倉投信の合い言葉です。
いい会社が増えれば、社会に様々な価値が創造され、雇用が生まれ、その会社に関わる多くの人の幸福感も拡がります。
「いい会社」とは、規模の大小でもなければ、上場非上場も関係ありません。「これからの日本にほんとうに必要とされる会社か否か」です。株主や経営者など特定の人が多くの利益を得る会社ではなく、社員とその家族、取引先、地域社会、お客様、自然・環境、株主等の利益の調和の上に発展し、持続的で豊かな社会を醸成できる会社です。
規模から質へ、拡大志向から循環志向へ、物から心へ、競争から共創へと向かう社会の構造変化に順応できる会社です。
「これからの日本にほんとうに必要とされる「いい会社」に投資する会社が『鎌倉投信』です。
参考 リンク [9] リンク [10]
ミュージックセキュリティーズ [11]
 
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そして、東日本大震災後は、「セキュリテ被災地応援ファンド」が追加されました。運営はミュージックセキュリティーズ株式会社、ファンドですので投資に対するリターンは売上に応じた利益の分配金です。カテゴリとしては、事業・プロジェクトなどの資金を調達する「資金調達型」、一般の企業が運営する「営利型」、利益の分配金をもらう「分配(投資)型」になります。
投資先は被災した6つの事業者で、WEB上で各社からのメッセージも配信されています。最低申込金額は 一社につき10,500円。その内訳は出資金5,000円、応援金(寄付)5,000円、出資金取扱手数料500円となっています。投資期間は5~9年程度で、当初一定期間は無分配ですが、その後は売上に応じて分配。出資者には「復興後に初めて出荷される製品が送られる」などの特典も用意されています。
参考 リンク [12] リンク [13]
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歴史を通じて金融機関は、市場拡大のための道具として機能し続けてきました。しかし、市場は縮小し、崩壊の危機さえ予測されています。そして、大衆意識も脱市場に向かっている以上、今後、大きな業態革命を余儀なくされるでしょう
これからは、大衆の安心・安全や共認充足の実現期待を真正面から捉え、企業や地域の充足の潤滑油として、その名の通り、お金を融通していく仕事に転換していくことが求められているのです

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