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【今週の注目情報】「国産だから大丈夫」は本当か?

健康を保つ上で重要なのが毎日の食事です。コロナ禍の影響もあり、最近では、家で食事をする機会が増え、スーパーで手にする食品の安全性に気を使う人も増えているようです。

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(congerdesignによるPixabay [2]からの画像)

食品を選ぶ時、「国産」だから安心と、考えることが多いと思います。しかし、「国産」だからといって、必ずしも安心とは言えないようです。

例えば、残留農薬に関する農産物の安全基準は、諸外国に比べて必ずしも高いと言えない現実があります。また、これまで農薬は「少量だったら安全」と言われ、残留基準値以下ならば健康に問題はないとされてきましたが、人の中枢神経に影響するとなれば別で、「少量なら安全」とは言えないことが分かってきています。

以下、『「国産だから大丈夫」は本当か [3] 実は緩い? 残留農薬、日本の安全基準』より要約です。

■EU基準値の300倍
・農業に使われ殺虫剤にネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ)があります。平成5年頃から使われている殺虫剤の総称で、農薬取締法に基づき、7つの化学物質がネオニコ系殺虫剤として登録されています。

・市販のお茶から検出したネオニコを分析した大学の研究論文によると、検出された数値で最も高かったのはジノテフランという製品。茶葉から検出されたのは、3004ppm(ppmは10億分のいくらかを示す濃度)で、プールにインクを1滴ほど垂らした程度でした、

・日本の基準値を下回っており「なんだ、そんな微量か」と思われそうですが、実は、欧州連合(EU)の基準値10ppmの”300倍”を超えていて、輸出すると検疫ではねられてしまうほど高いレベルだったようです。

■「見えない毒性」の怖さ
・食品に残留する農薬の数値は高いよりも低い方が安全で、数値が低ければ、毒性も低いことになりますが、最近の研究ではどうも単純にそう言えなくなっているそうです。ここ数年、農薬の毒性で問題になっているのは「見えない毒性」、つまり「今すぐ健康に影響がでない」毒性です。

・マウスによる実験で、ネオニコを与えると、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害といった発達障害と同じような行動を起こすという試験結果もあります。その他、免疫細胞を活性化する腸内細菌叢が変化し、アレルギーなど炎症を抑える善玉菌が減り、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、それに関節リウマチなどの自己免疫疾患を増やすこと、肥満を加速する可能性も指摘されています。

・また、ウズラやマウスを使った実験では、ネオニコを投与すると、活性酸素を増やし、さらに男性ホルモンのテストステロンを減らすことも分かったようです。深刻なのは、これが人で起これば、男子の精子が減少して不妊の原因にもなりかねないとのことです。

・これまで農薬は「少量だったら安全」と言われ、残留基準値以下ならば健康に問題はないとされてきましたが、人の中枢神経に影響するとなれば別で、「少量なら安全」とは言えません。

■いつの間にか緩められている基準値
・問題なのは、この基準値がいつの間にか緩められていることです。例えば、2015年、ネオニコのクロチアニジンという殺虫剤の残留基準値が大幅に緩められています。

ほうれん草:3ppm⇒40ppm(約13倍)
春菊   :0.2ppm⇒10ppm(約50倍)
かぶ類の葉:0.002ppm⇒40ppm(2000倍)に引き上がられています。

・毎日食べても大丈夫だろうか。こうした不安に対して、厚生労働省や国の食品安全委員会は、安全性試験に問題がなかったから基準値を上げたという姿勢を崩していません。健康に直結することだから、本来なら試験データを示した上で、なぜ残留基準値を上げる必要があったのか、意思決定の過程を詳らかにするべきですが、詳しい情報は開示されていなようです。

■農薬や化学肥料をたっぷり使った「きれいな野菜」
・基準値を緩めてまで、なぜ農薬を使う必要があるのでしょうか?その責任の一端は、消費者にもあります。虫食いの痕があったり、形や色が悪いものは農産物は嫌われ、形が均一で表面に傷がなく、ピカピカの「きれいな野菜」にしないと、消費者に買ってもらえません。そのため、農薬や化学肥料をたっぷり使うのです。

・日本では有機農産物の需要が増えないのは、有機農産品の価格の高さが一因と考えられていますが、実際は「見た目を気にしない客がいれば採算は十分とれる」そうです。「きれいな野菜」=安全ではありません。未来の子どもたちのことにも思いをはせ、消費者も意識を変える時期に来ています。

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