- これからは探求の時代 - http://bbs.kyoudoutai.net/blog -

日本はアメリカに“お金をあげ続け”「円安」になった!

[1]

今年6月に24年ぶりに1ドル=136円台までになった円安は、現在1ドル=144円台にまでになり「円は3月からドルに対して25%下落」した。
この直接的な要因は、3月から米国FRBがインフレ抑制を目的に行った4回の利上げ(2.25%)による日米の金利差。日銀も金利を上げればいいのだが、日銀の債務超過の恐れから利上げができない。
しかし、円が独歩で下がっているのは日米金利差の要因だけではなく、「経常収支(=所得収支+貿易収支)の赤字化」が主因で、それは日本の「生産と消費の構造変化」「米従属の外交政策」が基底にある。

【1】貿易収支
1970年~2011年3.11東日本大震災までは、日本の貿易収支は黒字だった。
ところがそのあとは、日本の輸出は円安になっても増えず、2022年の貿易収支の赤字は、1年換算で15兆円(2022年)にまでになっている。
この原因には、日本の生産と消費の構造的問題がある。
内的には、高齢化による年金世帯の増加(30%)により、非生産世帯での消費財購入率が増え、生産が国内で消費されるので、生産の超過である貿易黒字は円安でも増えない。
外的には、日本は世界一の貿易黒字国だったが、2011年を境に日本から中国に変わり、中国の貿易黒字が増えた分、日本の貿易黒字が減った。
貿易赤字は、(海外から見れば)国力を示す生産力の低下を意味するので、円安の要素になる。

【2】経常収支 →米財政赤字をファイナンスしたドル買い
日本は、1980年代から約40年続けて、経常収支では1000億ドルから2000億ドルの黒字。しかしその内実は、米ドルの流入が超過し、そのドルの80%は米国に投資(米国債・社債・株の買い+不動産投資)されてきた。
つまり、数字的には経常収支は黒字であるが、米国財政を支えるために、入ってきたドルをアメリカに返してたということ。
しかしそれでも、「経常収支の黒字=ドル流入の超過」になるので、基礎的な円高基調があった。それが「異次元緩和」を開始した2013年から様相が変わる。

◆日銀による「異次元緩和」によるドル買い →通貨量急増 →通貨価値下落→円安
安倍政権は、民主党に代わる自民党政権が決定した2012年11月、緊急のドル国債買い(=円売り)30兆円を行い(=円安の為替介入)、1ドル80円付近だった円高を、110円、120円と円安にもっていった。
アメリカにしてみれば、1年に20兆円~30兆円のドル国債を買ってくれる日本の「円安政策」は大歓迎で、日本は米従属の外交政策で「ドル買い/円売り」超過を続けた。これは、国内のドルを増やす貿易黒字が減った代わりに、米ドルをファイナンスする“お金(円)を輸出”し続けたということ。

その円安基調のなかで、ドル買いによる日本の対外資産(米国債券、株式、不動産)は、2021年末でGDPの2年分以上の大きさになる1249兆円に増加し、「対外純資産は411兆円(対外資産-対外負債)」にまでなっている。
※特に2020年には1年で105兆円も対外純資産が増えている。コロナ対策の米国財政(4兆ドル)の1/4を日本がファイナンスした。

この円の純売りになる対外純資産の増加が、円安の主要素になっている。
他通貨に対し日本の通貨発行量は異常に多く、ドルに対して弱いのはドル以上に円の発行量が多いためで、その分通貨価値が下がる。
ようは、日本は、アメリカに“お金をあげ続け”「円安」になった!

◆ドル基軸通貨からのパラダイム転換
円安は、日本の「生産と消費の構造変化」がベースにあるが、最基底は「米従属の外交政策」にある。
そこに今年からの資源高による貿易収支の赤字基調の定着。加えて短期的に金利差が効いている。
従って、資源高が一定納まると円が戻る可能性はあるが、円安基調は変わらないだろう。

しかし、アメリカは「利上げ→通貨量の収縮 →バブル収縮・不良債権化 →金融危機」の過程に入っており、中国を始めとする新興国がドルから引いていけば、ドルは暴落過程に入る。
従って、当面円安は続くが、中国をはじめとする各国がドル売りに転じた時から対ドルでは円高に転じる。
それは、10年先かもしれないし、早ければ来年2023年にも起こりうる話でもある。
それまでに日本は、戦後から一貫した米従属のなかで、ドル売りに踏み切れるのかどうか?

[2] [3] [4]