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「人口減少社会の衝撃!!これからの働き方はどう変わる?」~意識生産社会の到来2~意識生産時代に適応した組織形態とは?~

前回記事「工業生産から意識生産への構造変化~」 [1]では、工業生産から意識生産への変化について確認してみました。
そして、これから大きな変化に適応していくためにはどのような組織形態が適しているのか?そして、それは現在の労働法との関係性はどうなるのか、について考えてみたいと思います。
工業生産から意識生産への変化の大きな流れとして、

◇1次・2次産業(モノ)から3次産業(サービス業)への移動

↓(人口・世帯数の減少、さらには生産人口減少を受けて成長限界)

◇「1次×2次×3次=6次産業化」=事業は分断から統合へ

↓(単なる消費だけでは充足出来ない=もっと知りたい、学びたい、役に立ちたい欠乏)

◇対象が「消費者→応援者→協働者」へと移行しつつある

を確認しました。
では、そういった新たな意識生産という環境の変化に適応できる企業形態とはどういったものなのでしょうか?そして、労働法はどう影響するのでしょうか?
今回はその内容について考えてみたいと思います。

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1.資本主義と株式会社=工業生産に適応した組織形態

これからの意識生産時代に適応した組織形態を考える上で、まず、現在の主流(適応態)といえる「株式会社」という組織形態について押さえ直してみます。

【富の収奪から始まった西洋の「株式会社」の歴史】
[2]
★シリーズ『会社って誰のもの?』4-1~生産の場における「参画期待⇒自主管理」の潮流~ [3]より引用
西洋(欧米)では、 11世紀から始まった国家的な規模での略奪行為によって、王族や欧州貴族に巨大な資本蓄積(富の集約)が行われてきました。
それは、やがてさらに儲けよう(私権拡大)として、大航海時代へとつながっていきます。そこでは、 出資と経営の分離が始めて行われ、貿易(武力による収奪的取引=格差が原資)によってさらに王族や貴族が私権を拡大していきました。
その過程で、出資者(資本家)にとって、もっとも効率的に資本を集め利益を出す仕組みとして考え出されたのが「株式会社」でした。
そして、20世紀以降には、巨大な資本(お金)を必要とする鉄道事業などを中心に「株式会社」が全世界に広がっていきます。しかし、それはあくまで資本(お金)を集め、効率的に運用する手段としての仕組みとして「株式会社」がもっとも適していたからという理由に過ぎません。
工業生産時代には、生産基盤である工場や機械を所有する資本家が圧倒的に強く、労働は細分化、ルーティン化され、機械的労働が大半となります。また、お金が無ければ生きていけない状態(私権の強制圧力)となった労働者は自分の時間を切り売りし、働くしか手段がなくなったという圧倒的な力関係が前提として存在します(だから、労働を商品として取引することが前提)。
以上から、 「株式会社というシステムそのもの」はあくまで資本家にとっての私権獲得(利益を上げる)手段 であって、社会へのい影響は基本的に考慮されてはいません。よって、 「働く人にとってどうか(充足できるのか?)」、「社会にとってどうか(役に立つのか?)」という視点はまったく欠落しています。

【出資者】できるだけ利益を増やし株価を上げた方が得

↓(そのために経営者を雇うc

【経営者】できるだけ労働者を(時間を)長く(賃金を)安く働かせた方が得

↓(そのために労働者を雇う)

【労働者】できるだけ労働対価(賃金)を上げた方が得

上記のように、会社というひとつの集団に関係する3者の立場は分断、対立しています。それらの(私権獲得における)利害対立を調整するのが、会社法で有り、労働法であるといえます。
その結果、現在の会社法、労働法は集団統合に役立つことより、むしろ、分断し、さらには社会に関連する領域はそもそも対象外となってしまっています(企業利益偏重で、大量リストラや経費カットによる安全性阻害などの社会的問題が後を絶たない)。
【会社法と労働法によって集団が分断、さらに社会領域は欠落】
[4]

2.意識生産時代に適応した「自主管理組織=共同体企業」
では、こういった意識生産時代への変化に伴って、企業はどのような組織形態へと適応していけばいいのでしょうか?
少なくとも、「出資者(株主)、経営者、労働者が分断され対立している状態=統合不全」ではないはずです。
キーワードは、 「いかに共認充足を生み出せるか?」「分断(傍観者)から統合(当事者)へ」「企業は利益追求だけで無く、社会をどう統合するかという社会領域の課題を担う」ということではないかと思います。
このヒントは以下に示されています。

3/28なんでや劇場レポート(3) 今後10年間は充足⇒活力を上げれば勝てる [5]
 
>肯定視・充足をキーワードとして定着させる。具体的には、現業のミーティングでも肯定視できるポイントを固めるとか、上司も部下の肯定視ポイントを把握して指導するといった工夫はできる。しかし、肯定視・充足と言えば、女の方がはるかに発達しているのであって、女たちを中心にして充足・肯定の空気を作り出すことが必要。女たちが充足期待の空気を作り出し、男の活力を引き出す。これが男女関係再生のカギであり、同時に企業活力を上昇させる突破口である。
そのためにも、女たちの充足性こそ最大の価値なんだという認識転換が、特に男たちに求められる。
6/27なんでや劇場レポート「日本人はいつ物を考え出すのか?」(1) 共認充足が最大の活力源。’10年代はそれだけで勝てる [6]
 
>今や、私権体制・序列体制がもたなくなっているということだが、私権企業の衰弱する一方で、’00年代に入って、様々な共同体的企業が続々と登場し、しかも軒並み成功している。これが、共同体の時代に入ったとする根拠である。
>このように、時代は私権社会から共認社会へと大転換を遂げつつあるが、共認時代に必要とされる能力は何か?共認力(共認形成力)であることは言うまでもないが、その中身は、周りの期待や課題をキャッチする受信力・期待や課題の本質を掴む照準力である。そして、共認力の母胎となるのは周りとの共認充足であり、それこそが共認時代の活力源なのである。
>充足性・肯定視はとりわけ女の得意分野であり、女の充足性をどこまで引き出せるかが、企業の勝敗を決する。女たちの充足発信(期待やプラス評価)→充足した共認空間づくりが企業活力の源泉となる。
>過渡期であるこの10~20年は、充足性の空間→活力だけでも十分勝ってゆける。∵少なくとも、これから10年間は活力を生み出せた所が勝ちだからである。

前回記事 [1]で、『これからは 工業生産時代に専門分化された諸産業が、いかに共認充足を生み出せるかという1点において、再統合されていく過程』と述べましたが、 企業という集団も同じく、いかに共認充足を生み出していけるか、その結果、勝っていけるかが問われているのだと思います。
【社員全員が組織を担う=共同体経営】
『類グループが勝ち続ける理由』~まとめ~ [7]より引用
[8]
意識生産時代においては、自分たちで自分たちの生きる場をつくっていく、その組織統合課題を担うことで関係能力を磨くことが不可欠となります。そして、それを可能にする組織形態は、自主管理の共同体企業なのだといえます。
3.労働法の何が問題か?
では、共同体企業を作る上で労働法における何が問題となるのでしょうか?
そのひとつが、工業生産的労働から意識生産的労働への意識転換ではないかと思われます。
具体的には「労働=働くこと」をどう捉えるかだといえます。
ちなみに、

辞書(eプログレッシブ英和中辞典)によれば、労働の原語である”Labour”とは、
(利潤追求の)生産活動,労働;(精神・肉体的)労力,骨折り,苦心;軍事(民間人・捕虜の)労務
(経営者・資本家に対する)労働者(階級),労働力;((集合的))(賃金・肉体)労働者

のように、「階級や序列(労働者⇔資本家)を前提として、利潤追求という目的に限定され、苦行的な要素が強く、労働は商品として賃金と交換される」といった意味だと捉えられます。
そして、それは現在の労働法のひとつである労働基準法にも現在進行形で存在しています。

「労基法第9条この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業または事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」
「契約の形や名称にかかわらず、実態として民法623条の 雇傭契約が締結されていると認められること。」
『労働基準法の適用労働者』 [9]より引用
 
改めて、「雇傭」という言葉の意味も確認すると、
【雇傭】「 労働者が事業主の支配を受け、その規律の下に労働を提供し、その対価の支払いを受ける関係 にあること」
大辞林 [10]』より抜粋引用

なんだか、これでは「働く(労働)」ということに対しての充足イメージが湧いてきません。
労働法は、
①資本家、経営者、労働者といった圧倒的な力の差を前提にした序列(階級)社会
②工業生産的な単純化されルーティン作業となった仕事
③使用者(経営者、管理者)に細かく内容を指示され、裁量権を持たない労働者
といったことを前提に組み立てられているのだと思われます。
これでは、意識生産時代において、自ら課題を担い、活力をもって自主的に働ける場を作る共同体企業が不可能になってしまいます。
では、シリーズ後半では、「労働法はいったいどのような経緯で生まれたのか?」「何を目的として今のような内容となったのか?」「それは何が問題となるのか?」ということについて引き続き追求していきます。
そして、最終的にはその先にある、共同体企業法の骨格とはどのようなものかにつなげていきたいと思います。

[11] [12] [13]