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11/20【実現塾】サル社会の構造②~ (2)弱オスと共感機能

11/20【実現塾】サル社会の構造?~ (1)縄張りオスに近づいたメス [1]

では、樹上適応したがゆえの、原猿の本能混濁状態とその時のメスの行動の追求を紹介しました。今回は、「オスはどうした?」の追求内容を紹介します。

■この状態でオスはどうした?
メスは縄張りオスに近づく、という戦略を取りましたが、オスはどのような行動をとったのでしょうか。

一般的な哺乳類の場合、縄張りを確保すれば一定安定するのですが、縄張りが重なる原猿の闘いは終わりません。
周りは敵だらけ。縄張りオスは常に縄張り闘争。弱オス同士はかすめ取った餌を狙い合う敵同士。性闘争本能も強いため結束はできない。
そんな環境です。

このような状態が延々を続くとどうなるのか?特に弱オスに焦点を当ててみんなで同化を深めていく中で辿り着いたのが、
「闘いたくない」が、「食欲=本能」を上回るのではないか?という説です。

弱オスに同化すると、せっかく苦労して縄張りオスから餌を掠め取ったとしても、今度はその他大勢の弱オスたちから狙われてしまう。。。
要するに「頑張れば頑張るほど報われない」という光の見えない状況です。

原猿に観念はありませんが、
「性闘争じゃないのになぜ戦わないといけないのか」
「闘うぐらいなら、一日ぐらい食べるのを我慢しよう」
そんな心境だったのでしょう。
とはいえ少し我慢しても展望はゼロ。結局は餌を求めて終わりのない闘争をし続けなくてはいけません。
みなさんも経験があると思いますが、やりたくないことをやり続けなくては行かない事ぐらい活力が出ない事はありません。
いわば「無限苦行」状態に陥ったのが原猿の弱オスなのではないか?という結論にたどりつきました。

■この状態が続くと弱オスはどうなる?
無限苦行は本能では想定されていない状況で活力はどん底。
結果、どんどんどんどん「闘う気のない弱オス」が増えていったものと思われます。
この様な状況の中弱オスたちはどのようにして適応していったのか。

みんなで同化を深めていきます。

まずはメスと同じく周りを注視したものと思われますが、弱オスの主対象はライバルたる弱オスだったと想定できます。
いわば似た者同士を注視する訳ですが、どこかの段階で“自分”と同じように“相手にも”戦意がないことに気付いたのではないでしょうか。
これは一般哺乳類の同類把握に近い機能獲得で、本能でも対応が可能です。
原猿が他の一般哺乳類と異なったのは、相手の状況を読み取るだけでなく、【自分と一緒】なんだということを見つけた=状況の同一視が出来た、という点です。
「お前もか!」という状況の同一視は、周りはすべて敵だった原猿にとってなによりも変えがたく、今まで不全感しか知らなかった弱オス同士に初めての充足感を生み出していったものと思われます。
そして、この「充足感」をキッカケに「自分は今まですごく苦しんでいたんだ」という事実に気付くことになったのではないでしょうか。

相手と自分の状況が一致し、安心感を得た事で快の感覚を得る。
そして“同一視からの安心感”と“自分の苦しさを自覚”した時に、生起した欠乏が“もっと充足したい”という欠乏です。
この「もっと充足したい」という欠乏発で注視を続けると、どこかの時点で状況を同一視するだけでなく、「おまえも充足したいのか!」という相手の欠乏に気付いたはずです。
この、欠乏の同一視自体が原猿の持つ【共感機能】の始まりではないか、とわたしたちは考えました。

■欠乏が一緒だと気づいたらどうする?
さらに弱オス同士が気付いた欠乏の中身に、みんなで同化していきます。
ここは比較的わかりやすく、【闘いたくない、もっと安心したい、本能不全を解消したい】
概ねこのあたりの不全だったのでしょう。
なんせ相手も自分も同じ欠乏。分かってしまえば欠乏の同一視も難しい事ではなかったのかもしれません。
そして、それらの不全を解消するために取った行動が、スキンシップ・なめ合いなどの親和行為で、現に原猿は後期になってくると親和行為が増えてきます。

重要なのは、相手の期待と自分の期待は一体=相手の期待に応える事で自分も応える。自分が期待すれば相手も応えてくれる。そうすることでお互いが充足できる、活力が上がる、という「期待⇔応合」関係が出来上がった事です。
これをわたしたちは「共認機能」と呼んでいます。

これ以降、サルは共認内容を進化させることで様々な集団を創っていくことになります。
つまり「同類が敵」という今までにない状況が、DNAの組み換えに頼らない大きな進化を生み出した。と捉えることもできます。

注目すべきは、この原猿時代に獲得した共認機能や充足回路は、人間にも備わっている。という点です。
現代人は余計な観念が先行して充足できない場合が多いですが、原点となる原猿を見習いたいですね。

今回はこれで終了。
次回は、樹上適応後のサルの知能進化について、過密前と過密後に分けて追求したので紹介します。

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