2021年12月16日
11/20【実現塾】サル社会の構造②~ (1)縄張りオスに近づいたメス
前回の【実現塾】では、「サル社会の構造」という事で、樹上適応した原猿が本能混濁を経て共感機能を獲得する流れを追求しました。
11/6【実現塾】サル社会の構造~ ①モグラ→原猿に進化するなかで変化させた身体機能
11/6【実現塾】サル社会の構造~ ②原猿の大型化によって、サル社会の構造はどう変化したのか。
11/6【実現塾】サル社会の構造~③原猿時代の弱オス・ボス・メス 本能不全解消のための突破口は
今回の実現塾では、まず前回の議論をまとめた資料を読み込み、疑問、追求ポイントを共有。
そこから、メス、オスの行動にみんなで同化していきました。
あらためてみんなで共有したのが「縄張りが重なっている事」の異常さ。
一般的な哺乳類は、食の縄張り闘争と性闘争を行いますが、縄張りが重ならないようにするため、食の縄張り闘争はほとんど起こりません。仮に縄張りに入ってしまったとしても鳴き声で察知し出ていきますし、オスメスがぶつかることもありません。
翻って原猿。樹上が過密化した結果、食の縄張り闘争が激化。加えて外敵がいないので食われて死ぬことがほぼなくなります=淘汰適応が働きにくくなる。
このように「縄張りが重なりあう」ことが「食の縄張り闘争の勃発」×」淘汰適応が働きにくい」という、異常事態=本能が混濁する状態を生み出してしまいます。
結果、本来過度な闘争を避ける様にセットされている本能が機能せず、乱戦だらけの無秩序状態に陥ってしまいます。
ここで意外だったのは「メスも縄張りを確保できなかった」という点です。そのような状況でメスたちはどうしたのか、みんなで同化していきました。
■縄張りオスに近づこうとしたメス
無秩序状態では、力の弱いメスは縄張りを確保できません。
いつ襲われるかわからないし、弱いメスは縄張りオスや弱オスだけでなく、他のメスからも襲われることになります。
ただし、縄張りオスは縄張りから追い払おうとしてくるものの、直接危害を加えたり攻撃することはなかったものと思われます。
むしろ厄介なのは縄張りを持たない弱オスです。互いに縄張りを持たない彼らは直接食べ物を狙い合う敵で、危害を加えて来たと思われます。周囲に数多くいる弱オス同士の争いに巻き込まれることも多々あったことでしょう。
つまり、メスにとっては縄張りオスより弱オスの方が脅威だった、ということです。
なので直接攻撃してこない縄張りオスに近づくことが、メスの勝ち筋だったに違いありません。
では、この状況下でメスは、どのようにして縄張りオスに近づいたのでしょうか。
さらに同化を深めていきます。
■縄張りオスにどう近づくか?
まず縄張りオスをトコトン注視。ずーっと注視する中で、縄張りオスが不全を抱えていることにある時気付いたのではないでしょうか。(ここまで来るのにかなりの時間を要したことでしょう)とはいえ、縄張りオスは警戒心が高く、容易に近づくことはできません。唯一近づけるチャンスは発情期ですが、発情期が終わればオスはメスから離れて行ってしまいます。
どうすれば縄張りオスを引き留めるができるか?
思考錯誤したのは容易に想像できますが、最終的にメスがたどりついたのが、「闘いにつかれた縄張りオスの不全感を和らげる。その為に傷をなめて痛みを和らる」という親和行為ではないでしょうか。
傷をなめる行為そのものは哺乳類の初期段階で行われています。子の傷を母がなめたり、自分自身の傷をなめると痛みが和らぐ事を原猿は知っています。(発情期以外ではケガをしているときの方が近づこうとするものへの敵意も高まります。)当然一度切りではなく、「発情期に縄張りオスに近づいて傷をなめる」行動を何度も何度も、何年もかけて行ったのでしょう。その結果、縄張りオスはメスが縄張り内にいても許容するようになっていったものと思われます。
極限状態で闘っている中、不全を和らげることが縄張りオスの一番の欠乏。
ここに気付いたのが、大きな成果です。次回は、「この状況でオスはどうした?」の追求結果を紹介していきます。
- posted by ko-yugo at : 20:58 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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