2021年10月13日
【実現塾】哺乳類の集団構造④~オスの役割は変異を求めて外へ飛び出すこと
実現塾では、集団再生の実現基盤を発掘すべく哺乳類の集団構造の追求を行っています。前記事では、メスが性闘争本能を上回る親和機能を獲得したことで集団が形成されたという成立構造が明らかになりました。では、その間オスはどうしているのでしょう?今日はオスの役割について追求してゆきます。
Q.オスとメスは繁殖期以外、基本的に別世界で生きているし、餌の確保はメスだけでもできる。ではオスの役割=存在理由は何か?
→子孫を残す、精子をつくる、変異する、闘う、メスを守る、代わりに食われるetc.
オスの役割が子孫を残す=精子を供給する事ならば、過半のオスは交尾できない=存在意義がないという事になる。
⇒★子孫を残せないオスに役割はないのか?
■外敵圧力の防波堤⇒自分より強い種に立ち向かうのがオスの役割
・繁殖期、発情→挑発するメスの周りにオスが群がり、性闘争を始める。すると、メス(たち)を中心に、オスが集まり【内雌外雄】の分布形体となる。(下図)
<凡例>青:オス 赤:メス 大きい丸:成体 小さい丸:子供
※性闘争に勝ったオスは集団内に入ることが許されるが、負けオスは集団から離れた外側に並ぶ。
結果的に、外側にいるオスから外敵に狙われ、食われていく。
・また、繁殖期以外でも、メス集団よりも単独でより広い行動圏をもつオスの方が外敵に狙われ、食われるリスクが高くなる。
◎つまり、オスたちは、交尾するorしない、強者or弱者に関わらず、外敵との防波堤となることで、結果的にメスたちを守っている。
そこには、交尾したメスかどうか、自分の子供かどうかなど関係なく、庇護意識もない。しかし、強い弱い関係なく、外敵に立ち向かう=生きているだけでオスの役割は果たされており、オスが死ぬことも含めて種として調和→適応している。
■オスメス分化の原点は、安定と変異⇒「変異」するのがオスの役割
生物は、安定(=体を保ち種を遺す)と変異(=変化する外圧に適応する)という矛盾する二大課題を両立して生きている。そして、より多様な同類他者を生み出すことが生物の適応戦略。
⇒◎メスは集団の主体であるのに対し、オスは変異の主体である。
より安定度を要する生殖課題をメスに託し、オスはより外に出て探索し、より多様な外圧に晒される中で変異の可能性を種にもたらす。
だからこそ、オスは集団を飛び出して単独行動をとるし、より遠くのメス集団の所へと子孫を残しに行く。
従って、ある程度の年齢になるとオスは勝手に出ていくもの。(※親和期間が長い種では、名残惜しくなり、親側が放り出す事も。)
→12~14歳になっても、外に出ていきたいとならなければ、子育て失敗と言える。(特にオス。メスは、親和と全うな外圧=課題次第。)
◎もっと外へ、もっと未知へと挑み、変異を蓄積するのがオスの役割。挑み続けないと、オスは活力がわかない。それが本能だから!
外に挑もうとする子供にしがみつき、囲い込もうとする親(→それを受け入れる子供)は生命原理に反している。
★参加者の感想を紹介★
中3 Sくん(十三学舎)
動物の形態として力で勝つという印象が強かったけど、どれだけ種を生き残せられるかが大事になってくると知りました。また小さな哺乳類がここまで生き残れてきた母系集団のすごさがよく伝わりました。
高2 Hくん (類学舎)
集団に全然雄がかかわってこないことに驚いた。雌雄分化のときから、オス→変異・外へ、メス→安定にとことん貫かれているんだなって感じた。ここから類人猿も追求してゆき、そこから集団として男としてどう生きるか、掴んでいく。
保護者 Mさん
オスが変異するために広い世界を体験することは人間の世界でも重要だと思います。広い世界に飛び出すことを押さえつけているような気がしてなりません。
- posted by moriaki at : 0:00 | コメント (0件) | トラックバック (0)
コメントする