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2023年05月13日

『生き続く企業とは?』~社会期待を見失った50年。これからの社会期待とは?~

生き続く企業の一つの実現態として、住友の事業継承と拡大の歴史を辿ってきた私たちですが、前回の記事では、永く拡大していく企業の真髄が「戦略的人脈ネットワークの構築」にあることに行きつきました。そして、同時にその根底には、徹底した「現実直視」があることも見えてきました。私たちが住友に学ぶべき点は、ここにあるのです。

しかし、住友が企業として存続・拡大してきた時代は、貧困の圧力⇒誰もが私権獲得に収束する私権のパラダイムの中にありました。私権のパラダイムにおける現実とは、私権闘争に勝って生き残ることであり、自集団の存続・拡大が第一義の課題でした。

それでは、住友をはじめとする私権時代の企業は、社会期待・社会課題に応えていなかったのでしょうか?

■どんな時代にも社会期待がある
明治以降の日本は、欧米からの侵略圧力に常に晒されるようになります。植民地化を防ぐために、富国強兵を進めて外国との戦争に勝つことが社会期待であり、自集団の利益獲得が第一に見える財閥企業であっても、そこに応えてきたからこそ存続・拡大が実現できたのです。

画像は世界の歴史マップからお借りしました

時代を遡ると、略奪闘争が始まるまでの始原人類(日本であれば縄文時代まで)は、圧倒的な自然外圧に晒され、仲間からの生存期待と充足期待が集団みんなの期待でした。

略奪闘争が始まって以降の時代(日本であれば弥生時代以降)は、略奪闘争に負ければ集団全体が滅び、生き残った者も子孫に至るまで奴隷身分に固定されてしまいます。一方の勝者の側も、いつ裏切られて敗者になるとも限らず、社会全体に生存期待・救い期待が満ちていました。それに応えるには私権闘争に勝たなければなりませんでした。

戦後の日本は、国土全体が焦土と化し飢えの圧力に苛まれて、国民全体に豊かさ期待が満ちていました。誰もが物的豊かさを求めていたからこそ、企業はそれまでの旧い枠組みにとらわれず攻めに徹することができ、豊かさを実現することが出来たのです。

時代によって「社会」の範囲が異なっていても、それぞれの時代の外圧に応じた社会期待が必ず存在し、それに応える活力を基盤として、集団・企業が存続・拡大してきたのです。

■社会期待を見失った 50 年。これからの社会期待とは?
しかし、日本が豊かさを実現した1970年以降、貧困の圧力が消滅。すると、国家も企業も社会期待を見失って、向かうべき先を見い出すことができなくなり、社会全体が活力を衰弱させていきます。

どんな時代にも、その時々の外圧によって規定される社会期待が存在します。ここ50年間、国家も企業も社会期待を見失っていたのは、外圧を捉えそこなっていたから。外圧を的確に捉えることさえできれば社会期待を掴むことは可能です。では、現代の社会期待とは何なのでしょうか?

画像は0fjd125gk87によるPixabayからお借りしました

現代には人工物質による環境破壊、肉体破壊、精神破壊などの解決するべき問題が山積みですが、これらは観念でしか認識できない領域のものばかりです。したがって、「社会ってどうなっているの?」「地球ってどうなっているの?」といった事実を構造化し、社会課題を明確に捉えるための事実認識が不可欠になります。

こうした社会期待・社会課題に単独の集団で応え切ることはできません。これからの企業が向かうべきは、対象世界を広げて社会期待を見い出し、社会課題に応える仕組みを自らつくり出すこと、つまりは共創・共動の場をつくり、広げていくことにあるのです。

そして、徹底した「現実直視」に基づく事実認識を塗り重ね、既存の枠を超えた新しいネットワークづくりの中核となる企業こそが、社会の期待を実現し、これからも生き続く企業となっていくのです。

 

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