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サル・人類の知能進化の駆動力:ドーパミン(2)~充足探索力

前回「サル・人類の知能進化の駆動力:ドーパミン(1) [1]」では、サル・人類の知能進化の駆動力であるドーパミンと、その駆動指令を発する中枢である、判断核(扁桃体)・探求核(側坐核)・A10核を中心とした脳回路の構造と特徴について取り上げました。

今回は。A10核とA10神経を中心に、ドーパミンの働き・駆動力を見ていきます。

■判断核(扁桃体)・探求核(側坐核)・A10核の脳回路図
(実際には、もっと多数の相互に連絡する回路がありますが、簡略化しています)

[2](↑クリックで。新しいタブに拡大して開きます

■ドーパミンをつくり出す源=A10核とA10神経
A10核から始まるA10神経には、大脳中枢系(辺縁系)に至る「中脳辺縁系路」と、大脳新皮質に至る「中脳皮質路」がある。多くの動物では「中脳辺縁系路」のみだが、サル、人類は「中脳皮質路」を発達させている。

[3](画像はコチラ [4]から)

① 中脳辺縁系路
中枢系(辺縁系)の判断核(扁桃体)、探求核(側坐核)などへ投射する経路、特に探求核(側坐核)と密接に連絡している。

この経路は、哺乳類共通に発達している経路で、生存本能に基づく、捕食、危機逃避、性行動、睡眠などの本能行動や、怒りや不安など情動行動を実現するための探索回路を、判断核や探求核を中心に形成し、発達させた。

② 中脳皮質路
大脳新皮質の前頭連合野、側頭葉へ投射する経路。
大脳新皮質を発達させたサル・人類で発達した神経で、特に人類では新皮質の著しい発達と共にA10神経も大幅に強化され、ドーパミンを大量に分泌する。

サル時代(原猿)、過密化した樹上で、果てしのない同類闘争を強いられ、飢えと怯えに常に苛まれ続けるという生存本能の混濁状態の中、状況を把握するために周囲のサルを注視し続け、仕草や表情などの膨大な同類情報 (外識)を頼りに、「もしかしたらこうかも知れない」「もしや?と、やはりそうだ!」という一種の仮説思考を繰り返す中で、反復神経(海馬)とともに大脳新皮質も飛躍的に発達し、未明課題に対する探索回路を形成した。

それに伴い、運動前野などの他者の行為と自分の行為を重ね合わせる脳領域や、島皮質を中心とした他者の心情を探索する脳領域を発達させ、ついに「相手と自分の状況の同一視」、そして「相手と自分の 欠乏の同一視」に至り、相手も自分と同じなんだという安心感・充足感により、お互いの不全を解消することが出来た。

この探索回路は、哺乳類時代の生存本能に基づく探索回路では、どうにもならない状況に陥った原猿が、内識(自らの不可解な欠乏)と外識(不可解な状況)とを、行きつ戻りつを繰り返す中、形成された本能を超えた探索回路であり、その主要な駆動力はドーパミン(=充足探索力)である。

この大脳新皮質を中心とする探索回路と、大脳中枢系を中心とする探索回路は、それぞれが連携して作動し、最終的な判断は、中枢系の判断核(扁桃体)が担っていると考えられる。

(参考リンク)
11/20【実現塾】サル社会の構造②~ (1)縄張りオスに近づいたメス [5]
11/20【実現塾】サル社会の構造②~ (2)弱オスと共感機能 [6]
11/20【実現塾】サル社会の構造③~ (3)樹上適応⇒過密前後の知能進化 [7]
るいネット「原猿の生み出した「手探り回路」 [8]

次回、
「相手と自分の状況の同一視」「相手と自分の欠乏の同一視」を可能とした、ふたつの脳回路・領域=ミラーニューロンとシェアードサーキットを取り上げます。

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