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稼ぐまちが地方を変える③ ~まちに根を生やしている人が立ち上がる~

今回も日本のまちづくりについて検証していきます。前回までの記事はこちら
①行政主導の地域活性化は失敗する [1]
②特産品が失敗する理由 [2]
現状の日本における“まちづくり活動”の問題点は、多くの場合イベント等で盛り上がりは見せるものの、一過性に止まり継続していかない、ということではないでしょうか。
まちづくり2 [3]

実はアメリカでのまちづくりは、官主導ではなく、民間主導、特に不動産オーナーを基本に考えている、ということに大きな違いがあるそうです。そのあたりを「稼ぐまちが地方を変える」(木下斉著:NHK出版新書)から一部抜粋して紹介します。
木下氏は、かつて高校三年生のときに、まちづくりの会社「株式会社商店街ネットワーク」を設立。結果的には途中で頓挫してしまったのですが、その後仲間と渡米し、アメリカでのまちづくりの実態を体験してきたそうです。

アメリカで不動産オーナーと話をすると、誰もが積極的に地域に投資している。それはなぜかと言えば「自分の資産価値を高めるため」だと即答。「まちづくりは自分たちの資産運用(アセットマネジメント)だ。だからこそ行政ではなく、まずは不動産オーナーである自分たちが連携して投資するんだ。」とのこと。(「稼ぐまちが地方を変える」より)


もちろん地主つまり資産家だからこその考えかもしれませんが、焼畑農業的にあちこち「つまみ食いするイベンター」より、余程地域のためになっていると評価できます。

各不動産オーナーは、より優良なテナント、つまり稼げるショップ運営に入ってもらいたい。そのためには建物やその地域を少しでも魅力的に見せ、地域外からでも招かなくてはならない。だから投資する。自分だけで出来ることもありますが、地域単位でやらなくてはならないこともある、だからこそ不動産オーナーたちは、連携して組織を立ち上げ、共同でエリアに投資するわけです。相互依存ではなく、相乗効果を狙った極めて合理的な構造です。(「稼ぐまちが地方を変える」より)

今のまちづくりには、「みんなで助け合うまち」「心が通うまち」などのキャッチフレーズがありますが、これは無責任な“きれいごと”でしかない。「まちづくり」とは、かつての共同体の相互扶助の一つの項目でした。その残骸が心に残っているために、「まちづくり」と「儲ける」ということとを結びつけることに違和感or罪悪感を感じるのかもしれません。
しかし、実現体制である共同体は既に崩壊しており、浮遊している観念にしがみついても何も可能性はない。実現・継続するための費用調達が滞れば、無残に終わってしまうというのが実体です。稼ぐことを否定せず、むしろ稼ぐ主体が地域(≒地主、住民)だからこそ、次のまちづくりの投資へと循環していくと考えたほうが良いのです。

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