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【左脳・右脳の進化史】3.哺乳類の集団形成~左脳・右脳の機能分化→左脳・右脳の連携・統合への転換

魚類~両生類~哺乳類~霊長類~人類に至るまでの、左脳・右脳の機能差→左脳・右脳の連携、統合への進化を探索する【左脳と右脳の進化史】シリーズ。
1.左脳・右脳の機能分化→連携、統合への進化を探る [1]
2.魚類の左脳・右脳の機能差~なぜ、魚の群れは同じ方向に泳ぐ向きを変えるのか? [2]

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(画像は、フリー画像サイト「Pixabay [4]」より)

今回は、両生類までの「左脳・右脳の機能分化」から、哺乳類で「機能分化→左脳・右脳の連携・統合」へと大きく転換する状況を取り上げます。

現在では、脳の非対称性はヒト脳に固有の特徴ではなく、動物の神経系に広く見られものであることが明らかになっています。例えば魚類、両生類、鳥類などでは特定の行動に対して、片側の脳を優先的に使うことが明らかになっています。

両生類では、次のような脳の左右の機能差があるようです。
左脳:エサの捕食行動など、日常的な定型的な行動をコントロール
右脳:天敵に対する逃避行動など、突然の場面での行動をコントロール

====(以下、日経サイエンス2009年10月号「脳なぜ左右で分業したのか?」より抜粋)

■左脳:エサの捕食行動など、日常的な定型的な対応
食料の捕食など、通常の状況における行動パターンのコントロールは、左脳の処理する身体の右側に偏っている。このことはこれまでに研究されたほぼすべての脊椎動物で見つかっている。

(ヒキガエルを使った実験)
回転台に貼りつけたバッタの模型を、ヒキガエルのどちらかの視野に入るように回転させた。バッタをヒキガエルの左側に置いて時計回リに回転させると、ヒキガエルはバッタが視野の中心線を越えて右視野に入ってからでないと攻撃しなかった。バッタを反時計回リで回転させると、攻撃する回数は全体的に少なくなり、どちらの視野でも頻度は変わらなかった。

■右脳:天敵に対する逃避行動など、突然の場面に対応
捕食者と出くわしたときには、とっさに適切な行動をとる必要がある。右脳はこうした出来事を扱うために進化してきた。

(ヒキガエルを使った実験)
ゴム製のヘビの頭を黒いプラスチック棒の先端に取り付け、ヒキガエルに向け て右側や左側から突きだし、すぐに引っ込めてみた。右側から“ヘビ ’’が近づいても力エルは気づかなかった。だが左側から近づくと右脳の反応が引き起こされて, ヒキガエルは飛びのいた。

==============(以状、抜粋)

このうよな左脳:捕食行動/右脳:逃避行動という機能差は、魚類、両生類、鳥類、哺乳類まで、広く共通しています。これは、捕食行動と逃避行動に同時に注意を向ける⇒外圧適応度の上昇、という外圧適応戦略として生じたもので、脊椎動物の進化の過程の中で獲得され、塗り重ねられてきたものだと思われます。

しかし、この外圧適応戦略は、哺乳類の段階で大きな変化が生じます。より大きな外圧(大型爬虫類)に直面した哺乳類(土中に隠れ住みしかない弱者)は、外圧適応のため、土中の単独生活→集団を形成していくが、同時に、脳の構造も大きく変化させていきます。

哺乳類に進化する過程で大脳新皮質が発生しますが、それと同時に左右の新皮質を接続する「脳梁」が発生しています。この「脳梁」は左右の脳の情報を接続し、あらゆる外識情報に対して脳全体で思考することを可能にしている、言わば左右に機能分化した脳を再統合する機能です。人類は外圧適応の戦略上(共認統合上)、左脳・右脳の機能分化→左脳・右脳の連携・統合へと、大きく転換したのだと思われます。

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マウスの終脳(上)と両生類の終脳(下)の断面
(画像は、書籍「脳進化絵巻(村上安則著)」より)

哺乳類の集団形成と、脳梁をによる左脳・右脳の連携、統合は、密接に連関するはずです。その鍵は、母乳保育に伴う皮膚感覚の鋭敏化や、集団の仲間に対する認識の必要性にあるのではないでしょうか。哺乳類の集団形成と左脳・右脳の連携、統合への進化を結びつけるものはなにか?が追求ポイントになりそうです。

次回より、哺乳類の左脳・右脳の連携・統合のしくみを、もう少しく掘り下げていきたいと思います。

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