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2022年05月06日

【左脳と右脳の進化史】2.魚類の左脳・右脳の機能分離~なぜ、魚の群れは同じ方向に泳ぐ向きを変えるのか?

魚類~両生類~哺乳類~霊長類~人類に至るまでの、左脳・右脳の機能分離→左脳・右脳の連携、統合への進化を探索する本シリーズ。2回目は、魚類です。
1.左脳・右脳の機能分化→連携、統合への進化を探る

左脳・右脳の機能差は、人の言語機能が主に左大脳新皮質に局在することから、人の特有の現象だと考えられていましたが、ゼブラフィッシュを用いた研究により、魚類にも左脳・右脳の機能差があることが分かってきています。

「ゼブラフィッシュ」

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左脳・右脳の機能差が確認されたのは、終脳にある「手綱核」と呼ばれる部位です。手綱核は、魚類から人まで共通する存在する大脳中枢系(辺縁系)の一部で、意欲や欠乏を生み出すドーパミンやセロトニンなどの駆動物質(神経伝達物質)を調整する中枢の一つです。

「魚類の脳(コイ)」

手綱核は左右一対あり、手綱核から伸びた神経線維は、中脳にある脚間核に接合し「手綱核-脚間核神経回路」を形成します。この神経回路は、嗅球に入った匂い情報を受取り、運動系神経に伝達します。嗅球に入った匂い情報から、「快・不快」を判断し、手綱核-脚間核神経回路を通じて、匂いに応じた適切な行動が生み出されるようです。

この神経回路は、人の視覚の左脳・右脳の関係と同じように、左手綱核→主に柱脚核の背面へ、右手綱核→主に柱脚核の側面へ、交差して結合しています。左右の神経の結合には、左回路が発達する/右回路が発達するなどの規則性があり、左右のどちらかが発達するのかは状況により異なりますが、同一集団内の各個体では同じ方向の神経の結合が発達する傾向があるようです。

「人の視覚と左脳と右脳の結合」「ゼブラフィッシュの左右手綱核と柱脚核の結合」

一般的に、魚の群れは、外敵に対して回避行動を取るとき、そろって同じ方向に曲がることが知られています。これは脳の左右の機能分離が、特定の「利き方向」を生じさせ、この「利き方向」を共有することで、集団としての危機逃避=外敵適応連略として形成されたものではないでしょうか。

「魚の群れ」

ただし、魚類の「手綱核-脚間核神経回路」を含む大脳周辺系には、哺乳類の脳梁のような左右を繋ぐ神経回路は無く、脳幹での反射行動の共有するといった、比較的単純な行動に限られるようです。

このような大脳中枢系の左右の機能差は、魚類からほ乳類まで進化的に保存されています。これが土台となり、その後の大脳新皮質の機能分化に繋がっていると考えられます。しかし、大脳中枢系の左右の機能差は、いわば機能分離、または機能局在といった段階です。左脳・右脳の連携、統合の登場にはまだ距離があるようです。

では、魚類段階の左脳・右脳の機能分離が、どのように左脳・右脳の連携、統合へと進化したのでしょうか? 次回、魚類に引き続き、両生類以降の左脳・右脳の進化を探って行きます。

○参考:理研研究所 研究成果(プレスリリース)より
・脳の左右差の形成機構を分子レベルで解明 PDF(リンク
・左右非対称な神経回路の存在を嗅覚系で発見(リンク

○画像は以下からお借りしました・
「ゼブラフィッシュ」~ウィキペディアより(リンク
「魚類の脳」~書籍「遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界」より
「人の視覚と左脳と右脳の結合」~脳の左右差の形成機構を分子レベルで解明 PDF(リンク
「ゼブラフィッシュの左右手綱核と柱脚核の結合」~脳の左右差の形成機構を分子レベルで解明 PDF(リンク
「魚の群れ」~フリー画像 pro.fotoより(リンク

 

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