2010年12月08日
【元気な会社】シリーズ ~リピーター率73%!の老舗旅館~
こんにちは、はるっこです
【元気な会社】シリーズ、今回は第1回目です!
0.プロローグ
1.板室温泉大黒屋
2.あらき
3.辻谷工業
4.キシ・エンジニアリング
5.未来工業株式会社
6.小ざさ
7.伊那食品工業株式会社
8.ハッピーおがわ
9.医療法人鉄蕉会亀田総合病院
10.沖縄教育出版
11.まとめ
今回ご紹介するのは、
リピーター率年平均73%!
稼働率は、週末はほぼ満室、平日は6~7割をキープ!
社員も楽しそうに働いている
そしてお客様から“人生の最期にもう一度行きたい宿”と評される老舗旅館、
板室温泉大黒屋(HPリンク)です。
栃木県那須岳の麓の深い緑に抱かれ、那珂川沿いにひっそりと旅館が立ち並ぶ板室温泉。
11世紀に発見され、「下野の薬湯」と呼ばれた古くからの湯治場で、居酒屋やスナックなどもない、
静かなたたずまいの温泉地にあります。
板室温泉大黒屋は創業は室町時代の1551年で栃木県最古の老舗企業に認定されていて、
社長の室井俊二さんはその第16代目当主にあたります。
冒頭で書いたリピーター率etc.ですが、全国の宿泊施設と比べてどうかというと・・・
リピーター率は、3割を超えれば高いといわれる中、73%!
稼働率は一般に4割を超えれば高いといわれる中、7~8割!
というとっても高い数字なんです
さらに、“人生の最期にもう一度行きたい宿”とまで言ってもらえるなんて、すごいですよね
この板室温泉大黒屋は、現代アートを取り入れた“アートスタイル経営”でも注目されています
しかし、現代アートを経営に取り入れるというのは、単なる商業的な差別化に過ぎません。
現代アートだけ、それにロケーションが加わったとしても、
上のような圧倒的に高いリピーター率や稼働率
さらには“人生の最期にもう一度行きたい”という気持ちになること
まで説明するのは、どうにもピンときません 🙄
では、板室温泉大黒屋の人気、本当の秘密はなんなのでしょうか???
続きの前に、応援よろしくお願いします
↓ ↓
いつもありがとうございます
「最期にもう一度あの宿に泊まりたい」そう評価される魅力とは?
「最期にもう一度あの宿に泊まりたい」
病気で余命いくばくもない人が、家族に「どうしても行きたい」と願う。
そんな温泉旅館があります。
なんとかその願いをかなえたい家族が相談の電話を入れると、
宿のフロントスタッフは「是非おこしください 」と心から歓迎してくれる……。
この温泉旅館には、そうした相談が毎年何件か舞い込んできます
(ちっちゃいけど大切にしたい会社p118より)
人が人生の最期に求めるものとは、なんでしょうか? 🙂
それは、これだけのお金や地位、評価を得てきた、という私権的な価値=うわべの評価などではなく、
“相手との素朴な共認充足=本来的な喜びを味わいたい”ということだと思います。
それが、この板室温泉大黒屋にはあるのです
今はこんな素敵な評価を受けていますが、始めからそうだったわけではありません
ご主人である室井俊二さんには、こんなエピソードがあるそうです
「楽しそうじゃないね」お客様から言われた衝撃の一言
板室温泉大黒屋で“専務”として働いていたけれど、どこかに“仕事が嫌だな”と感じていた、30代半ば頃のことです。
ある日、室井さんは宿泊客にこう言われました
「あなたは、とてもよくやっている。でも楽しそうじゃないね」
「楽しそうじゃない……」
この言葉が室井さんの胸に突き刺さりました。
でも、自分は一生懸命やっている。
仕事は楽しいばかりじゃなくて、辛いほうが多いのが当たり前じゃないのか……
「楽しく働いている人なんてこの世にいるんでしょうか」
とその宿泊客に聞き返すと、そのお客様はこう答えました。
「いるよ。アーティストは貧乏で水を飲みながらでも楽しく仕事をしている 😀 」
(ちっちゃいけど大切にしたい会社pp125-126より)
楽しく仕事をするためには?をトコトン追求
お客様からこんなことを言われた室井さんは、実際に銀座のアーティストに会いに行き、
画廊通いを始めました。
そして「なんで楽しく仕事をできるの?」を追求し、1年半ほどすると、
「アーティストたちの考え方」がなんとなく分かってきたんです!
このアーティストたちの考え方とは
“お互いがいいと思うものを共認することによって充足する”
というものだったのです
アーティストは、「これがいい 」と思ったものを表現したり発信したりし
それを「いい 😀 」と共感してくれた人がお客さんになってくれる
つまり“共認充足”を日々味わいながら仕事をしている
だからこそ、みんなイキイキと楽しんで仕事をできるんですね
室井さんはこの考え方をヒントに、話題づくりとして旅館に現代アートを導入します
この現代アートが目に見えて分かりやすい特徴なので話題になっていますが、
重要なのはそれだけではありません
楽しく仕事をするためには、お客様との深い共認充足が必要
共認充足とは、“お互いに同じ気持ちであることを認め合って、わかりあう充足”のことです。
では、板室温泉大黒屋では、どのようにその共認充足を得られるのか?
さらに掘り下げて見ていきましょう
奉仕が先で利益はあと
アートスタイル経営に転換した頃、なんと古くからの1人のスタッフだけを残して、
ほぼ全てのスタッフが辞めてしまったそうです 😥
この原因は、単にアートスタイル経営に転換したからだけではありません。
それまでの
“お金をもらうために、サービスや物を提供する”
という市場原理的なサービスから
“お客様とお互いに共認充足を得ることが大切で、お金はその充足代”
という共認原理的なサービスに転換したので、
その変化に違和感を感じた人が辞めてしまったということ。
だから、その考え方に共感=共認原理に転換した人だけが残ってくれたんです。
最初から「儲けよう」という意識が室井さんの頭にはなく、
「奉仕が先で、利益はあとからついてくる」
という考え方が根底にあります。
相手の状況に合わせた、適度な接客
共認原理に転換したからこそ、その後は相手の状況に合わせた接客をできるようになります。
板室温泉大黒屋には、過度な接客はないけれども、お客様にとって居心地のよい空間があります
実際に旅館に泊まられた方の感想(リンク)
スタッフの方の対応や距離感も、私には心地よかったです
過剰なサービスをされるコトはなく、皆さんが自然体に接して下さるので、
必要以上に緊張するコトもなく、こころ穏やかに過ごせました
相手に合わせた接客をできるのにも、秘訣があります
それは、室井さんの共認原理による経営に共感して旅館に残ったスタッフの方が作った、
「宿泊客一覧表」というシステムです。
この一覧表には、そのお客様が何回目の訪問の何日目か、前回の来訪日、食べ物の好みなどのほか、「足がお悪いのでエレベーター利用」などといった特記事項が書かれていて、スタッフの方々全員で共有し、お客様一人一人に合った献立やサービスを考えます。
つまり、
お客様の情報=相手の状況をみんなでしっかりと共有している
からこそ、相手にとって気持ちのよい対応ができるんですね
板室温泉大黒屋=共認充足の宿
このように、板室温泉大黒屋では、サービスも本当にお客様が求めるものを提供しているからこそ、
お客様もスタッフもみんなが充たされる、“家族のような充足”を得られるのです。
現代は、私権時代から共認時代への転換期です。
とはいえ都会の宿泊施設などはまだまだ私権原理的なサービスを提供しているところがほとんどで、
都市化された温泉街などもそれは同様です
板室温泉のような辺鄙な場所だからこそ、市場原理的な要素を省くことができる、
つまり純粋な共認充足の空間を作るのにとても効果的な立地だったと言えます
板室温泉大黒屋の経営とは、
本当に心から安らげる、充たされる
“素朴な共認充足を味わいたい”
というみんなの期待に応える=時代に乗った経営です。
板室温泉大黒屋=共認充足の宿
だから、みんなが「また行きたい」「人生の最期にぜひ行きたい」
と思ってくれるんですね 😀
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次回は世界から多くのお客様を集める酒屋“あらき”をご紹介します☆
お楽しみに~
- posted by harukko at : 22:00 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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