2010年12月04日
「充足発で活力再生」のヒント“キッズスキル”とは?【実践編】
職場でチーム活性化の手法として注目を集めている「リチーミング」。その基礎となっている「キッズスキル」という教育手法についてご紹介しているシリーズの後半は、前回の【基礎編】を受けて、【実践編】になります。
基礎編で見てきたように、キッズスキルは従来の大人→子供という一方的な序列原理に基づく教育・指導方法とは一線を画し、周りの人たちとの期待と応望による充足をベースとする共認原理に基づく教育手法と言えます。
※キッズスキルを広めるキッズスキルジャパンより。
キッズスキルの特徴は、
○子供に対する捉え方を、否定視⇒肯定視へ
○課題の捉え方を、個人課題⇒みんな課題へ
○結果として、子供たちの不可能視⇒実現思考へ
にありますが、日常会話におけるその具体事例を、人材派遣会社フジスタッフさんのワーキングマザー支援サイトff-womanのコラム「ママのためのキッズスキル」(以下、「同サイト」)からご紹介させていただきます。
続きを読む前に・・・
↓↓↓
以下、同サイトのChapter2「宿題をやる気にさせるためのキッズスキル」からの引用です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
小学校1年生のお母さまから、宿題をやる気にさせるのにキッズスキルを使いたい!と相談を受けました。
(中略)
キッズスキルは、大人が「こうしなさい」と指示するのではなく、子ども本人に「このスキルを学びたい」と思わせることが大切です。ポイントは、本人がそのスキルを学ぶことの利点をしっかりと理解すること、そして本人がやりたいと思えることです。
そこで、お母さまは「宿題をすることによってどんな良いことがあるか一緒に考えよう」とキッズスキル会話を取り入れて、お子さまのワクワク感を高めようと試みました。
母 「今日も宿題が出たね。毎日書く練習大変だけれど、ひらがな書けたら、どんな良いことあるかな?」
子 「お手紙書ける」
母 「きれいに書くと?」
子 「お友達が喜ぶ。嬉しい」
母 「お手紙出すために住所も書くね。汚い字だと?」
子 「郵便屋さんが読めない」
母 「どうなる?」
子 「お友達の家に届かない。困る」
母 「宿題のきれいな字をパパが見たら?」
子 「褒めてくれる」
母 「おじいちゃん、おばあちゃんは?」
子 「みんな褒めてくれる。偉いねって言ってくれる」
母 「どうやったら上手になる?」
子 「これ(見本)を真似する」
母 「何回書いたらいいかな?」
子 「たくさん」
この会話から、キッズスキルが始まりました。
毎日おやつの前に行うひらがなの練習がお子さまにとって、楽しい時間に変わりました。サポーターになったお母さまは、毎回プリントに花丸を付けたり、たくさん褒め言葉を掛けたりして、お子さまをサポートし、毎晩遅いお父さまも、夜中帰宅後プリントに言葉を添えるようにしました。朝起きて、なかなか会えないお父さんからのコメントが書かれているのを見ると、またモチベーションが高まります。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
なるほど、母と子が一緒になって実現イメージを丁寧に共認しているのがわかります。
そして、この母と子の会話は、例えば会社の新人指導、あるいは接客での言葉遣いや遅刻など悪い癖の治らない社員への指導にも十分に応用が可能ではないでしょうか。
ちなみに、同サイトではキッズスキル(全15ステップで構成)で絶対に押さえておくべきポイントを3つ挙げています。以下、同サイトからの抜粋引用です。
●ポイント1)問題⇒スキルに置き換える
キッズスキルでは、問題のある子は存在しないと考えます。子供の行動は、「スキル」を身につけていないためだと考える解決志向のアプローチです。(中略)ここでのポイントは、スキルは必ず肯定形で作るということ。「いけないことをやめる」のではなく「正しいことをする」ためのスキルと考えましょう。
●ポイント2)必ずサポーターをつける
一人の子どもの問題解決にたくさんの人が関係していくというステップがあります。子どもに誰にサポーターになってほしいか、どんなサポートをしてほしいかを聞き出し、それを自分の言葉で頼みにいくステップが含まれています。(中略)大人になってからも問題解決に物怖じすることなく取り組める力を養っているのです。
●ポイント3)お祝い会を開催する
お祝い会をセッティングするのには、子どものモチベーションを高めるという意図もありますが、もっと大切な意図が含まれています。お祝い会は、何かを成し遂げたら、それを支えてくれる人たちに感謝の気持ちを伝えるということを教える大切な場なのです。
これらの3ポイントはまさに①課題共認⇒②役割共認⇒③評価共認という「仕事がうまくいく条件」と一緒ですね。
↓↓↓
では、これらのポイントを押さえつつ、もしキッズスキルを使って遅刻常習の社員の活力をアップさせる取組みをするとどうなるか?
遅刻癖の治らない仲間がいる前提で、その仲間や周りのみんなと一緒になって15ステップを実現していくための叩き台を作ってみました。15ステップの項目は、フィンランド式 キッズスキル―親子で楽しく問題解決! (ベン・ファーマン著・佐俣友佳子訳)の目次から項目抜粋。
問題:仲間の遅刻癖がなかなか治らない
01. 問題をスキルへ変換する:
寝る前に明日の期待されている課題とその充足イメージを膨らませる。
02. 学習するスキルを決める:
帰宅前に明日の課題リストと課題解決の幹だけをノートに箇条書き。3分程度。
03. スキルを学ぶことの利点を探る:
寝る前スッキリ、寝起きもスッキリ。周りも喜ぶ。お客さんも喜ぶ。
04. スキルに名前をつける:
幹リスト?∵木をイメージ
05. 味方になってくれるヒーローを選ぶ:
サポーター全員(顔写真つき)?
06. サポーターを募る:サポーターになってくれる人達を募りましょう。
部署メンバー、隣の部署メンバー
07. 自信をつける:
サポーターからの励ましの言葉の寄せ書き(≒社内ネットへの期待投稿集)
08. お祝いを企画する:
まずは1週間継続したら、報告を兼ねて食事会
09. スキルを明確にする:
遅刻克服のゴールまでの図解をつくる
10. 学んでいるスキルを公表する:
図解を社内ネットに投稿
11. スキルを練習する:
帰宅時に「幹リスト書きました」と一番近い席のサポーターに報告してから帰る。
12. リマインダーを作る:
パソコン上部に図解を貼っておく。報告なしで帰ろうとしていたら指摘してもらう。
13. お祝い会を開き、成功を祝福する:
サポーターのコアメンバーに、事前に「達成できたら、お祝い会をよろしく」と頼んでおく。
14. スキルをほかの人に伝える:
社内ネットで成功報告
15. 新しいスキルを決める:
次に克服したい課題を仲間との話から抽出。
こんな感じでしょうか??
★仕事を進める上で不可欠な「課題共認⇒役割共認⇒評価共認」をより実践レベルで言葉化しているのが、このキッズスキルやリチーミング。それは、まさに昔の序列に基づく教育・指導体制が無効となり、誰もが「子育てがわからない」「部下指導がわからない」今の時代だからこそ注目を集めているのでしょう。
尚、同サイトの実践編はまだ続くようなので、これからも応援したいですね☆
- posted by seiichi at : 17:19 | コメント (0件) | トラックバック (0)
コメントする