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2011年02月05日

今問われる「場づくり」の力 ~身近な集団から世界まで~

最近話題になっているTPP
今回は共同体の可能性を追求する当ブログの趣旨にもからめて、このTPPの問題を「場づくり」という視点で捉えてみようと思います。
目次は、
■TPPはルールづくり。すでに場はつくられている。
■場づくりとは何か?
■日本人には課題と可能性(半答え)が見えている
■これからの共認闘争は、活力ある場づくり競争

です。
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※写真は首相官邸HPからお借りしました

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■TPPはルールづくり。すでに場はつくられている
TPPを巡る議論ではネット界を中心にした反対論と大手マスコミを中心にした推進論の闘いが続いていますが、先日も英国のエコノミスト誌が菅首相の取組みに対して「小泉氏のように」と評価・支持する記事を掲載するなど、世界も含めて大手の論調は(申し訳程度に反論も掲載しつつも)基本的には肯定・推進へと驀進中です(参照:日本経済新聞5日付)
しかし、TPPは今まさに崩壊寸前の旧覇権国アメリカが起死回生のために、自国にとって都合の良いルールづくり、自由貿易の拡大を大前提にした貿易ルールづくりを進める場への参加であって、「百害あって一利なし」あるいは「慌てて加入する必要はない」という反対論の方が論理的に筋が通っていると思います。とりわけ反対派の急先鋒である中野剛志氏の言説は具体的な数値も含めて説得力があります(参照:ニュース・スパイラルhttp://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/01/tpp_5.html
ここで、多くの反対論者たちが口にしている「相手の土俵で戦っても、勝てるわけがない」とは、言い換えると「場づくりしたものが勝つのであり、ルールづくりでは意味がない」ということです。だからこそ「場づくり」の視点が重要になってきます。
■場づくりとは何か?
ではそもそも、場づくりとは一体どんなものなのか?
会議を例に取って考えてみましょう。すでに多くのビジネス書などでも取り上げられ、学生でも社会人でも痛感しているように、世の中には上手くいく会議と失敗する会議が確実に存在します。
そこで、成功している会議(場づくり)の成功ポイントを挙げてみると、
1)課題が明確である
2)可能性(半答え)が用意されている
3)当事者意識の高い参加者を集めている

更に一つ加えるとすれば、これらの要素を事前に参加者へ周知させている。このあたりがポイントになっているようです。
つまり、場づくりとは、課題×可能性(半答え)×参加者を事前に段取りすることであり、すでに準備の段階で「会議で何が共認でき」「参加者みんなが充足でき」「実現に向けて前進していける」までのイメージまでが見通せていることになります。
更に言えば、会議とは(いい意味で)「出来レース」であり、参加者みんなが「出来そう!」と思えるか否かが会議の成否を分けているのです(逆に言えば失敗している「会議のための会議」ではこの部分の意識と手間が欠けている)。
だからこそ、場づくりに成功した人(国)がその場の主導権を握れるわけです。今回のTPPの成否はまだ先が見えない状況ですが、今回米国が呼びかけている参加国の顔ぶれをみても実質的な場づくりの中心にいる米国の意図は明らかでしょう。
■日本人には課題と可能性(半答え)が見えている
では、日本はどうすれば良いか?米国の呼びかけを断わってもいいのか?
答えは「断わるか否かではなく、より魅力ある取引の枠組みを呼びかける側、つまり場づくりの側にまわってしまえばいい(TPP加入については米国との従来の関係も考慮して付かず離れずの関係を続ける)」。
でもそんなことが実際可能なのか?
そんな日本の可能性のヒントを、本田技研工業に勤めながらビジネス書も発刊している青木高夫氏の「ずるい!なぜ欧米人は平気でルールを変えられるのか」(ディスカバー携書・2009年)から引用してみます。
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※アマゾンよりお借りしました
一般の日本人にとってルールとは“エライ人が決め、作成に参画できないもの”であり、守るべきものですが、欧米人にすれば、守るべきものという点では私たちの認識と同じでも、“勝てないのならルールを自分たちで変えてしまえばよい”ということになります。(P30)
ルールに対する考え方の違いはわかっても、やはり「ずるい」という気持ちはおさまらないという方がいらっしゃるかもしれません。それは、私たちの考える立ち居ふるまいの美しさや行動の美学が、官やお上の決めたルールでなく、生活の中に溶け込んだ行動の基準であるからだと思います。流行りの言葉を使えば、これは「プリンシプル」・・・(P30)
ルールは「行動に関する規定」、プリンシプルは「行動に関する原則」とか「自分の流儀」と訳したら良いでしょうか。(P31)
まずは、ルールとプリンシプルの違いを理解したうえで、ルール作りへの参画を闘いの範囲に加えることが第一です。
 次に、ルールの作り方や変更の仕方にも、私たちのプリンシプルを入れ込んでいくことが大切であると私は考えます。(P40)

高木氏はこのように述べ、プリンシプルの事例として、
1 敵に塩を送った戦国武将・上杉謙信
2 倒れた相手を攻めなかったテニスプレイヤー清水善造
3 負傷した山下の足を攻めなかった柔道家ラシュワン

を挙げ、闘いの場として「ルール作りの最先端の場 ダボス会議」への積極的な参加を、日本の企業人たちに訴えています。
高木氏の言うこの「プリンシプル」こそ、人類本来の本源性(共同体性)を色濃く残し、辺境の島国ゆえに多様な価値観を包摂し、いち早く豊かさを実現した日本人だからこそ、これからの世界に自信を持って提示できる可能性に他ならず、それを課題と可能性(半答え)として新しい場づくりを進めていくことはそれほど難しい話ではない。
とりわけ文化面(クールジャパン・サッカーなど)において日本人の持つ同化能力や組織力について注目や期待が集まる現在、経済や政治といったより広い分野においても日本人の可能性を世界に向けて提示しやすい環境はすでに整いつつある。
ではもう一つ場づくりに欠かせない、当事者度の高い参加者をどう集めるか、をどうするか?ですが、ネットに通じている人たちであれば、敢えて語るまでもないでしょう。
ここ数年で想いを発信する場が急速に増えたこと(SNS、ツイッター、掲示板サイト)、そしてそれらの想いを集めるのも容易になったこと(検索サイト)。今中東で起きているデモの機動力を見れば明らかなように、同志を募るのは決して難しくない。
■これからの共認闘争は、活力ある場づくり競争
もちろん場づくり、それも世界レベルでの場づくりは容易なことではありません。米国・ドル一極支配から多極化という大きな流れの中にあって、財政面で苦しむ米国やいつ暴発するかわからない人権問題を抱えた中国が各々強大な軍事力を武器に強引な場づくりを仕掛けてくる可能性は十分にあります(参照:ヤスの備忘録http://ytaka2011.blog105.fc2.com/blog-date-20110106.html
しかし一方で、従来の私権拡大(市場拡大)という軸上での従来型の場づくりは確実に限界を向かえつつあり、それに代わる新しい場づくりも始まっています。
世界レベルで言えば、
・ダボス会議(世界経済フォーラム)も実は行き詰まり(参照:ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0
・EUという壮大な国家統合実験が危機にある(就業・移民問題に火がつくと厄介)
・G8⇒G20化(先進国主導はもはや無理)

また国内に目を転じても、
・記者クラブという場の行き詰まり(小沢一郎氏らの離反)
・名古屋で政令市初の住民投票による議会解散が実現
・上場企業の倒産や再編(⇒共同体的企業に注目。参照:日本でいちばん大切にしたい会社http://blog.canpan.info/nihon/
などがその例です。
そして、すでに豊かさを実現した日本人だからこそ、世界の中でも稀に「自分からみんなへ」「私権原理から共認原理へ」と転換した発想で場づくりができる立場にあります。
実際、この共同体ブログで紹介されているような共同体的企業がすでに日本にはたくさん存在していますが、これらの共同体的企業に活力あるのは、まさに自集団の充足だけでなく、より広い地域や社会での新しい充足の場づくり、繋がりに挑戦しているからです。
このように日本人の可能性を体現している先進的な企業や人たちが参加する場、つながれる場をつくっていく。そして、地方自治体運営でも、国家運営でも、(古い場が残り続ける中でも)まずはこうした活力ある新しい場づくりの成功例を積上げていく。そんな充足(成功)可能性は必ず世界にも伝播します。
例えば、それが今のダボス会議(世界経済フォーラム)に取って代わる新しい場づくりであり、やがては古い場と新しい場の間での場づくり競争、つまり課題×可能性(半答え)×参加者の中味の質を巡る共認闘争になっていく。それは昨今のコミュニケーションツールの発達を見れば、数年レベルで実現可能な話だと思います。
というわけで、急がば回れ。まずはTPP加入をうまく回避しつつ、平行して活力ある企業や人のネットワークを日本中に広げていく。それが今のわれわれ日本人にできる現実的な動きであり、一番の可能性ではないでしょうか。
☆これからも応援よろしくお願いします。
↓↓↓

 

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