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2010年07月30日

★シリーズ『会社って誰のもの?』 ~2.「株式会社の歴史」-1 生産集団の変遷~

あらゆる集団はその時々の状況によって変化する外圧適応態 😀 現代日本社会では、生産集団(企業)は、市場拡大という外圧にさらされて、“株式会社”が最もポピュラーな形態として人々に浸透していますね。
 
しかし、株式会社というのは、長~い年月をもつ人類史に対して、(その起源は紀元前までさかのぼれるとしても)社会全体に広まって本格的に浸透したのはここ数百年のこと。そう考えても、株式会社を十分に完成しきった組織形態と捉えるのは、ちょっと浅薄ですよね^^;
 
では、どういう生産集団の形態が今、のぞましいのか?
 
それを探る為にも、今シリーズの第5回は、時代も地域もこえたところの生産集団をふりかえってみたいと思います。
 
 
例えば中世ヨーロッパ。法人(人格をもつとみなされた集団)と言えば、大学、教会、自治都市、ギルドでしたが・・・
 
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例えば中世ヨーロッパ。法人(人格をもつとみなされた集団)と言えば、大学、教会、自治都市、ギルドでしたが、中でもギルドは、時代状況に合わせて新たに形成された、まさに“生産”という営みを軸にした集合体。人々が生産の営みを中心に集団をつくるという意味では、企業の前身とも言えそうです。
 

(役に立つ画像はこちらから)
 
ギルドは数百年の間、中世ヨーロッパ(北欧・南欧・東欧の広範囲)の町にいくつも存在していました。しかし、そのギルドもゆくゆくは存続できなくなり、その形は失われてゆきます。(他の形態に取り替わっていった、とも言えるでしょう。)
 
ギルドの発生、その集団の在り方と、消滅までの流れを追い、今後の追究につなげていきましょう
 
            
  
ギルドが発生する以前は、絶対的な縦の支配関係で成り立つ“封建社会”でした。生産は農業が中心、統合は武力によります。のちに、農業生産力が向上し、交易が発達、商業生産が興り、富が蓄積される。その中で都市という市場も開けていきます
 
市場社会になると、様相は一変します。
庶民にも私権獲得の可能性が開かれ、庶民、商人(企業)達がこぞって市場へ可能性収束することで、市場社会が形成されます。
>市場社会は、集団を超えた交換(統合)原理に基づく社会(18717)とあるように、古代・中世のような「縦積社会」とはならず、独自の共認内容を育む集団同士の連関(交換)を生む「複層社会」になります。

るいネット 国家私権とは何か?
 
農業→商業→工業へと生産の重点が移り変わっていく過渡期の中に存在したのが、“ギルド”でした
 
ギルドには主に2種類ありました。“商人ギルド”と“同職ギルド”です。前者はそのまま商人たちが組んだギルド、後者は、当初は商人ギルドに組み込まれていた手工業者たちが、次第に独立していって結成したギルドです。(その背景は次に述べていきます。)
 
 
ギルドの成立~
 
本格的にギルドが結成されていくのは、11世紀のこと。ギルドが発生した当時の外圧状況は、都市の形成。それには、農業生産力の発展から、各地方間の交易が盛んになったことが中心的な背景としてあります。商人ギルドが先行したのはここに理由があり、交易をとりもっていた商業人たちが、自分たちの利益を守るため、ギルドのような特権的な団体を結成する必要がまず生じたからなんです。そして同時に市民の中には、封建社会による支配から自由になりたい(⇒自治)という欠乏がありました。それゆえ、この時代は自治都市も多く誕生し、商業という独立手段を持つ商人たちによるギルドは、その中心的役割を担っていました。このときの力関係は、商人>手工業者です。
 
しかし、14、15世紀には、都市の手工業者の 黄金時代 がやってきます。そこでは、職人と商人との力関係は逆転しており、商人ギルドは消滅へ。その過程にはいわゆる“ツンフト闘争”があるわけですが・・・
 
ツンフト闘争は、商人が独占していた市政運営権を、職人たちも得ようと起こした闘争ですが、つまりそれは、商人ギルドにおいて、構成員が商人>職人という序列でがっちり統合されていたということがわかります。それに対して職人たちから反発が起こり、内部崩壊に至ったのは必然かもしれません。(そもそも商人ギルドには職人たちが組み込まれていたからこそうまく機能していた、とも想像されますね。)
 
では、職人ギルドは?
こちらも内部での固定的な身分序列はしっかり存在しました。徒弟制度(親方・職人・徒弟の身分序列)が統合軸の一つになっています。それぞれのギルドに制度が存在し、加盟には誓約を交わします。親方・職人・徒弟と、その家族たちの生活までもがそれによって規定されていました。ギルドは上層身分の親方にしか参画資格がなかったのですが、ギルド制度には職人・徒弟もしっかりと縛られていたんです。
 
 

(きれいな画像はこちらから)
 
 
一方で、ギルドという集団を“共同体”と捉える見方も支持できます。
 
というのは、ギルドの結成目的には、自分たちの経済的利益を守る(他所者の商売を許さず、製品の品質や規格、価格を厳しく統制、販売や営業、雇用の独占的な権利を独占することによって、自由競争を排除する)以外にも、生活全般での相互扶助がありました。定期的な集会に加え、祭事、宴会などを開き、冠婚葬祭を受け持ち合い、仲間の不幸に対して援助するという仕組みがあったのです。これはギルドの注目すべき性格でしょう。現代の生命保険や火災保険のような制度も、ギルド社会に起源をみることができると言われています。
 
当時の人々にも、ギルド=共同体としての認識が強かったのか、「共同体」の意味をもつラテン語の“universitas”が、ヨーロッパ中世においてギルド(組合)の意味合いで用いられていました。(しかし、西洋で言う“共同体”は、あくまでバラバラの個人が寄り集まったものとされ、集団>個人とみる日本人的思想からイメージされるものとは、少しズレがあるかもしれません。)
 
 
ギルドの衰退~
 
しかし、商人ギルドに続いて、16世紀以降には職人ギルドも衰退していきます。それはどうして???
 
一つは、階層の固定的な分化。その身分を利用して自分たちの利益を守ろうとした上部の親方層への反発、つまり、商人ギルドの崩壊と同じく、階級の下部から上部への反発が職人ギルド内部の崩壊につながったと考えられます。具体的には、職人によって“職人ギルド”(“ヨーマン・ギルド”と呼称される場合もある。)なるものが結成され、親方に対抗していくようになりました。これは今でいう労働組合的な団体です。ストライキなんかも起こしてしまうんですね。ギルド内部が経営者・資本家と、賃金労働者にはっきりとわかれていき(現代に通じるものがありますね^^;)、機能不全 に陥っていきます。
 
そして何より注目すべき背景は、市場の拡大、そこから派生する自由主義経済の高まりです。
 
中世も末期に近づくにつれ、農業技術の向上・農業生産力の向上に伴い、人口の増加、商工業の発達が促進され、農村の結接点、農業生産物・工業生産物の市場としての都市の活性化が起こりました。・・・こうした経済の発展につれて、中世のギルドやツンフトのような同業者組合の制度は、個人の競争による資本の蓄積を抑える働きをしていましたので、次第に経済発展の桎梏となってゆきました
鎌倉雪ノ下教会WebSite ホームページ
 
ギルドの縛りから逃れ農村に移住した職人による農村工業が盛り上がりを見せたことも、都市のギルドの没落に影響していきます。より多くの私権獲得を狙う商人に加え、半農半工を営む農民たちにとっても、自由な市場の形成を阻むギルドは邪魔になったんですね。また、非ギルド職人や15世紀以降発達した生産方式のマニュファクチュアを利用して、ギルドによって独占されていた手工業製品を市場へ出荷した富裕層の農民にとっても同じくでした。
 

(きれいな画像はこちらから)
 
こうして、拡大する市場社会、自由主義の思想に、ギルドの排他的・閉鎖的・特権的な性質がそぐわなくなっていきます。まさに集団が“外圧に適応できなくなった”一例ですね。
 
 
まとめ
 
ギルドがヨーロッパの広範囲にわたって数百年存続したのは、やはりそれなりの成功要素 があったからで、序列という統合の中にも、相互扶助的な共同体的要素を持っていたことはその一つの理由でしょう。また、ギルド発生の意義は、従来の封建社会(身分序列社会)を解体し、庶民に自由な身分を獲得させたことにもありました。
 
しかし、近代社会に向かうにつれて強まっていく私権(市場)拡大志向自由な私権追求に、ギルドの排他・閉鎖・特権性は相容れず、ギルドは衰退の道を辿ります。社会は大規模な遠隔地貿易で大きな利益を収めるようになり、産業も大規模化してゆき、もはや中世のギルドでは、新しい時代の要求に応じきれず、そこで、新しい集団の形態が登場してきます。
 
それが“会社”そして、“株式会社”でした。
 
ということで、次回は、“株式会社”の歴史に焦点をあてて、時代をふりかえってみたいと思います!
 
お楽しみに

 

コメント

最近は「稼働率100%の宿」が注目されるなど、長年の蓄積による力が評価される傾向にありますね。
逆に言えば、マスコミがセンセーショナルに取り上げるポッと出のネタは怪しまれる傾向にあり、「本当に必要なもの」「本当に良いもの」を皆が求め、そういった事物が生き残っていく時代になったのですね。

  • 羊熊
  • 2011年1月6日 11:44

大黒屋さんぜひ行ってみたいですね☆
どういった視点で社会を見つめ、企業として役割を果たしていこうとされているのか?また詳細レポートを楽しみにしています。

  • みちお
  • 2011年1月6日 11:46

>羊熊さん、コメントありがとうございます☆
そうですね。宣伝を派手にしなくてもいいものには人が集まる、逆にいくら派手に騒ぎ立ててもイマイチなものには集まらない。みんなの目が肥えてきたということですね♪

  • はるっこ♪
  • 2011年1月10日 17:09

>みちおさん、コメントありがとうございます☆
行ってみたいですよね~♪
そして室井さんやスタッフの方々とお話してみたいです☆+゜
学ばせていただく点がたくさんありそうです(^^)

  • はるっこ♪
  • 2011年1月10日 17:11

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