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2010年08月11日

★シリーズ『会社って誰のもの?』2-2 株式会社の歴史:現代の企業につながる起源は?

 さて、前回は生産集団の起源として中世ヨーロッパの都市における「ギルド」という組合組織について調べてみました。
 「株式会社の歴史」-1 生産集団の変遷~
 今回は、いよいよ現代における主たる会社形態である「株式会社」にいたる歴史を振り返ってみましょう。
 ちなみに、現代の企業に発展していく段階としては、4段階あると考えられています。

1)先駆企業(国家や商人が中心となった海上交易のための企業活動)15~17世紀 
 十時軍(略奪)や交易による富(資本)の蓄積→領主や商人階級の台頭→さらなる私権拡大のための企業組織へ発展
 現代の匿名組合、合名会社、合資会社、株式会社につながる起源形態。societas(ソキエタス)、commenda(コンメンダ)、joint-stock company(ジョイント・ストック・カンパニー)などがある。
2)家内営業(中世の都市工業) 11~15世紀
 家計の充足のための組織であり、徒弟制度(親方と弟子)による身分関係による組織統合。職人ギルド(ツンフト)は、そのような家内営業の同業者団体といえる。
3)企業への転化(商人や産業資本による工業の支配) 16世紀~19世紀
①問屋制家内工業(商人から原材料の前貸しを受けた小生産者が自宅で加工を行う工業形態)
②マニュファクチュア(工場制手工業) 16世紀
③工場制機械工業と大規模交通機関 18世紀
 これらの段階を経て、家内営業段階では各職人が有していた技術や道具といった生産手段が、徐々に大規模な機械に置き換えられ、生産者は生産手段を持たない労働者へと変質していきます。背景には、社会背景としては、囲い込みによって農地を追い出された(農地という生産手段を奪われた)都市住民の増加があります。
4)近代企業(近代会社法に基づく営利事業組織) 19世紀~
 身分制度崩壊→工場制誕生→賃金労働者出現→近代企業(営利事業組織)へ発展
 資本主義社会における企業形態といえます。産業革命、市民革命を経て19世紀の欧米諸国での近代会社法の制定以降に急速に普及、現代に至る。

 最初に生まれた「先駆企業」は、主にヨーロッパにおける交易活動(後には世界へ向けての大航海にまで拡大)のためのものだったのです。
 では、なぜ、それらが人類初の企業形態として生まれてくることになったでしょうか?最初にそのあたりの背景や歴史から見てみたいと思います。
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◇企業形態の発展史
まず、前回のギルドも含めた企業形態の発展史の全体像を見てみましょう。

①コンメンダ:匿名組合(的な形態)
 中世の地中海貿易に際して、イタリア諸都市では、船舶所有者と出資者がコンメンダ(commenda)と呼ばれる契約を締結し、海上企業活動を行っていたといわれています。これは、出資者がお金を出して、事業者が事業を行い、その結果としての儲けを分けるという形態。10世紀頃に生まれ、15~16世紀には全ヨーロッパに広がっていきます。
 ただし、相手をどれだけ信用できるかによるため、出資する人の範囲が限られること(少ない)がネックとなっていた。ちなみに、航海によって得られた儲けを記録する必要があったことから(利益が確定しないと分配ができない)、いわゆる複式簿記の発達を必要とした。
②ソキエタス:合名会社(的な形態)
 協働組合に近い共同事業形態で、主に商人が家族的連帯によって事業を行う形態。14世紀頃から普及しはじめ、15~16世紀には全ヨーロッパに普及した。特に、イタリア(フィレンツェ)のメディチ家、南ドイツのフッガー家などが巨大組織を作り上げたことで有名。  
③ソキエタス+コンメンダ:合資会社(的な形態)
 ソキエタスの少人数のグループが共同事業を行い、それらのソキエタスの背後にコンメンダ出資(持ち分出資者)をしている人たちがいる企業形態。より、多くの出資のみをおこなう持ち分出資者を募ることができるようになった。
④ジョイント・ストック・カンパニー:株式会社(的な形態)
 ソキエタスの共同事業+コンメンダ出資=合資会社形態では、かなり大きな資本が集中できるようになりました。しかし、逆に企業組織が巨大になりすぎると、その活動によってもたらされるリターン(利益)も大きくなりますが、同時にリスク(損失)も大きくなります。
 となれば、共同事業の中心にいる人(ソキエタスの共同事業者=支配出資者)は無限責任を負わなければならないために、これ以上リスクを負えなくなる段階が来てしまう。よって、事業者たちの要望として、事業の中心にいる支配出資者(ソキエタスの共同事業者)も有限責任にしたい(出資額以上のリスクは負わなくて良い)という要望が出てきます。そして、より多くの資本を集めて事業を拡大したいという想いが生まれる。
 そこで出てきたのが、「ジョイントストックカンパニー」という当座組織(1航海ごとに清算し解散)における株式会社でした。名前の通り、より多くの資本を合体することで、より多くの資本(お金)を集めることに成功した形態でした。 
 しかし、同時に、より多くの資本家から出資を得たことで問題も生じます。大人数で共同事業を行おうとすると、資本は集まりやすいが、「船頭多くして船山に登る」というように統合できない状態となる。また、16世紀後半に大航海時代へと突入したことによって、それまでの近海の域内交易のように目が届く範囲を超えて、遠洋航海に出ることで、資本家(出資者)はすべてを管轄することができなくなります。
 よって、「資本家→船長→船員」というように実際の経営や事業活動を委任せざるを得ない状態、つまりは「所有と経営の分離」が起きることになります。

コチラよりお借りしました。
1600年 イギリス東インド会社:航海毎の当座企業。簿記や会計監査などの民主化を推進。しかし、航海毎に解散する当座企業形態のため、資本の継続的拡大(再投資)がなされないことがネック。
1602年 オランダ東インド会社 当座ではなく初の永続企業。全社員の有限責任制が実現。永続性と有限責任制は、現在の株式会社につながる起源とされる。
 こうして、中世ヨーロッパの会社形態の発展史を振り返ると、交易範囲と商品の拡大による急速な市場の拡大(という外圧)に、どう適応し、できるだけリスクを減らしてより多くのリターンを確保できるかという「(国家や商人の)私権拡大」が目的であったことがわかります。そして、同時に出資者と出資規模の拡大、および事業を行う組織の拡大に伴う組織統合限界をいかに突破するかの歴史であったといえます。
 一言で言えば、「資本集約力」と「組織統合」という矛盾する課題を(出資者を増やせばが意思決定が困難となり、少数の共同事業では資本が集められない)、いかに統合するかということになります。
 
 ちなみに、各会社形態を語源で見ると、その性質的な違いがわかります。

 合名会社 an unlimited partnership(無限責任の共同経営)
 合資会社 a limited partnership(有限責任と無限責任の共同経営)
 株式会社 a joint-stock company
  joint  共有の, 共通の, 合同の, 連帯の
  stock (会社の)資本金;株券;((米))株(式)

 日本語では、同じ会社でも、語源で見ると、合名会社と合資会社は、partnership(共同経営)であって、株式会社company(合同資本の会社)とは違う集団形態です(よって、合名会社、合資会社は人的会社=人のつながりがベース、株式会社は物的会社=資本を集める機能がベースと区分されます)。
 しかし、この株式会社という会社形態は、17世紀初頭に現れてから、1~2世紀は国が免許を与えた一部の会社にしか広がらず(特許会社という独占企業)、19世紀からようやく広く一般に広がり、そして、20世紀には大企業から中小企業にまで普及していくことになります。
 次回は、株式会社がなぜいったん規制されたのか、そして19世紀以降、一気に広まっていったのかを、他の会社形態との比較も行いながら見ていきたいと思います。
<参考>
「企業形態の展開(1):株式会社発生史」桜井徹氏

 

コメント

>普通は、「会社にいる時間=業務時間(=現業時間)」のことを指し、所属する部門の業務以外の活動は、基本的に制限されています。
に“そうか、他社ではそうなるのかぁ”と逆に納得してしまいました(^^)
類グループにいると状況に応じて変化していくのが当たり前って思っていたけど、みんなで状況を読み、すり合わせをして、いい方法を考えていけるのも、「自分たちの生きる場を自分たちで作っていく」共同体だからなんですね♪♪
感じた可能性を実現できるって、やっぱりすごい!ありがたい(^^)
気づきの多い記事をありがとうございます☆

  • 嶺山
  • 2011年1月14日 17:16

入社一年目でも「これってどうなんでしょう?」と社内ネットに投稿すると、もっと良くできるチャンス☆と捉えてみんなが実現に向かうのが類グループ。
みんなが「自分たちの生きる場を自分たちで作っていく」、もっと良くしていきたい!って常に考えているからなんでしょうね(v v*)♪
“活動”の話も意識していませんでしたが、確かに!!って納得でした!素敵な記事をありがとうございます♪
そして、今週アップの劇場会議もお楽しみに☆☆

  • 三上
  • 2011年1月17日 19:29

発信するためには主体性が必要☆
主体性を上げるためには、役割が必要☆
社内ネット活性化の秘密には、みんなの役に立てる役割や場が用意されている、さらに、活動システムによって「見える化」されているところが、なるほど!と思いました!!

  • hashi
  • 2011年1月18日 18:57

嶺山さん、三上さん、hashiさん、コメントありがとうございます(^^)
今回のシリーズでは、類グループの「魅力」に焦点を当てて、記事を書いてきていますが、
>「自分たちの生きる場を自分たちで作っていきたい」<
という想いは、どの企業で働く人にとっても潜在的に持っている普遍的な想いだと思います。
その意味では、今回のシリーズを通して、この理念が社会全体に拡がっていくことを期待しています♪
>発信するためには主体性が必要☆
主体性を上げるためには、役割が必要☆<
というhashiさんの視点は、どの企業でも実践できるシステム構築の秘訣ではないでしょうか!

  • 安藤
  • 2011年1月25日 18:58

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