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2010年10月02日

経営コンサルティング業界の実態と今後

外資系コンサル、シンクタンクと言えば、私(雅無乱)が学生だった頃(バブル~バブル崩壊の1990~1995くらい)にはまさに花形業界だった。
当時は、最も優秀な人材の多くがそういう業界に就職していったものである。
現在は…、というと、以前ほどは聞かれなくなったような気がするが、企業が市場の縮小やデフレなど新たな外圧に対応しなくてはならなくなり、その中で業績を上げていくために、やはりそれなりに重要な位置に存在しているような気もする。
ちょっと興味を持ったので、
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この本を参考にして仲間と議論しながらまとめてみた。
…というわけで、ちょっとお付き合いください。

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■コンサルティング業界の実態は?
歴史的には、19世紀末から会計事務所が行うコンサルティングサービス部門が独立して、独自の経営アドバイスをする機関として始まった。
出自による分類で見ると、
1)会計事務所系
 :アクセンチュア、トーマツコンサルティング
2)戦略系Ⅰ=大企業向け・大手事務所
 :ボストン、マッキンゼー
3)戦略系Ⅱ=独自性・大手独立組
 :ドリームインキュベータ、エクシード
4)日本独立系=日本独自に進化
 :タナベ経営、船井総合研究所
5)銀行・証券系=シンクタンク
 :大和総研、日本総合研究所

経営コンサルの導入に抵抗のなかったアメリカ(←経営者と株主の明確な分離が前提にある)に比べ、日本においては、経営の根幹部分をコンサルティング会社に委託することは、一般的には格好悪い事(「自分たちの会社も第三者を入れないと操縦できないのか?」)と見なされてきた。
しかし、バブル崩壊以降の市場開放圧力→規制緩和、新たな法制化が進む中で、持ち株会社やM&A、ISOなどグローバルスタンダードを企業経営に取り入れざるを得ない…など、全く新しい状況が生まれ、法制化とセットでその運営ノウハウを提供する外資系コンサル会社が日本企業(その多くは上場企業)の顧客化を進めていった。法改正に伴う実務運用コンサルと、事業拡大コンサルが主軸と言える。
アメリカのやり方はなかなかに巧妙である。
政治的には、国家レベルで市場開放圧力、規制緩和圧力、グローバルスタンダードの押し付け、などを行ないながら、それに伴って自国のコンサルティング企業を送り込み、「経営指南」と称して実質的に日本の企業の幹部分に寄生しつつ乗っ取っていく。
現在では、特許トロールの被害を防ぐための方策をコンサルするよ、といって日本に進出してきている企業がある。これなども、マッチポンプもいいところである。
一方で、日本の独立系コンサルティング会社は、船井総研が特徴的だが、これらグローバル化の流れとは一線を画した形で進化発展してきた。
主要顧客は中小企業であり、組織や企業のネームバリューよりは「スターコンサルタント」による属人的な動きで顧客と一体となってコンサルするのが特徴。業界別に具体的なマーケティング戦術を提供する形が多い。
尚、最近の日本における業界動向は、基本的に低調。1、2のようなネームバリューはあるが中身が薄くコスト高の大手ファーム型を中心に99%は苦戦している。そんな中で成功しているのは極一握りで、事業会社の社長自らが講演・研修、執筆をしたり(武蔵野など)、ハンズオン(リンク)という形で顧客企業に入りこみ成果報酬で請負う形(ソフトブレーン、河井拓、FRIなど)など。同じく、盛和塾、船井総研は比較的成功している部類に入るようだ。
以上を図解化すると、
市場縮小 → グローバルスタンダード導入という課題(→市場延命)
      ↓↓          ↓↓
     実務系コンサル   ⇒ マーケティング系コンサル
    (法の運用どうする?) (既存事業でどう稼ぐか?)
                  ↓↓
                 事業企画系コンサル
                (新規事業展開どうする?)
                  ↓↓
                 人材活力系コンサル
                (人・組織をどうする?)

という形で、企業側の需要に答える形でコンサル業界の業務の中身も変遷してきており、それに応えるだけの実力を持ったコンサルが生き残ってきた。
また手法も、講義型・研修型から、どっぷりとその会社の中に入って行なうハンズオン(実演)型へ…とより当事者度を試される方向で変化してきていると思われる。
船井総研はどうやら、書籍あるいは、各地で開催している勉強会(セミナー)に感銘を受けた経営者をうまく巻き込み顧客としているようだ。実際、経営に対する危機意識の強い経営者たちは、このような勉強会(セミナー)を渡り歩き、自身の会社の壁を突破してくれそうなコンサルタントを探索している。
船井総研のHPの、コンサルティングの成功事例などを見ていくと、「マーケティング+α」という形の事例が大半だが、一部には組織活性化、人材活性化コンサルの事例もある。
今後は、外資の圧力に対応するためのノウハウを得るためのコンサルと、企業の業績を上げるため(そのために組織・人材をいかにに活性化するか)のコンサルと、大きくは二つの方向に可能性収束していきそう。
そのうち、業績UP←そのために組織・人材活性化、の必要に応えて、経営情報を全社員で共有する、社内掲示板を導入する、経営権を全社員に付与していく、全員で経営会議を開く、など、企業の共同体化をすすめていくコンサルの需要は、今後ますます大きくなっていくのではないだろうか。

 

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