2011年08月12日
「人口減少社会の衝撃!!これからの働き方はどう変わる?」13~企業には自治権がないって本当?~
前回記事「労働法の狙いと社会背景4~労働者の定義って?」では、改めて労働者の定義についてみてみました。
労働者と使用者(経営者等)を区分し、一方的に指示を受ける労働者を守るという枠組みも今では成立しなくなってきています。
同じく、働く時間や条件等についての一律的な基準を定めている労働基準法も現在の企業経営の足かせにさえなってきています。
今回は、「労働基準法が企業の(働き方の)自治権を侵害している」ということについて押さえてみたいと思います。
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1.「労働者を守る労働基準法」VS「企業を守る就業規則」って何かおかしい!?
就業規則というものをご存知でしょうか?
■就業規則作成の目的
◇就業規則を作成するのは何故?
就業規則は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届けなければならない。(労働基準法89条)」。
この法律に決められているから作成して届出を行うのですか。
確かに労働基準法89条で決められているため作成しなければなりませんが、就業規則の目的はそれだけではありません。
■就業規則は生き物?
・また、多くの場合、就業規則は書店などで販売されている就業規則の雛形を流用したり、同業他社の就業規則を流用したものだったりずっと以前に作成されたま ま内容を見直しをしていないのが現状です。今まではこれでもよかったかもしれませんが、昨今の「個別の労働紛争の増加」すなわち退職した従業員や在職中の 従業員とのトラブルによる平成21年度の総合労働相談件数(平成22年5月25日 厚生労働省のプレスリリースによる。)が1,141,006件と平成 20年度よりさらに6.1%増加しております。
・労働基準法は、極端に労働者寄りの法律であり、労働者を保護するための法律です。そのため、会社を守る、経営者を守るには最新の法令に合致した就業規則が必要になります。
・そのため「会社の憲法」である就業規則に労務に関するルールを決めずに争った場合、ほぼ経営者側が負けてしまいます。
井上光労務サポートオフィスより抜粋引用
つまり、「労働基準法」は極端に労働者寄りの労働者を守る法律のため、それに対抗する為に経営者(会社側)は、同じく法に則った「就業規則」を作成しておかないと、近年増加している労働紛争(労務関係)の被害から会社を守れないということです。
しかし、同じ会社という集団でありながら、あえて労働者と経営者の分断や対立を前提とし、それぞれを守る法律や規則を設けておくというのも何か違和感があります。
それであれば、共通の目的の元に一体化した方がいいのではないでしょうか?
そして、それができない原因を取り除いていく方が重要だと感じます。
では、会社を脅かすほど労働法が強くなってしまっているのは何故でしょうか?
2.企業には働き方を自ら定める自治権がないって本当??
労働法の中心でもある「労働基準法」とはどのような性格の法律なのでしょうか?
■労働基準法の性格
◇強行法規としての性格
・強行法規とは、法律関係の当事者の意思に関係なく適用される法規のことをいいます。労働基準法で定められている最低基準を下回る条件で、労働契約を締結した場合は、例え双方(使用者と労働者)の合意があった場合でも、労働基準法で定める最低基準を下回る部分については、無効となり、無効となった部分は、労働基準法で定める基準で労働契約が締結されたものとみなされます。
◇取締法規としての性格
取締法規とは、法律に定められた特定の行為を禁止したり、制限したりする規定のことをいいます。取締法規に違反した場合は、罰則等が科されます。労働基準法では、定められている労働条件の遵守を事業主(使用者)に徹底させ、もし事業主(使用者)が遵守しない場合は、罰則を科すように規定されています。
また、労働基準法を施行する為に、監督機関として、各都道府県に都道府県労働局及びその管内に労働基準監督署が設置されています。
そして、労働基準監督署等には、労働基準監督官が配置されており、労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について逮捕権等をもつ司法警察官の職務を行うことになっています。
なお、労働者側も事業主(使用者)に労働基準法違反の事実があれば、労働基準監督署や労働基準監督官にその事実を申告することができます。
「ねっと就業規則相談室」より抜粋引用
労働基準法は「強行法規」のため、当事者間(経営者と労働者)の意思に関係なく強制される性格のものであり、「取締法規」のため、労働基準監督官は逮捕権まで持つ司法警察官としての権限を持って経営者側を取り締まるとのことです。
これでは、経営者側も防衛せざるを得ません。
しかし、このシリーズでも調べてきたように労働基準法が施行されたのは、戦後まもない’47年です。既に60年以上経っており、当時と今では生産構造(工業生産→意識生産へ移行)も変わっています。
参考:「労働法の狙いと社会背景2~労働組合法は日本弱体化のためつくられた」
にも関わらず、業種や業態、会社規模や成長段階もすべて一律に強行的に取り締まるという法そのもののあり方がおかしいのではないでしょうか?
これでは、企業や労働者自身に職場に関して話し合い、自ら運営していく自治権がないのと同じです。
企業や労働者に自治権を取り戻す為にも、旧態然とした労働法と会社法を統合していく必要があります。
参考:★シリーズ『会社って誰のもの?』4-2~最終回 共同体企業の実現には「会社法」と「労働法」の統合が必要~
次回は、こういった状況においても、独自の方法で働き方に工夫をして社員の活力を上げている企業の事例等を紹介してみたいと思います。
それは、これからの新しい企業像につながっていきます。
読んで頂いて有り難うございました。
- posted by systema at : 18:06 | コメント (2件) | トラックバック (0)
コメント
「企業の進むべき道」、
面白そうなテーマですね!
続きを楽しみにしています。
michelleさん、ありがとうございます。
調べれば調べるほど、いろんな意味で奥が深くて。。。
でも、追求仲間の力に期待しつつ、頑張りますのでご期待下さい。
閨閥とか、ホントにもう、驚きの世界ですからね。
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