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2011年10月08日

自分達の生きる場を自分達で作る~株式会社21~

☆企業が大転換を求められる時代
work_max.jpg「家族的企業経営」という言葉があったように、かつての日本の企業には、底流に経営者から社員の家族までが一体となった共同体的な意識がありました。企業は、社会的な役割意識や、会社も社員も成長して豊かになるという目的を共有する集団として統合されていたのです。
しかし、1970年に豊かさを実現すると、企業の有り様は大きく変化しました。「地位やお金を獲得しなければ生きられない」という圧力を克服した事で、お金や地位を振りかざして組織をまとめていく方法(序列統合)では、組織が上手く統合できなくなってきています。
その結果、近年では、社員の活力衰弱や自己中化、それまで考えられなかったようなミスやトラブルの続出、誤魔化し隠蔽の横行など、社会的に企業の綻びが目立つようになりました。
また、80年代以降には海外からの圧力で、「働きすぎ」、「余暇が大切」、「仕事=嫌なもの」といった価値観が広められてきました。そして、それは労働時間の短縮などは法制度としても固定され、その後の成果主義の導入やリストラも雇用者と労働者との溝を深めるばかりで、前述の状況に拍車を掛けています。
更に最近は市場崩壊の危機も見え始め、現在の企業はもはや「これまで通りのやり方ではもうもたない」という大転換の時代を迎えています。
このような状況の中、共同体的な経営を実現し、躍進しているのが、今回紹介する「株式会社21」(メガネ21)さんです。
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☆全員で働こう、みんなで分け合おう
広島にある「メガネ21」さんは、1986年に設立されました。年々成長し、現在では、全国で128店舗も展開して、リーマンショック以後も躍進を続けています。
その設立の切っ掛けは、元々広島の大手メガネ店に勤めておられた創業者の平本氏のリストラからでした。ある日、元の職場で、共同体的な経営を行っていた社長に代わり、アメリカから帰国した社長の娘さんが新社長に就任します。

新社長は、早速アメリカスタンダードといいますか、経営はこうあるべきという信念のもとに、ノルマをどんどんかけてきまして社員同士の競争が激烈になりました。 ところがある時、社長がこう切り出しました。
「この会社はあなたたちの会社ではない。お父さんから私が譲り受けた会社です」 
「いや、僕らは共同経営職としてここまで頑張ってきました」
と私たち。
 それから内紛が絶えなくなり、ついに私たちは解雇されました。
『対談 「21(トゥーワン)の人事破壊」』より引用

その後やめた仲間と4人で立ち上げられたのが「メガネ21」です。
そこでまず最初に行ったのが、10億の利益があってもの5割以上を税金で収め、4割が同族の収入になっていた前の職場のような形態の破壊です。

topimage.jpg同族はいないし、社長の取り分もなしでいい。五五%の税金も納める必要がないようにしようと。うまくいけば一〇億円の利益をあげなくたって、二億円さえ利益をあげれば、社員の給料は倍になると考えました。(中略)そこで私たちは、社長、専務、常務、部長の仕事を全部なくし、「全員が働きましょう、そして稼いだ分を皆で分けましょう」ということにしたのです。 『対談 「21(トゥーワン)の人事破壊」』より引用

平本さんたちは、その後「全員が働き、みんなで分け合う」会社を実現していく為に、自分たちの想いに沿った体制づくりに次々に着手されます。
☆出資者=経営者=生産者の仕組みが、自分達の生きる場を自分達で作ることを可能にする
その中核にあるのが、社員が出資者・経営者・生産者を兼任して、業績に応じて利益をみんなで配分する、社員出資制度です。

megane01.jpg資本主義社会では、会社は、出資者のもの。
だから株主や銀行etcは、利益第一で、やりたくもない仕事を押し付けたり、大切な仕事を奪ったりします。
と同時に社員は、経営(現実の圧力)を一切考えず、私的な要求を押し通したり、さぼったりします。
つまり、資本主義のこの経営システム自体が、自己中を増長する仕組みになっているんです(>_<) それを突破するのが、社員自身が出資者となる「社員出資制度☆」
出資者=経営者=生産者の仕組みが、自分達の生きる場を自分達で作ることを可能にします!(*^▽^*)
(中略)
■メガネ21
>一部の債権者に利得が偏れば、多くの債権者から信頼を失い社員が不幸になると考えています。お客様の満足度を最優先させた値下げ・品揃え・店舗は経営を危うくします。取引先を最優先する仕入値・納品・商品開発は、お客様から見放されます。社員・経営者の労働条件を最優先すれば、お客様・株主が逃げて行きます。株主を最優先させた株価や配当では社員の労働意欲が無くなります。一部の大株主や経営者が会社を私物化すれば組織が崩壊します。(リンク
出資者・経営者・労働者の3者が納得する利益分配は難しいけど、一人が二~三役をこなせば利害相反関係が弱まり利益分配や経営権委譲の争いが少なくなるリンク
『「社員出資制度」のススメ☆ 出資者=経営者=生産者の仕組みが、自分達の生きる場を自分達で作ることを可能にする』より引用

三位一体の体制を確立することで、会社は正に社員が当事者として生きる場になっています。そしてその先に、
・銀行借入なしの無借金経営
・会社の内部保留0で、売上げを社員とお客さんへの販売価格に還元する体制
を確立し、業績が上がればあがるほど社員にもお客さんにも喜ばれる経営を実現して、業績も伸ばし続けているのです。
☆企業の閉塞を突破する社内ネット
また、メガネ21さんでは「給与及び賞与明細」・「会社の預金残高」・「経営指数」・「人事情報」・「部門別損益」・「提案内容(社内掲示板)」・「社員の社内借入金額」・「社外との意見」・「要望」・「クレーム」・「税務調査の詳細」が全て社内ネットで公開されています。

よく、「評価を皆に公開して揉めないのか、この評価は本当に正しいのか」と聞かれることがありますが、私は「この評価は間違っております」と答えることにしています。 
普通、評価を正しくしようとする場合、調整力で何点、アイデアで何点、部下の面倒見で何点というようにして、ものすごく時間とエネルギーが費やされます。それを私は簡単にやってしまうことにしました。本当にアバウトなんです。「これで間違っていたらいってください」と皆さんにお願いしてますが、誰も何もいってこないですね。 『対談 「21(トゥーワン)の人事破壊」』より引用

全てが公開されている事で、社員全員が同じ状況認識から課題、成果、評価を共有できる様になっています。そして、
・経営会議を廃止し、投稿された意見には、3日間反論が出なければ決議
・お客さんからのクレームが、人材教育の材料
・『皆が見ている』が最高のチェック機構

という規範によって、社内ネットを通じて、多くの企業が抱えている、時間が長いだけの会議へのもたれかかりや密室化の撲滅、ミスやトラブルの改善も実現しています。
☆感謝の心を損なう「有給制度」に代わる、『有給休暇一括買取方式』
メガネ21さんは、人事破壊や内部保留0の会計制度が注目されがちですが、社員の奥底にある想いを細やかに体制に反映されています。そのひとつが、『有給休暇一括買取方式』です。

22.jpg仕事って、自分が休んだ分、誰かが代わりに担ってくれていますよね。
会社をお休みする必要が出るときはもちろんありますが、休むことを“当然の権利”としてしまうと、お休みをいただく=みんなが支えてくれることに対する感謝の心が薄れるどころか、要求的(自己中)な人のそんな心の在り様が前向きなみんなの活力を削ぐことに。。。
それに、会社・仕事の状態より自分の権利を優先しているようでは、いつまで経っても経営者(当事者)の視点には立てません。
でも!!!
共同体化に挑戦する多くの企業がぶつかる、そんな矛盾を解決する画期的な制度を発見しました♪
「有給制度」に代わって、メガネ21さんが取り入れられている『有給休暇一括買取方式』です☆
※以下、メガネ21さんHP(リンク)より引用・抜粋
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『(株)21は全社員の賛同を得て有給休暇買取を行い給与・賞与で支給しています。』
『一般論では、有給休暇は働かないで給与を頂くことです。その原資は、どこから来るのでしょう?一般的には会社の利益を減じて支給されます。よって有給休暇を完全消化する人は、経営者から悪人扱いされ易いのです。』
『(株)21は会社に利益を残していませんから、休んだ人に給与を支給する場合は、他社員の賞与を減じなければなりません。それでは有給休暇を取得した人は皆から嫌がられます。』
『よって、休んだ人をフォローした人達へ休んだ人の給与を分配しようと考えました。休む人は遠慮せず休暇を取得できますし、忙しい思いをした人は所得が増えます。これで、休暇の多寡で人間関係が悪くなりません。』
『よって、全社員は有給休暇一括買取方式を支持しています。』
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感謝の心を損なう「有給制度」に代わる、『有給休暇一括買取方式』より引用

これまで見てきたように、メガネ21さんは、たとえそれが既存の枠組みを大きく逸脱するものであっても、社員やお客さんの奥底にある想いに沿って素直に体制を作り出し、「自分達の生きる場を自分達で作る」ことを続けてこられました。
そして、共同体経営を実現する体制を敷けば、社員の活力・心のありようも変わり、結果的に現在多くの企業が抱えている問題は突破できるのだということを示されていると思います。

更に、創業者の平本氏は現在、「眼鏡経営塾」を開講されており、眼鏡店の経営の体験、独立の支援、自営業の眼鏡店の跡継ぎの教育、共同出資者の育成などに取り組み、メガネ21で培われた経営を伝授されています。
この「眼鏡経営塾」は、活力ある共同体企業が連なり、増えていくことで、これからの社会を活力のある方向に変えていく可能性を広げる事業でもあると感じました。

 

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