2011年11月14日
全国素敵企業 訪問レポート 「カミテ」~社員の働きやすさを追究するファミリー・フレンドリー企業☆.。.:*~
画像はこちら等からお借りしました。
訪問レポート第三弾は、秋田県にある精密プレス加工の『株式会社カミテ』さんです
カミテさんの素敵ポイントは、社員が働きやすい場づくりを徹底的に追究し、それが社員の高い活力を生み出し、結果として高い生産性を実現していることです
具体的にどんなことをやっているのか興味を持たれた方は、フレンドリー応援クリックお願いします 😀
◆企業紹介~高い技術力を生み出している多能工制度~
カミテさんは秋田県鹿角郡小坂町にある金型およびプレス部品を製造している会社です
資本金6,000万円、社員32名の典型的な中小企業。
顧客企業に高い技術力が認められ、ソニーを始め、オリンパスやキヤノンなどの関連会社が名を連ねています
この、高い技術評価を生み出しているのが、少数精鋭主義の多能工制度です
総務、経理などの事務部門の人も現場の作業のエキスパートに育成しているのです
事務の仕事を明日に延ばしても何とかなりますが顧客への納期は延ばせません
いつでも誰でも現場の仕事を肩代わりできるのです
多能工制度を採用することで、少数精鋭主義のもう一つのポイントである「非定員制」も実現出来ます
金型、プレス、検査、梱包・出荷などたくさんの仕事がありますが、どの仕事の量も山あり谷ありで一定していません
しかし、余裕のある人が直ぐに忙しい職場に回って支援し、一気にこなしてしまいます
カミテさんには「それは私の担当外」などと言う人は一人もいないのです
カミテさんの高い生産性を生み出す多能工の育成には長い期間がかかります。
一つの部門に3年程度在籍し、ローテーションしながら技術を学ぶそうです。
多能工制度を実現するには、社員が会社に定着して長年働いてくれる必要があるので、仕事と家庭を両立できる環境を整備するために、育児休業制度、介護休業制度とも、法律を上回る制度を確立し、また工場敷地内に託児所を設置して保育士2名を常駐させています
このような会社が実現出来たのは上手康弘社長が高い経営理念を掲げているからです 😀
一、少数精鋭主義により、お客様の成長発展に貢献することを第一とする。
一、社員と会社の双方の発展、幸福を追求し、明るく楽しい職場づくりを目指す。
一、堅実と誠意を持って、地域社会の発展のために貢献することを心がける。
利益の追求ではなく、社員、お客様、地域社会、みんなのためになる会社を本気になって追究してこられたから実現出来た会社だと思います
参考:経営者の視点に学ぶ~全社員が高い当事者意識をもつ㈱カミテ~
◆託児所・工場見学
◎託児所見学~社員が安心して働くことが出来る施設~
カミテさんの「ファミリー・フレンドリー施策」の一つである、カミテチャイルドハウス(事業所内託児所)の見学をさせていただきました♪
開所したのは平成12年で、女性の総務課長の出産を控えた際に社長が発案し、その時の社員の8割に需要があったこと、そして社員の賛同の声も多かったことにより開所に至ったそうです
この託児所には、ゼロ歳から小学校低学年の子供たち を預けることが出来、保育時間は午前8時~午後7時。
有資格保育士2名が常勤し、保育料は無料です
子供のいる社員はほぼ全員利用しており、最近では子供の数が少ないこともあって、近所の企業の子供も無償で受け入れる等、地域にも貢献しています
子育てしながら働く女性にとって、企業内に託児所があるということはとっても有り難いことですし、何かあってもすぐにかけつけることが出来るのでとても安心ですね。
無料というところに、子供たちはみんなの子供として家族のように受け入れているように感じました☆
◎工場見学~女性も大活躍の製品工場~
次に工場内の見学をさせていただきました 😀
工場勤務にはめずらしく女性の数も多く見られましたが、それは、女性でも工場で働きたいという人が多かったため採用してみると、男性では気がつかない細やかな部分(ex.不良品の見極めなど)もよく気がついてくれてよく働いてくれるそうです 🙄
男女比を意識せずに採用をしてきた結果、現在は男女半々の比率となっているとのことですが、女性の採用によって工場内の雰囲気が明るくなり、生産性の向上にも繋がっているのではないでしょうか
工場内は整理整頓され、清潔感があふれていました
そんな環境のなか黙々と働く社員さんの真面目な姿から、製品に対する安心感を覚えた工場見学でした
◎社長インタビュー~上手社長の社員を想う気持ちが伝わってきました~
工場を見学させていただいた後、上手社長にお話を伺いました。
上手社長は、インタビュ-をしていても、社員が働きやすい職場づくりへの想いが随所に感じられる方でした
実際、年に3回程度は必ず全社員と1対1で面談をする機会を設け、社員の日頃の思いを汲み取り、仕組みに反映させるようにされているとのことです。
ただし、会社が社員の要求をそのまま受け入れるということではなく、あくまでも経営を成立させ、かつ全社員のモチベーションを上げることができるかどうかを軸として判断されているそうです。
例えば、託児所は社員が安心して仕事に集中できるようにするため、WLBは短時間で集中して生産力を高めるために導入しており、社員には短時間で成果を出すことに頭を使うよう、期待を掛けているとのことです
人材評価も、全社員の技術習得目標の掲示や、多能工を活かした「思いやり点」(他部門を手伝うことによる、他部門からの評価)によって可視化し、みんなが認めやすい仕組みとしておられるそうです。
その結果、普段から自分の仕事だけでなく、周りの手伝いをしてくれている社員は普段から社内での評価が高いそうです。
この「思いやり点」からも感じられますが、カミテさんはお互いへの感謝にあふれた職場となっています。
上手社長自身も、意識的にみんなへの感謝を言葉にして伝え、社員にも奨めておられるそうです
そして、こうした感謝のあふれる職場づくりに欠かせないのが女性の存在とのこと。
男性は照れなどもあってなかなか感謝を口にするのは難しいのですが、女性はこのあたりがうまいそうです。
日常的な社員同士のちょっとした会話や、感謝の声かけによるモチベーションのアップなど、女性がいることによるプラスは非常に大きいとのことです
◆訪問を終えて~「自分発からみんな発へ」を体現してきた企業~
カミテさんが社員のやりがいや充実感を高めている秘訣について、改めて考えてみました
根底にあるのは、「人を大事にする心」。
これが上手社長のお話で一番印象に残りました
社員ひとりひとりの意識に正面から向き合い、成長を促す人材育成、ずっと働き続けられる環境づくりに取り組まれています。
社員もその想いに応えて、会社を大事にする、仕事を大事にする、仲間を大事にする、そうした「充足と感謝の社風」、社長も社員も「皆が皆のために応えあう、助け合う風土」が形成されているのではないかと感じました
そうした意識・風土づくりの核になってきたのが、上手社長と特に女性社員の方々なのでしょう。
市場主義・利益主義といった「私権原理」とは全く方向性の異なる「共認原理」に則った組織原理であり、「自分発からみんな発へ」を体現してきた企業だと思います
カミテさんといえば、充実したワークライフバランスの「制度」が注目されがちですが、組織の基盤となる「意識・風土」をしっかり形成してきたからこそ、様々な仕組みがつくられ、有効に機能してきたということなのだと思いま
(例えば、私権原理の企業が似たような福利厚生制度を導入しても、権利・要求意識に染まってうまくいかないことが多いと思います)
制度以前に社員皆の意識・風土を充足基調に改革していくこと、自分発からみんな発への転換は、これからの企業の成功法則のひとつですね。
るいネット経営板
《「根本規範である「自分発からみんな発へ」は、多様な自主活動が生まれ、勝ち続けてきた理由の一つ」》より
共同体企業における規範には様々なものがありますが、仕事の姿勢という意味では『自分発からみんな発へ』という規範は重要な位置にあります。
最近では、「みんな発」の視点を全員が持っていることが、何よりの力になることを実感しています。
ある部署では、多くの支店から様々な自主活動が提起され、実際に実現されていきます。
そして、ある支店の実現事例・成功事例を真似て、その自主活動が一瞬の内に(改良を重ねながら)広がっていっています。
それも、レクリエーション的な企画ではなく、「仕事上の自主活動」です。
誰もが「みんな発の視点=組織視点」を獲得しているからこそ、どこからでも提起され、それをみんなが評価することもでき、さらに進化しながら広まっていくことになります。
このような視点は、制度設計をしっかりすることによって作られる視点ではありません。
「自分発からみんな発へ」を根本規範の一つとして誰もが意識し、またその視点から全員が常に考え続けてきたからこそ、可能になったのだと思います。
◆カミテさんに秘められた充足可能性
そんな企業風土をもつカミテさんだからこそ、さらに大きな充足と活力を生み出していける可能性を感じることができました
ひとつは、「自社の成功体験を活かして、他の企業や地域もどんどん元気にしていける可能性」です。
今でも、見学や取材の依頼もとても多く、他企業からの期待もたくさん集まっています。どの企業も経営手法を模索する中で、制度ではなく、社員の意識をしっかりと醸成していくことが重要であることは、多くの経営者が見逃しがちな視点です。
そして、その視点こそが、企業を共同体化し、社員の充足と活力を高め、生産性をあげるためにもっとも必要なことなのです。
もうひとつは「社員さんがもっと充足し・活力をあげ、生産性を高めていける可能性」です。
「みんな発の意識」という基盤があるからこそ、社員さんも、生産過程だけでなく経営的視点で企業の運営に関わっていくことができる可能性がみえてきます。
みんなが社長と同じ視点で考え、人材育成や営業などの経営課題も当事者となって担っていくことで、社員さんの充足と活力のさらなる上昇可能性と生産性の高さが実現できそうですね 😀
これらを実現するカギは「充足」です。その構造を、るいネットから引用します。
るいネット経営板
《課題収束を社会空間に広げていくきっかけも「充足」である。》より
70年代貧困の消滅から90年代の私権崩壊が人々の収束不全を引き起こし、本能を直撃、20年の蓄積を経てまず収束したのが秩序収束である。
そこでは若者に代表されるように共認収束を経てまずは人=仲間収束した。
その後、02年以降私権崩壊が決定的になると、仲間収束だけでは納まらず、課題収束を引き起こす。遊びどころではないという状況から仕事や勉強という課題に向かった。
しかしそこでの課題収束とは不安発ではなく「役に立ちたい」「喜んでもらいたい」「評価が欲しい」といった充足発である。
この充足発の課題収束はしばらく続き、現在の充足基調を生み出し、なんであれ充足したものが勝っていく時代に入ってきている。
- posted by kazue.m at : 18:24 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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