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2012年08月07日

日本の農業の可能性はどこにあるのか!?~前編~

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画像はこちらからお借りしました。
日本の産業の未来を考えるシリーズ、今回は農業について、前編中編後編でお届けしていきます :-)
農業は日本の経済発展と逆比例する形で衰退が進んできました
これに合わせて、日本の食糧自給率は年々低下し、平成22年にはついに40%を下回り39%となりました :cry:
リーマンショックの時には投資先を失った資金が食品市場に流れ込み食品価格が高騰し途上国では食料が手に入らず食糧暴動も起きましたが、日本もいつ食糧供給が絶たれるか分からないという危機的な状況になっています

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このような状況であるにもかかわらず、市場拡大のためにはTPPに参加するしかないと言う世論誘導が経済界を中心にして行われており、日本の農業はますます苦境に立たされることになりそうです。
一方で、物質的な豊かさに価値を置かない若者を中心に、農業をやりたいという人も増えてきています。また、東日本大震災以降は食品の安全性に対する意識の高まりが見られ、地球環境問題もあり農業の再生に対する国民の期待は高まっています。
日本の農業はTPPで息の根を止められるのか、それとも、国民の期待を受けて再生することが可能なのか。今回は、日本の農業の将来を展望します :o
■補助金頼みの日本農業の経営実態
まず、日本の農業の現状を統計から抑えてみましょう。下の表は農林水産省の農業経営統計調査から主要なデータを抜粋したものです。残念ながら、日本の農業は本当に儲からないことがよく分かります。水田は所得から補助金を除くと大半が赤字で、最大でも所得が125万円と言う結果です。畑作は水田よりもましですが、最大規模の10ha以上でも補助金除く所得は500万、時給は812円で、高校生のアルバイト程度の収入でしかありません。
農業経営統計調査
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農水省も米は5ha以上の大規模農家でも補助金無しでは採算が取れないと判断しています。そして生産数量目標にしたがって生産を行う農業者に、生産費と販売価格の差額に相当する所得補償交付金(10a、1万5千円)と販売価格と標準価格の差額を米価変動補填交付金として交付しています。この補助金は2ha以上の農家が採算が取れる水準で設定しています。
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水田でお米を作る以外にも、畑作物所得保障交付金(麦、大豆、てんさい、デンプン原料バレイショ、そば、なたねを対象に生産費と販売価格の差額を交付)、水田活用所得保障交付金(食糧自給率向上のため、水田で麦、大豆、米粉用米、飼料用米などの戦略作物を生産する農業者に交付)、また、各種加算として品質加算、規模拡大加算、再生利用加算、緑肥輪作加算、集落営農の法人化支援などがあります。
参考:農業白書第3章第1節「農業者戸別所得補償制度の本格実施」
なぜ、農業は儲からないのでしょうか
その原因は市場で価格が決まる仕組みにあります。一般的には市場価格は供給と需要のバランスで決まると言われていますが、実はその仕組みには裏があります。市場価格は商品価値を幻想化出来るか否かで高くなるか安くなるかが決まっており>、米などの基礎的な食品ほど幻想化は困難で必然的に価格が安く抑えられることになるのです。この状況を打破するために、どのような対策が取られているのでしょうか。
■日本の農業政策、目標は第六次産業化
農水省が考えている農業活性化の施策は先進的な成功事例に学び、加工、販売も含めた6次産業化を推進することです。平成23(2011)年3月、農山漁村の6次産業化を促進するため、農林漁業者等による農林水産物及びその副産物の生産及びその加工または販売を一体的に行う取組を創出することを目的とした六次産業化法が施行されました
6次産業化に取り組む農林漁業者等は、六次産業化法に基づき、総合化事業計画の認定を受けることができます。認定を受けた農業者は、6次産業化プランナーによる総合的なサポート、日本公庫等による無利子資金(農業改良資金)の償還期限・据置期間の延長、低利の短期運転資金(新スーパーS資金)の貸付け、新商品開発・販路開拓等に対する補助、加工・販売等施設整備に対する補助等の支援措置を受けることができます。
初年度である平成23(2011)年度は、709 件(うち農畜産物関係656 件)が認定されました
参考:農業白書第3章第2節「6次産業化等による所得の増大」
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モクモクファーム
他にも、以下のような様々な活性化策が行われています。
意欲ある多様な農業者による農業経営の推進(所得補償、青年就農給付金=45 歳未満の独立・自営の新規就農者、就農前の研修期間最長2年間、就農直後最長5年間の所得を確保する給付金年間150 万円を給付する)
農村女性能力の積極的活用(補助事業に優先採択、検討会メンバーに3割以上、農業委員への登用、家族経営協定、農村女性のネットワーク支援)
環境保全型農業直接支援対策① エコファーマー認定を受けていること② 農業環境規範に基づく点検を行っていること③地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い取組。国の支援単価4,000 円/10a( 国、地方公共団体の負担割合1:1を前提として設定)
今回調べてみて、農水省も予想していたよりも工夫している事が分かりました。第6次産業化と言う方向性は間違っていないと思いますが、これまで経営に取り組んだことがない農家が6次産業に転換することは容易ではなく、ごく少数の成功事例はあるものの、衰退が進む大きな流れは変わらない状況です。
参考:平成23年度 食料・農業・農村白書 全文
■TPPに参加し市場圧力が加われば農業は変わる?
TPP参加による市場化の促進によって、政府の保護下で競争にさらされていなかった農家が淘汰され、日本の農業も大規模集約的な生産性の高い農業となり、農業が復活するのではないかとの意見があります。本当でしょうか。
まず、日本の農業は世界の中でも手厚く保護されているというイメージがありますがこれは間違いです。日本の農産物関税は平均で11・7%と低い水準です。また、農業所得保障に占める政府の財政負担の割合も15・6%で、欧州諸国が軒並み90%を超えているのに対してはるかに低くなっています。でなければ、食糧自給率が40%まで下がる訳もありません。すでに日本の農業は世界との競争にさらされているのです :x
農業の大規模化により生産性の向上が期待できると言うのも間違いです 日本では農地が集約化されても1区画がせいぜい2ha程度です。これに対し、オーストラリアは、1区画100haで、農家一戸の適正規模は1万ヘクタール(100km四方)です。生産性の面でまともに競争できる相手ではありません。
コメで言えば、日本では最先端の大規模経営で実現している生産コストが1俵9,000円ですが、1俵3,000円のコメがゼロ関税で入ってくることになります。欧州の水準を超えたというほどに規模拡大した北海道酪農でも、牛乳の平均コストは1kg70円くらいで、1kg19円のオセアニアの乳価と競争できるわけがありません。
TPPは非効率な農家を淘汰するのではなく、圧倒的な生産性の格差によって、日本の農業の中でも、頑張って経営している人達を潰してしまうのです
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センターピボット方式
実際に日本国内で成功を収めている大規模農家もTPPには反対しています リンク
「TPP参加への賛否を問われればやはり反対です。食べものをほかの国に依存すれば、すごく大変なことになると思うからです。また、これからは農業も世界中を相手にビジネスができると言いますが、それができたからといって僕は農家として幸せになれるとは思わない。なにか寂しい。中国の富裕層に高く売るより、適正な価格で日本人に買ってもらって食べ続けてもらうほうが豊かだと思います。」
またTPPに加盟することで製造業の輸出が増え日本の経済が回復すると言われていますがこれも間違いで、日本にとっての経済利益が小さいことは、GTAPモデルの日本での権威である川崎研一氏の試算でも明らかです。FTAごとに日本のGDP増加率を比較すると、TPPの効果はわずか 0.54%にすぎず、日中FTAで0.66%、日中韓FTA で0.74%、日中韓+ASEAN のFTAで1.04%となっており、TPP以外のアジア諸国との貿易を推進する方が経済効果は高いのです。
農水省の試算では、自給率が40%から14%に激減するといいます。「食料の確保は、軍事、エネルギーと並ぶ国家存立の三本柱」で、食料は戦略物資だというのが世界では当たり前です。先進国の中で少量自給率が40%という国は日本以外にはありません。
TPPに参加すれば、日本は現状よりもさらに自給率が低下し、国家としての自立性が保てなくなります。もしこれを避けようとすれば、海外との大きな価格差を埋めるために農業従事者への所得保障を今よりも増やす必要があり国家財政がさらに圧迫されます。いずれにしても国家存立の危機に立たされることになるのです。
参考:
TPPをめぐる俗論を反証する①~横行する数字のトリック、おかしな議論への反証
TPPをめぐる議論の間違い (東京大学 鈴木宣弘)より作成
■農業不振の根本原因は近代民主主義と市場原理
残念ながら、農水省の推進する第6次産業化も、市場圧力を加えるTPP参加も日本の農業の衰退を止める答えにはなっていません。答えを出すためには、農業不振の本当の原因を明らかにする必要があります
日本農業の経営高度化を妨げている最大の原因は、戦後の近代民主主義思想の導入により行われた農地解放なのです。
農地解放の結果、農村共同体はバラバラの個人に分割されてしまいました。その結果、農業は経営ではなく大切な家業となり、利益を度外視してでも家(個人)で継続する事が目的になってしまいます。兼業農家は、農業の赤字を他の収入で補って農業を続けている状態なのです。さらに、農地が小さくなり農作業が非効率になった事に加え、仕入れや販売の価格交渉もままならず、個人では経営の高度化を進める余力も生み出せず、農協の言いなりになり食い物にされてきたのです。
農地解放によりバラバラの個人に解体された状態を正しいとしたままで第6次産業化を推進しようとしても、バラバラの農家や、その寄せ集めにすぎないような集団では、高度な経営ノウハウを獲得し、発展して行くことは困難です :cry:
また、農業も市場原理を貫徹すれば活性化できるというのも大きな間違いです
市場価格は商品価値を幻想化出来るか否かで高くなるか安くなるかが決まっており、米などの基礎的な食品ほど幻想化は困難で必然的に安く抑えられるのです。市場経済が発展するにつれて農業が衰退してきたのが歴史的事実であり、市場原理が農業を救うことなどあり得ないのです。
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画像はこちらからお借りしました。リンク リンク
次回は、実際に農業で利益を上げ、経営を軌道に乗せている農業経営者の事例を紹介していきます。
その視点や取り組みは参考になりますので、みんなで学んでいきましょう

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