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2018年09月19日

「地域の誇り」とされるブランドづくり ~宮崎本店② グループ討論から一体的前進感へ

三重県四日市市にある宮崎本店は、1846年創業で、現在も創業時と同じ場所で経営を続けている酒造メーカーです。170年を超える歴史を持ちながら現在も発展している企業の取組みについて、今回も「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から要約しながら紹介していきます。

日本酒離れ、焼酎ブームなど売れ筋も大きく変わる中で、流通も激変します。消費者の多くは、町の酒屋ではなくスーパーやコンビニで酒を買い、さらに容器も一升瓶から紙パックへ、ビンからカンへと変わっていったのです。その中で宮崎社長にある不安が。

「もしかして私が考えているお客様と、社員が考えているお客様は違うのではないか?」

早速、月に1度の全社員によるグループ討論を開始。
丁度2003年に清酒「宮の雪」がモンドセレクション(世界酒類コンクール)で金賞受賞するなど、商品の評価も確立し、会社の体質も改善に向かっている中でしたが、討論を通してその不安が現実のものになります。

「顧客の概念そのものが統一出来ていなかったことが分かって、愕然としました。顧客に何を訴えていくべきかが、統一できていなかったのです」

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社員の中には、代理店の仕入担当者を顧客だと思っている人、配達ドライバーが顧客だと思っていた出荷担当者などなど。しかしグループ討論を通じて、全員が「同社の製品のエンドユーザーこそ顧客である」という認識を共有するようになったのです。

このグループ討論ではブランディングもテーマになりました。
ある者はルイ・ヴィトンのようなブランドを、ある者は大手酒造会社の持つようなナショナルブランドを捉えていた。

「私たちの目指すブランドは何か。それをはっきりさせなければ、私たちがやるべきことが全く違ってきてしまいます」

お客様を「20歳以上のお酒を飲む人全員」としてしまうと、間違いではないが、同社にとっては広すぎて正しくない。大手のようなナショナルブランドとは違うからです。

「ある意味で当社は、お客様から選ばれるブランドです。選んでいただいたお客様にきちんと対応することが大切になります。しかも清酒『宮の雪』と焼酎『キンミヤ』でも違うはずです」

清酒、焼酎のあるべき姿を社員たちが討論でしていく。その結果、清酒「宮の雪」は三重県の地酒だ、という点に行き着く。そこで「三重県を代表する酒」という位置付けが鮮明になる。
一方、焼酎「キンミヤ」は東京下町の居酒屋で圧倒的な支持を得てきた。そこから「下町の居酒屋を支える名脇役」と位置付けました。

この結果、劇的に会社の活動が激変します
清酒は、三重県の地酒として「正月やお盆で帰省する人がお土産にするお酒」として贈答用となる高級さ、高品質が求められる。つまりは紙パックで大量生産するような、日用品としての販売はしてはいけないことが明らかになる。
キンミヤ焼酎
焼酎については、業務用の容器によって大量に卸す方式は、同社ブランドに相応しくないことが分かった。原料として扱われ、値引競争に巻き込まれるだけ。そこで、業務用の要望があれば提供するものの、価格は下げない方針を打ち出す。事実上の業務用大型容器からの撤退だ。

「エンドユーザーが居酒屋で飲んでいるときに『今飲んでいるのはキンミヤ』と分かっていただけなければ、ブランドではないことに気付いたのです。もしそれが分からないままであれば、ただの原料に過ぎません。原料からの脱却を図らなければ、ブランドづくりはできないのです」

居酒屋などへの卸しも1.8L以下の小瓶を中心にした。エンドユーザーが「このお店はキンミヤを扱っている」と分かるように。この結果、下町の名店と呼ばれる居酒屋には、壁にずらりとキンミヤの600MLボトルが並ぶようになったのです。お店と一緒にブランド化されたのです。

グループ討論によって全員で課題を共認し、その解決のための方針を徹底する。これは組織体制を基本に置いた「トップダウン」でも「ボトムアップ」でもなく、皆で一丸となって前進していくスタイルで生み出した成功事例なのです。

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