2022年06月22日
【今週の注目情報】日本経済の後退は、コロナでもウクライナでもアメリカ金利でもなく、1970年豊かさ実現以来の市場の構造問題
24年ぶりに「1ドル=136円台」まで“円安”が進みました。(リンク)
止まらない円安によって、輸入高→物価上昇で日本経済が後退し、庶民の生活を圧迫していくというニュースが多くなっています。
円安の原因は、コロナによる生産・流通の「供給制限」、ロシアのウクライナ侵攻の影響による「エネルギー高騰」、それとアメリカの「金利上昇」が言われています。
しかしそれが円安(→日本経済の後退)とどうつながるのでしょう?
コロナとウクライナの影響は日本だけの話ではない。アメリカの利上げは、確かに日米の金利格差により、投資家のドル買い円売りは直接的な原因にあります。日本もアメリカに追随して金利を上げればいいのですが、膨大に発行している国債の利払いに影響するため金利を上げることが出来ない。しかし、アメリカもインフレ抑制が喫緊問題のため金利を上げていますが、膨大な国債を抱えているのは同じゆえ、(基軸通貨国とはいえ)金利を上げるのも限界がある。
とすれば、コロナもウクライナ問題も一過性ですし、アメリカの利上げも一過性になり、日本経済はそれほど時間がかからず回復することになります。
しかし、円安→日本経済の後退とこれらの問題は本質的には関係ないのではないでしょうか?
新型コロナが日本で流行したのは2020年3月頃ですが、日本は2019年の年末にはコロナと関係なく経済は大きく後退しています。コロナの影響でGDPはコロナ前から2.2%マイナスになったが、コロナ前の2019年10-12月で前期比年率7.6%の大幅マイナスになっている。(※リンク)
ですから、日本経済の後退は、コロナもウクライナもアメリカ金利上昇も一時的に経済後退へ影響しましたが、それが本質的な原因ではなく、日本経済の構造的な問題です。
日本は、1955~1965年の高度成長期を終えた1970年頃に市場拡大を停止しています。その頃から日本は赤字国債を発行し、そこから膨らみ続け今では国の借金は1000兆円を超え膨らみ続けているのです。
このことが意味するのは、実質の需給バランスではなく、市場に無理やりお金を注入(バラマキ)することによって、かろうじて数字上のGDP増加を演出しているということです。1970年頃から日本は「実質マイナス成長」です。
戦後から高度成長期まで、日本はまだ貧困の時代で「生産<消費」の構造です。だから、国内の物的需要も旺盛で、モノをつくれば売れ(消費)、日本経済は右肩上がりに市場を拡大できた。それも1949~1971年まで続いた「1ドル=360円」の為替で、日本製品は海外輸出の競争力も高かったので、国内需要だけでなく海外需要もあった。このときに「輸出は儲かる=輸出はいいこと=経済成長には輸出が大事」というような信仰ができあがり、それは今も色濃く残っています。
しかし、1970年頃に貧困から脱し豊かさを実現して「生産>消費」に逆転し、さらに為替が1971年ニクソンショックで1973年に固定相場から変動相場に移行すると、日本の生産拠点は海外へ流出していった。日本の生産業の空洞化です。
それにより今では、例えば自動車など輸出企業も日本の工場ではなく外国で生産しその国で売るので、売上げの殆どはその国の人件費、営業費、宣伝費や流通、工場拡大などに使い、日本企業であるのに日本には殆ど利益は入らない。
日本は市場構造を抜本的に転換する課題に直面し続けており、それが今回の円安に至る問題でより露になったのです。そしてそれは、「外需型から内需型の転換」ではないでしょうか。
それも貧困の物的需要のある時代ではなく、物的豊かさを実現した時代で「外需から内需」への市場構造の転換です。
物的豊かさを実現した日本で、人びとから求められる内需(期待)とは何か、そこの深いところからの追求が必要です。
それは単なるお金のバラマキではなく、国民が安心して暮らせる生活基盤を整えることと同時に、人びとの「活力」を創出することであり、そこにつながる「生産様式(→やりがいある働き方)」と「消費様式(→新たな評価価値)」を追求することではないでしょうか。
そのためには、まず『市場拡大は絶対』「輸出が大事」という信仰から脱することが必要です。
※リンク「るいネット『日本経済の後退は、コロナでもウクライナでもアメリカ金利でもなく、1970年豊かさ実現以来の市場の構造問題』」
- posted by asaoka at : 22:22 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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