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2008年01月07日

人材市場の需給バランスは?

 就職戦線において、昨今は売り手市場と言われていますが、改めて押さえなおしてみたいと思います。まずは基本となる需給バランスの推移を見て見ましょう。

 求人倍率は、見事に2002年から反転しています、しかし、求職者数と求人数のギャップも徐々に均衡へ向かっているように見えます。では、その他のデータも見てみましょう。
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 これを見ると、97年をピークに正規雇用者は減少の一途を辿っています。逆に非正規雇用者はそれを埋めるために上昇中となっている。実体は、新卒のみは売り手市場ですが、この数年で大量に生み出されたフリーター、派遣などの非正規雇用者の正規雇用者への転換は図られていないといえます。

『バブル並み新卒採用なのに、正社員になれないフリーター』
来春の新卒採用数は5年連続増加で過去最多、求人倍率もバブル時代並みとなる見通しだが、その一方でフリーターから正社員になった人の割合は5年前に比べて大幅に減っているのが現実だ。
 リクルートワークス研究所が4月24日に発表した調査データによると、2008年春に卒業予定の大学・大学院生を対象とする全国の民間企業の求人総数は、バブル期を上回って過去最高の93.3万人と、前年よりも13%増の10.8万人増加した。また、就職希望の学生1人当たりの求人数を示す求人倍率は2.14倍と、前年の1.89倍から大幅に増えて92年以来16年ぶりの売り手市場となった。
 一方、企業の中途採用担当者は、就職氷河期と言われた2000年、2001年当時に期せずしてフリーターとなり、なかなか正社員になれない若者の切実な声を聞いている。こうした若者は、少しでも正社員登用の道がありそうなアルバイト職種に殺到しているという。
 週刊スパ5月1日号は、独立行政法人の労働政策研究・研修機構が2001年と2006年に実施した「若者のワークスタイル調査」のデータを取り上げている。男性の場合、フリーター(パート、アルバイト)から正社員になった率は、2001年の75%から2006年には58.7%に減少している。また、正社員になろうとする人の割合も74%(2001年)から50.5%(2006年)に減っている。つまり、フリーターから正社員になろうとしてもなれない人の割合が増え、正社員になろうとする人の割合も減っているのだ。こうしてフリーター生活を続ける人が増えている。一度も正社員の経験がない「非典型就業」のみの経験者が2001年の18.5%から、2006年には33.4%に急増しているのだ。同機構の堀有喜衣研究員は、「この5年間で、日本社会はますます“やり直しの聞かない社会”になってしまいました」と同誌に語っている。
 新卒から終身雇用のレールを一度脱線するとやり直しのきかない社会は、格差を硬直化させ不安を増幅する。少子化で労働力不足が叫ばれている今こそ、やる気と才能がある人が年齢に関係なくいつでも社会に戻れる仕組みが必要だ。

 企業の業績が回復基調に向かい、あるいは団塊世代の退職に伴い若年層の求人が増加→フリーター、派遣などの非正規雇用者の減少という構造には向かわないようです。売り手市場というのは、ごく一部の条件が整った需給関係においてのみ偏在しているだけであって、全体で見れば、以前、フリーターや派遣といったパートタイム労働者が増加傾向にある。
 就職戦線でも、マスコミが作り出すプラス幻想イメージに浮ついてしまってはいけない。やはり、学生にとっても、企業にとっても根本的に求められる人材像、企業が果たすべき社会的役割などをきちんと追求していく必要がありそうです。

 

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