2008年07月11日
【成果を上げている企業の秘密♪】資生堂~TSUBAKI~
みなさん、こんにちは やまずんです
ぱちさんが書いて下さっているように、
待望の新リーズ 「成果を上げている企業の秘密」
まずは、第一弾として、資生堂のTSUBAKIをご紹介します
いわずと知れたこの商品
2006年3月に発売され、発売1ヶ月で早くも売上高は約40億円に達し、トップシェアを獲得
シェア4位に甘んじていた資生堂をメーカー別シェアでも一気に首位に押し上げたという超ヒット商品
この商品の戦略はどのように組み立てられていたのでしょうか
どのような戦略が、人々の心を掴んだのでしょうか??
調べてみて分かったことですが、
なんと このCMには「社会的なメッセージ」が込められているようです
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(ありがとうございます!)
TSUBAKIの開発からCM作成まで関わったのが、アートディレクターの大貫卓也氏。
彼がインタビューの中でTUBAKIについて以下のように語っています。
――「TSUBAKI」には、社会的なメッセージも込めたということですが。
「日本の女性は、美しい。」、要するにこれは、本当に女性を美しくするキャンペーンなんです。化粧品やシャンプーを売っているだけではなくて、資生堂が本当に女性を内面からきれいにする。そういうキャンペーンです。
日本の男の人は、近くにいる女性にけっこう無頓着で、髪の毛を切っても気がつかなかったりしますよね。女性は、毎日化粧したり、服を合わせたり、男と比べていろいろ大変なわけです。だから、これは日本の女性を応援するとともに、男の人にも「今日はどうしたの? きれいだね」とか、そういうことを女性に言ってみなよ。そうすることで、日常が明るくなり、日本全体が明るい空気になるじゃないか――そんな思いを込めたキャンペーンでもあるんです。
これまで日本では、「みんなが前向きになって、女性をきれいだよとほめよう」ということが大きく主張されたことはなかった。そういう意味でも画期的なキャンペーンだと思っています。
また、大貫卓也氏の授業を受けたという方が、そのブログの中で以下のように語っています。
そんな中、CMをどんなふうにディレクションしていこうかと考えていた時に、大貫さんがある女性と話していて、その女性から
「美しくなりたい」 「そんな自分を皆に見てもらいたい」
「美しくなるためにたくさん努力しているし、時間も使っている」
「本当は、美しくなった自分を評価してもらいたい」 「でも、なかなか評価してもらえない・・・」
といったことを感じたそうです。
それと同時に、日本国内では暗い話ばかりで、皆元気がなくなっている。
「女性が元気になって、明るくなれるメッセージを発信できたら、少しでも明るくなっていくんじゃないか。そしてそれは、資生堂という会社の方向性と同じ。じゃあこれでいこう!」といったことで、このCMが生まれたといった話をしていました。
そう言われてみると、ほんとそうなんですよね。
「TSUBAKI」という商品はもちろん印象に残るけど、「日本の女性は、美しい」というメッセージは、違う商品を使っている人も、女性であれば嬉しいし、元気になれるコピーだと思います。
授業を受けていて、自分も仕事や作品作りで、そんな方向性を持ったものを作り出していきたいと思いました。
それと、この「TSUBAKI」のCM。
フォトグラファーにも注目して見てもらいたいものがあって、それは「女性の魅力を最大限に引き出している」というところです。
CMのシーン1つ1つを大事に見てみて下さい。
写真でも使える表情、仕草、衣装、シーン、アングルが、数十秒の中にたくさん詰まっています。
特に、女性の表情は学ぶべきものが多いです。
単に「かわいいよね」「きれいだよね」ではなく、「日本の女性は、美しい」というコピーを体現した表情になっている。
私の周りでも、TSUBAKIを使っている女性に理由を聞いてみたところ、
「最近は、どんなシャンプーでも、一定髪はきれいになるから、髪にいいってだけではあまり印象に残らない。TSUBAKIのCMを見て、髪だけじゃなく女性として、イキイキできそうと感じた。」とのこと。
私権(金や地位など)に収束していた時代は、
女 も、その私権の一つであり、「美しくあること 」が価値軸でした。
その時代のCM戦略は、当然私権価値が上がりそうな(幻想)期待を膨らませること。
だから、シャンプーにおいても、「髪さらさら→男性にもてる→価値上昇‥」という幻想に繋がるようなCMが多かった(金髪女優が、男性とダンスしてる 、とか。)です。
しかし、’70年貧困が消滅する(=物的豊かになる)と、私権(お金)には収束できなくなります。
となると、単に「髪がきれいになる」というだけでは、 売れないのです・・・。
そこで、必要なのが、現代の意識潮流は!?という視点。
このTSUBAKIの場合は・・
①女性が美しくしていても、評価されない
②日本国内では暗い話ばかりで、皆元気がなくなっている
という点を掴んでいます。
だから、「評価不全に陥っている女性たちを褒めて、女性たちが明るくすれば、世の中も明るくなるのでは?」→「日本の女性は、美しい」キャンペーンという流れです。
更に深く意識潮流に突っ込んで考えてみると・・
貧困の消滅後、私たちは「私権(性も含む)の獲得」というこれまでの目標(活力源)を失ってしまった。
目標のなくなった社会は統合されず、至るところ(政治・経済・環境・教育‥)で社会問題が噴出しています。その現実の不全感は、誰もがごまかせない状況にまで来ています。
(TSUBAKIにひきつけると、私権の性への引力は急低下し、女性はチヤホヤされなくなった→①。社会不全も捨象できなくなり、活力不全状態→②。)
「どうにかしたい」「答えが欲しい」
自分だけは、答えがでない。みんなどうなん?
一人では、充足できない。みんなに喜んでもらいたい。
人々の意識は、個人の「私権」から「社会=みんな=共認」へと転換しています。
「私権」から「共認」へ
この点を戦略に活かすことができれば、人々の欠乏に引っかかる商品PRができます。
TSUBAKIのヒットも、単なる商品(シャンプー)という枠を超えて、
「女性に、世の中に活力を!」といったメッセージに共感したみんなの評価といえるのかもしれません。
- posted by yamazun at : 12:18 | コメント (5件) | トラックバック (0)
コメント
初期に投資家によってのっとられた会社だからM&Aは当たり前であるという事か。
よくぞここまで持ったかというべきでしょうか。
GMの失墜=略奪型のビジネスの失墜という事ですね。
最近は欧州でも「協力」する事で上手くいくことが重要視されてきたみたいです。
日本は遅れている。というか逆行しているというか。
もう一度立ち戻って考える必要がある。
なんか読んでいて、不思議だな~という印象を受けました。
企業として理念がない。
業種はなんでもよくって、「会社」という形態をとっていればいいというか・・・。
企業の成果をお金でしか判断できないから、こんなことになっちゃったんですかね~(><;)
お金儲けさえできれば、“何でもあり”やったんですね。
なんか、ゲームみたい。
しかも、誰かひとりの判断で、会社がコロコロ変わるなら、社員も当事者意識どころか、いい加減になってしまいそう。
なるべくして、なった…って感じがします。
新しいシリーズ、面白いですね☆
はじめまして。
GMってそんな会社だったとは…
とっても勉強になりました。
やはり本業でコツコツ儲けることが大切ですよね!企業を支えるのはひとのこころでしかないはずですが、それが元々欠如してたら、いい製品もできるわけが無い。
アメリカ政府がGMを救うことはあまり意味の無いことかも?
たくさんのコメント、ありがとうございます!
>アメリカ政府がGMを救うことはあまり意味の無いことかも?
一民間企業として扱うには、GMはデカくなりすぎた(放っておけば、系列企業に勤める人々を含め何十万といる社員達が路頭に迷ってしまう。政府が公的資金の投入に動かざるを得ない国内事情は理解できますが、これでは根本的な解決には到りません。
>企業として理念がない
>企業の成果をお金でしか判断できない
>お金儲けさえできれば、“何でもあり”
>企業を支えるのはひとのこころでしかない
『本来、企業は何のために存在しているのか』、そこに答えを出せない企業は、今後生き残れないのではないかと思います。
>日本は遅れている。というか逆行しているというか。
もう一度立ち戻って考える必要がある。
最近の円高基調が追い風となり、日本企業が外資の買収に動き出しています。「買いやすくなったから、今がチャンス」という判断だけでは、第二のGMを日本で生み出してしまうことになるかもしれません。
これらの企業の動向に目を配りつつ、これからの企業に求められる役割について、この場で追求を重ねていきたいと思います。
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