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2009年06月16日

【企業が農業に参入するのは何で?】第十一弾 ~野菜通販の謎を追え(2)~

%E9%87%8E%E8%8F%9C.bmpこんにちわ、ともぴろです(^▽^*)♪
まずは、恒例の
<や>ってみなくちゃわからない
<さ>-てどんな秘密があるのやら
<い>んたーねっとでお取り寄せ
先週から始まった体験企画『野菜通販の謎を追え』シリーズの第2弾!
人気の野菜通販サイトを実際に各特派員が注文し、その秘密を解き明かしながら、今後の可能性を探っていきます。
ということで、今回は、
②認識販売系
大地を守る会
ナチュラル・ハーモニー
について扱います。
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まずは、調査報告書から。

なぜ『認識』販売系なのか?
調査報告書の販促物欄を、再度ご覧下さい。
共通するのは、商品以外に、農業にまつわる認識をお客さんにしっかり伝えようとしているからです。
具体的に言うと、
「ナチュラル・ハーモニー」は「自然栽培米紹介レター
大地を守る会」は「大地を守る手帖
という販促物が送られてきます。その中身は実に濃厚で、自然農法のウンチクやその理念がしっかり述べられています。
更には、「ナチュラル・ハーモニー」は自然栽培についてのセミナーまで開催しており、「大地を守る手帖」に至っては、一般書店でも販売されています。
まさに、商品を認識とセットで売るといった感じです。
で、今回は、私が調査を担当した「大地を守る会」について、もう少し詳しく報告します。
◆「大地を守る会」の概要
(1)スタートはNGO組織
「大地を守る会」は有機野菜宅配サービスの最老舗。
「農薬の危険性を100万回叫ぶよりも、1本の無農薬の大根を作り、運び、食べることからはじめよう」というコンセプトのもと、1975年「大地を守る会」はNGOとして活動を開始しました。東京都江東区の青空市で無農薬野菜を売ることから始まり、以来、農薬を可能な限り使わないで野菜を作る人と、おいしくて安心なものが食べたいという人を結ぶしくみ作り、つまり生産者・消費者間のネットワークの構築に主眼を置いた有機農業運動を行っていきます。
(2)株式会社の設立
発足後2年で年間売上げが1,000万円になるまで成長。NGOでは個人名でしか銀行口座を作れないなどの弊害があり、成長には会社設立が必要だと考え、1977年「株式会社大地」を設立。その後、宅配サービスも開始し全国に展開、また契約する生産者も全国規模に拡大していきました。
(3)現在の「大地を守る会」
2008年3月期の売上げは143億円で、生産者会員2,500人、消費者会員85,000人の規模まで成長しています。有機農業運動以外に、遺伝子組み換え食品の排除、フードマイレージ・キャンペーン、100万人のキャンドルナイトなど、さまざまな市民運動にも取り組んでいます。
◆「大地を守る会」の成長の秘密
(1)社会貢献の事業化
「大地を守る会」に貫かれている理念は「安全な有機農業を社会に広める」ということです。この理念を実現させるために、NGO団体にありがちな寄付や助成金で何とかしていこうという発想ではなく、株式会社の設立により活動自体を事業化し、販売収益で団体を成り立たせるという手法を選びました。
つまり、金儲けのためではなく、自らの理念を、この市場社会の中で実現するため、手段として株式会社を設立したのです。
『超国家・超市場論22 お金は、現実の必要度を測るモノサシ』るいネット
「大地を守る会」は、この実現の論理にいち早く気づき、実践していたです。社会貢献を事業化できたことが、成長の要因のようです。
(2)他の宅配会社には無い素晴らしい理念
農産物の宅配というと、有機農業、有機野菜ばかりが取り上げられますが、「大地を守る会」の理念の中身は、もっと深い「日本の農業の再生」にあります。以下は、2009年6月の藤田氏へのインタビュー記事です。(産経デジタル

>日本の農業に活路はあるか?
「すべての消費者が価格だけで食材を選んでいるわけではない。子供のアトピー性皮膚炎や夫の生活習慣病を治したいとか、おいしさ、環境にやさしいなど、別の価値を重視する消費者もいる。誰が生産したか分かる信頼できるものを食べたいという消費者意識が、自給率向上につながる。私たちは民間でできることを考え、生産者を励ましたり、農家と消費者を結びつける機会を増やしている。政府や経済学者は価格競争力をつけるために農家にコスト削減努力を求めるが、低価格だけに誘導するやり方は間違いだ」
>必要なモデルは
「日本の農家は、教育費や医療費などで、都市生活と同じように生活費がかかる農産物の価格は最低限はこれぐらいになるという保証がないと、日本で農業をやる人がいなくなる。大地を守る会の農産物は高いと思われがちだが農家でも十分に生活でき、都市生活者も納得して買える価格をモデルとして作り上げた」
>具体的には
「スーパーは季節変動や、豊作時と品薄時で価格が上下する。大地を守る会の場合は、豊作でスーパーの大根が1本90円の時に150円、逆に、品薄でスーパーの大根が250円の時に150円だ。農家から全量引き取る契約で、1年を通じて同じ価格で仕入れて同じ価格で売っている。大豊作で野菜が過剰生産の時も、産地廃棄を防ぐ工夫もしている」

つまり、現在日本の市場社会における農業の最大の欠陥である「生産者が儲からない構造をなんと変えて、日本の農業を変えていこう」という理念です。この理念とその実践が、生産者と消費者に受け入れられ、信認関係を構築できていることが、成長の要因のようです。(このインタビューを読むと「有機」というのは、理念実現の一つの手段のように思えてきました。素晴らしい!!)
◆大地を守る会 その他
「大地を守る会」の会長 藤田和芳さんは、1960年代の学生運動の中心(上智大学新聞の主幹)にいた人物。その経験から、頭でモノを考える「観念的」な立場からの脱却をはかり、自分の手で新しいモデルを作ること、小さくてもいいから変化を起こすこと、自分たちの社会に伝統的にあったものに学ぶこと、を目指して、「大地を守る会」の活動を大学卒業後にスタートさせたとのことです。(ダイコン一本からの革命
設立当初から、日本の農業のあり方を模索していたのかもしれません。
◆まとめ
現在「大地を守る会」の消費者会員数は85,000人。そのうちどれだけの人が、その理念に賛同し「生産者との信認関係にもとづく取り引きをしている」、「その消費行動が今後の日本農業を再生させる」と認識しているかは定かではないですが、この「大地を守る会」の成長は、売上げだけを優先しない信認関係にもとづく新たな市場モデルの芽生えであるとも考えられ、大きな可能性を感じました。
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<【企業が農業に参入するのは何で?】のバックナンバー>
【企業が農業に参入するのは何で?】~プロローグ~
【企業が農業に参入するのは何で?】~第二弾 食料自給率という目先指標~
【企業が農業に参入するのは何で?】~第三弾 食料自給は可能か?~
【企業が農業に参入するのは何で?】第四弾~農業の利益構造~
【企業が農業に参入するのは何で?】第五弾 ~成功事例の分析? 伊賀の里モクモク手作りファーム~
【企業が農業に参入するのは何で?】第六弾 ~インターンシップで人気の類農園?~
【企業が農業に参入するのは何で?】第七弾 ~インターンシップで人気の類農園②~
【企業が農業に参入するのは何で?】第八弾 ~成功事例の分析② モクモクファームに潜入~
【企業が農業に参入するのは何で?】第九弾 ~インターンシップで人気の類農園③~
【企業が農業に参入するのは何で?】第十弾 ~野菜通販の謎を追え(1)~
最後まで読んで頂いてありがとうございます☆

 

コメント

私権時代は指揮系統がうまく?機能していていて、誰かがミス(問題)を犯しても外部へ出さないようにできていたけど、今は共認時代。指揮系統が機能せず、ミス(問題)は隠蔽されトラブル大発生!!
きゃ~~~
早急な対応が必要ですねー

  • ぽき
  • 2009年11月12日 23:14

今の時代、指揮系統を残したままだと、トラブルばかり・・・なんで共認原理の時代に「指揮系統」が残っているんだろうと不思議に感じました。(>_<)
社内ネット、全てをネットにというのは、確かに当事者意識を高め、誰でも発信できるという場になっていると感じました♪こういう場が、一番必要なんですね☆

  • Peach Tea
  • 2009年11月12日 23:18

私権時代、何かをなすために必要だったのが指揮系統。圧力が変わった現代、その形だけ残っているから、その中で隠蔽されていく。。。
歪んじゃってますね~><;
でも、可能性がある統合様式、その実現態があることがわかってホッとしました♪共認統合を実現するその実現態は他にもありそうですね☆

  • iku
  • 2009年11月12日 23:20

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