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2009年10月27日

市場原理を超えて社会貢献をする企業 -鈴木産業株式会社-

新しい企業形態の実現体を探索しているこのシリーズですが、今回は鈴木産業株式会社を紹介させて頂きます。
鈴木産業の中心事業は「レアメタルのリサイクル」です。日本では採れない希少金属のリサイクル、有効活用、それらの安定供給に努めています。
そして、今回着目すべき最大の特徴は、創業以来60年間に渡って『市場原理を超えて、社会が必要とする事業を続けてきた』ということです。
なぜそんなことが実現できるのか?それはこの社訓から読み取ることができます。

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「有無相通売買互利(うむあいつうじうりかいたがいにりす)」は創業当時から社是としてかかげられてきました。“事業に対して信念を持ち、商売をするのであれば、相対する会社どうしがお互いに利益がなければいけない”これこそ弊社全社員の信条です。

(同社HPより)

この社訓がどう鈴木産業のあり方を規定してきたのでしょうか?
そこに迫ってみようと思います
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鈴木産業株式会社の前身は、1923年に設立された「鈴木金三郎商店」です。当時から金属製品を扱っており、1938年には国内初のピアノ線生産に成功するなど、高い技術を持っていたようです。
そして、同社が今の社名になったのは終戦後の1949年です。
物資不足の状況下で特殊鋼スクラップの回収・選別・納品という事業を開始したのが、現在のリサイクル業のベースにあります。

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画像は同社HPより(以下同様)

当然、自社の経営で手一杯だったと思われる時期ですが、その状況下でも国益を優先していたことを表すエピソードがあります。

関東財務局の払下品に工具の未使用品が出た。
日本中の工場から払下の運動が起きた。
工具不足はどの会社でも深刻になっている。
工具としての有効利用は当然であると誰しも考えた。
しかし前述石原社長を中心に日本特殊鋼(株)、日立製作所(現日立金属株式会社)日本高周波鋼業(株)、大同製鋼(株)、山陽特殊鋼(株)など 10社が製鋼原料としてスクラップ化を申請、理由として製鋼メーカー、工具鋼メーカー等、一連の工場の復活とより良い技術でより良い工具を供給するため原料として必要であると。

(同社HP「レアメタルが見た昭和史」より引用)

本来なら同社も工具を欲していたはずの時期ですが、きちんと国の将来を考えた上で判断を下したということが伺えます。
また、同様に、自社のみでなく他者の利益も考慮した企業行動がとられています。

当時の製鋼メーカーは外部購入屑の経験が無く、スクラップの形状、安全性、成分など、確認事項は多岐にわたった。その為、いち早く化学分析室を設置した。当時は分析機関も無く、メーカーに依頼する以外に手段が無く当社の分析装置は納入会社からも重宝がられ、また、信頼を得た。

朝鮮戦争終結。特需景気も無くなる。しかし、特殊鋼需要は戦後復興の中引き続き旺盛で、特にタングステン、モリブデン、コバルト等重金属は戦略物資として米国に大量に輸出された。当社は、これら輸出に対抗し国内各社への納入に尽力した。

※当時、国内価格80円―100円/kgに対して輸出価格は$800/トン程度。この時の為替が「1ドル360円」だったことを踏まえると、輸出した方が3~4倍ほど儲かった
実際に市場社会の中で勝っていこうとすれば、「分析技術の独占」「特殊鋼の輸出」という行動をとれば良かったはずです。しかし、冒頭で挙げた『有無相通売買互利』の社訓通り、他社との共益を図り、日本全体での産業振興を目指したのです。
特に、戦後の日本の中心産業は、国主導のもとで「石炭・鉄鋼 → 造船 → 自動車 → コンピューター →・・・」と移行してきました。レアメタルを含む鉄鋼資源は、これらの産業全てに不可欠な原材料です。その点で、鈴木産業による貢献がいかに大きなものだったかは推察するのに難くありません。

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このように、私権闘争の激しい時代においても他社の利益や国益を重視して企業活動を行ってきたのです。これは、「儲かるか否か」という市場原理にのみ基づいていたのではなく、社会にとって「必要か否か」を判断基準にしていたということだと言えます。時代背景を考えれば、「そんな甘いことを言ってては勝てない」と言われてもおかしくない頃ですが、現在鈴木産業が存立していることを見れば、それが決して間違いではなかったことが自ずと分かります
そして、これからは『共認原理の時代』と呼ばれる社会に移行します。既に「社会の役に立つ会社で働きたい」という人々の数が増える中、鈴木産業はその期待の先端を行く企業として認知されるべき存在でしょう。何よりも、今やレアメタルのリサイクルは国の将来を左右するほどの(潜在的な)産業なのです。(詳しくは『都市鉱山の実現可能性を探る』)この『本当に必要な産業』が実現する仕組みを作っていく必要があります。
ちなみに、「共同体企業、社会事業を模索するアミタの実践例」で紹介した『アミタ株式会社』も、経済成長期にリサイクル業を始めた会社です。社長である熊野氏は、

アミタは、まだリサイクルという言葉が一般的でなかったころから、「資源はいずれ枯渇する」という事実を正面から見据え、「資源を創り出す」事業を手がけてきました。
事業を創出するということは、顧客を創り続けることを意味します。人間関係や未来への不安を解決するということは、関係性を創り続けることで安心が得られる、と証明することです。これは、「関係性の商品」を創り、顧客を作ることでもあります。

(アミタHPより引用)

のように、鈴木産業と近いことを述べています。
市場原理に基づいた大量生産、大量消費が美徳とされた時代において、『物質の循環』『人と人との関係』という社会の本質に気付いた経営者達。そして、彼らの強固な理念に沿って、私権はびこる時代を生き抜いてきたこれらの企業。
社会にとって「必要か否か」という新しい判断軸が生起する現在、これらの実現体は改めて光の当たる存在となるのではないでしょうか。

 

コメント

トモ先輩が見たことをそのまま感トレノートに発信してくれて。
読んだみんなが心温まるだけではなく、NさんもHさんもコメントしてくれて、トモ先輩やみんながさらにあったかくなって・・・
そうして充足の循環ができている、どこまでも続いていくって素敵ですね☆
こうして記事を読んで3人の様子だけではなく、記事にしてくださったみねこさんの想いも感じて、私まで充たされちゃいました♪

  • ふぇりちゃん
  • 2010年3月10日 22:47

★ふぇりちゃん★
ふぇりちゃん、いつもコメントありがとう♪
ホントだ☆
どんどん充足の輪が広がっている☆
充足話って、どんどんみんなに伝えたくなるから広がるんだね♪♪

  • みねこ
  • 2010年3月11日 09:47

>厳しい事言っているけど、いつも笑顔なの
Nさんの肯定視と本気さが
Sさんに安心感を与え、応合したい気持ちを引き出して伸ばしていってるように感じました。
本当、温かくて素敵ですね♪

  • ゆうこりん
  • 2010年3月11日 23:05

★ゆうこりん★
返事が送れてごめんなさい♪
お互いがお互いのやる気のモトになってますよね♪
どんどん高めあっていける関係って素敵ですよね☆

  • みねこ
  • 2010年3月16日 15:01

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