2009年10月20日
成功している農業事業から新たな可能性を探る② ~集団原理の復活~
最近のマスコミでは、毎日といっていいくらい、どこかの媒体で活力ある農業集団の紹介が紹介されています。
しかし、前回の①の最後では>今皆さんが『農』に期待する事は、今回取り上げたような市場内で成功している事だけを望んでいるのでしょうか <というコメントもありましたが、“脱・市場”という視点から何か実現事例がないだろうか?いう疑問が新たに湧いてきました。
そこで、「企業 自給自足」のキーワードでネット検索をしてみると・・・
上図は農林水産研究情報総合センターさんhttp://www.affrc.go.jp/ja/news_event/youth/shizenから引用させていただきました。
ありました!!自給自足に挑戦している企業が!
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それは、あの有名な経営コンサル会社・船井総研の一部門、環境ビジネスコンサルティンググループの話。
この部門のトップである菊池功氏のブログ「環境ビジネスコンサルタントのパイオニア!菊池功ブログ」VOL170.「企業としての自給自足~エコライフを実践する~」http://www.eco-webnet.com/kikuchi/2009/08/post_290.htmlによると、今年から社員の農業研修を始めたそうです。
なんで今、企業が自給自足なのか?
以下、そのサイトからの引用です。
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究極的には、
「最低限の食料の自給自足を達成する」
ことが出来れば素晴らしいと思っている。
企業農園を作って、社員持ち回り制で農作物を栽培管理して、
それを社員、及び、家族に分配して、
必要最低限の食料を自給自足的に確保したいと思っている。
また、都会生活をしながらでも、農作業に携わることで、
自然の恵みやありがたさ、逆に、難しさを体で覚えることも目的の1つである。
さらに、社員が一丸となり農作業に従事することで、
「農」や「食」を通じて、一体感・連帯感も感じることが出来る。
一方、視点を変えて、経営者発想で言うと、
経済状況がもっと悪くなって、
仮に、給料を下げざるを得ない状況になっても、
必要最低限の食料を支給することで、社員の暮らしを安定させる、
いわゆる、“現物支給の体制を作る”ことでもある。
地方の企業で、社員が兼業農家ならば、
食べていくことだけ考えれば、何とかやっていけるかもしれない。
しかし、土地も物価も高い都心部で、
賃貸マンションに住んでいるような若手社員の場合、
あるいは、小さな子供を持つニューファミリー的な社員の場合、
必要最低限の食料が確保されているというのは、
一にも二にも生活の安定につながる。
輸入に依存した食生活から脱皮しなければ、
本当の安定生活は作れない。
そして、農薬・化学肥料に染まった農作物に依存し過ぎては、
本当の健康的な生活は得られない。
“自給自足”
“地産地消”
“身土不二”
“LOHAS”
“持続可能”
そういうライフスタイルを目指したい。
そして、そういうライフスタイルを目指しながら、
環境ビジネスを追求していきたい!
日常のライフスタイルがエコと全く縁遠い人が
本当の環境ビジネスを追求できるとは思えない!
今、出来ていたとしても、
それこそ持続可能なビジネスモデルではないと思う。
今回、約3か月間、農業研修を行って分かったことだが、
20~30名程度で、上手に社員持ち回り制で栽培出来れば、
1人が月1~2回、農地に行くことにより、
最低限の農地管理は出来るようだ。
(毎週末、担当の誰かが農地管理をする)
普段はビジネスとしてのコンサルティング活動、
月に1~2回は、持ち回り制で農場に赴き、エコライフを目指した農作業、
そして、
収穫時には、全メンバーが一同に会しての収穫祭、
とりあえずは、このようなスタイルを確立したい。
今年は、あくまでも、研修、
来年は、米作りにもチャレンジして、野菜類は少しずつ自給自足、
3年後には、野菜に関しては本格的な自給自足、
そして、5年後には、胸を張って“自給自足”と言えるようにしていきたい。
以上のような活動を通じて、
船井総研自らがモデル(実験台)となり、
未来型企業のあり方を新しく作っていきたい。
そして、他の多くの企業にこの取り組みを提案していきたい。
これが、この農業研修を行う目的である。
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なるほど、まだ「研修」段階とは言え、非常に具体的で可能性を感じる取組みです。
そして、その背景には、同社の確かな時代認識がありそうです。以下、同ブログ「VOL158.「農業研修 その壮大なるプラン」http://www.eco-webnet.com/kikuchi/2009/05/post_278.htmlからの引用です。
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多少の浮き沈みはあるが、大きな世の中の流れは、
低エネルギー化であり、“省”消費型であり、
リユース・リサイクル・循環型に移らざるを得ない。
すると、企業の売上・利益は落ちていく。
その中では、現実的に社員の給料は落とさざるを得なくなる。
少なくとも、これから、日本国民全員の給料が青天井でドンドン上昇していく世の中になるとは考えにくい。
(中略)
より売上を上げよう!
より給料を上げよう!
そうすれば、もっと幸せになれる!
日本全国民、そう思ってやってきた、この50年。
その結果が、今の姿。間違っていたようだ。
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こうして同社の取組みを見てくると、少なくともこのリーダーは、明らかに集団原理で現実を捉えているのがわかる。それも一企業をどうする?という視点ではなく、「日本全国民」という言葉にも表れているように、国家という集団も含めて。
それはおそらく、商売柄幾多の企業の姿を研究・観察し、それらの企業の活力アップに頭を使ってきた企業だからこそ辿りついた地平なのではないでしょうか。
- posted by seiichi at : 22:16 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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