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2009年11月18日

機能不全の市場原理から、適応可能な共認原理による企業経営へ

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画像はApple Storeさんからお借りしました
       
製品の表側に刻印されるブランドがアップル、ノキア、あるいはサムスンだとしても、内部には日本製品が詰め込まれている
   
Japan Business 『技術立国日本のトップ企業』という記事が、
   
るいネットにも紹介されていた。
     
技術立国日本の報道①~名も無きチャンピオンたち
    
技術立国日本の報道②~秘密は顧客との関係
     
   
この記事は、英エコノミスト誌 2009年11月7日号の記事の翻訳だ。この記事には、西洋人から見た日本企業の評価がそのまま書かれていると見ていいだろう。
    
しかしその中身は、市場原理が行き詰った今も、自らの価値は正しいという前提で分析している。だから、なんとなくしっくり来ないし、彼の理論通りに経営の舵を切ればうまく行くという可能性は感じない。しかし今世界的に評価を得ている無名の企業には大きな可能性を感じる。
    
  
それはなぜなのか?市場原理共認原理の両側面から分析してみよう。
   
    
      

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 日本の中堅電子企業には、ハイテク産業の多くの分野で支配的な立場を獲得している会社が多い。彼らは今後もその地位を保てるだろうか?
    
現在、全世界で建造中の原子炉は約40基ある。設計は米国、中国、フランス、日本、ロシアの6社が請け負っているが、放射能を封じ込める大型鍛鋼圧力容器については、すべての企業が北海道に拠点を持つ日本製鋼所に頼るしかない。
    
(中略)
    
 だが、何と言っても日本企業が頂点に君臨するのは、電子技術、工学、材料科学における、ごく特殊な専門分野だ。その技術の多くは一般の消費者には見えないが、特定の製品を作るのに不可欠なため、日本企業は絶大なシェアを確保している。
     
 例えば、コンピューターに使われるハードディスク駆動装置(HDD)のモーターは、75%が日本電産製だ。自動車のバックミラーに組み込まれた小型モーターの90%はマブチモーターが作っている。これらの製品は、部品や素材、製造装置であることが多い。
    
 東京エレクトロンは液晶パネル製造に用いられるエッチング装置の80%を製造している。また、コバレントマテリアルはコンピューター用チップ製造時にシリコンウエハーを格納するコンテナの60%を押さえている。
    
(中略)
    
 製品の表側に刻印されるブランドがアップル、ノキア、あるいはサムスンだとしても、内部には日本製品が詰め込まれているのだ。
    
 アップルの関係者によれば、同社も中核部品については日本企業に依存しているという。他国の部品会社では同社の厳しい基準を満たすことができないからだ。
     
 日本が20年近くも続く経済低迷を克服しようと苦闘を続け、世界第2位の経済大国の地位を中国に譲ろうとしている中で、こうした日本の優れた技術は日本産業の持つ強みを改めて思い起こさせるものだ。

    
ここでは、日本企業が技術力で世界的評価を得ていることを、中堅企業を事例に紹介されている。実はこれらの企業の下に、社員数が数名から数十名程度のもっとすごい技術力を有する企業がたくさんあり、日本の技術力の基盤を作っている。
    
その様な企業の代表例として、『岡野工業』がある。この企業は世界でここしか出来ないような技術をもっているが、市場の中で荒稼ぎをするために高い技術を身につけたのではない。その技術への評価が創り上げる、信任関係と共認充足があればそれで十分という意識なのだ。まさに共認原理で経営している企業なのだ。
    
そして上記の中堅企業もルーツをたどるとこのような共認原理の小さな企業が出発点で、その技術力を背景に市場原理の世界とも繋がっているに過ぎない。これが、市場原理一色の大企業との違いだ。これらの中堅企業も設立当初の共認原理での経営を忘れて、市場原理一色に染まってくると、大企業と同じ危機が訪れるだろう。
   

 日本のハイテク産業のチャンピオン企業には、共通した特徴がある。研究開発(R&D)に相当な投資をしている。基本的な製品については海外工場で作っているが、ハイエンド製品の生産拠点は日本に置き、こちらは、日本人がよく言う言葉で「ブラックボックス」化している。
   
(中略)
   
 成功の大きな要因を聞かれれば、経営者は決まって顧客の質の高さを挙げる。こうした答えを聞くと、差し当たりは台本通り、あるいは恐らく日本人に典型的な謙虚さだろうという印象を受ける。優良顧客が厳しい基準を設け、供給元の企業にレベルアップを求めるのは当然だ。

   
研究開発に対しても旧来の市場原理のままの分析だ
    
☆☆☆市場原理から見た研究開発
     
研究開発費用は直接生産に寄与するものではない。だから、あまりに投資が大きすぎると経営を圧迫する。その結果、株主への配当や経営者への報酬が少なくなる。ここでは、社員のことは働く機械と同じでなんら対象化されていない。
     
☆☆☆共認原理から見た研究開発
    
よりよく顧客の期待に応えようとすれば、常に追求が必要になる。その結果、生産というものは研究開発と製造という単純な分解は出来なくなる。それが出来るのは、機械と社員を単純労働の要素としてみる、旧い大量生産だけなのだ。
     
だから、ハイテク企業の多くは、開発と製造の線引きはあいまいだ。また、先の高度な先端技術をもつ小企業はほとんど線引きが無い。これは、顧客の期待に応えるというも目標が共認されることで、開発から製造まで一貫した圧力が組織を貫いていくことから起こる現象だ。その結果、企業は共認原理により統合され、強くなっていく。
     
この視点の違いは、市場原理からは見えない。つまり、株主や経緯者の儲けという経済指標のみでは、人や企業組織の活力という極めて重要な経営指標は見出せないのだ。このことからも、いまだに『市場原理に則った指標でしか経営判断を行えない企業』=『西洋かぶれの経営理論を振りかざす企業』は、極めて危険な存在だということがわかる。
      

 だが、ここにはそれ以上の意味がある。コバレントマテリアルの香山晋社長が指摘するのは、日本企業が秀でている部品、装置、材料は高度にカスタマイズされているという点だ。
     
 顧客企業と長年にわたる密接な協力関係を築いて初めて、供給元の企業は顧客の将来の技術計画を見通せるようになり、優れた技術を持つ供給企業ならば解決できるような微妙な問題について教えてもらえるだけの信頼を得ることができる。いったん技術でトップに立った企業を追い抜くのは容易ではない。
    
 さらに言えば、技術に関する知識には形にできるものだけでなく、暗黙のものもある。マニュアルを書いたり特許明細書を読んだりするだけではそうした技術は伝達できない。これは長年にわたって、仲間内で仕事をすることで蓄積されるものだ。これが競合相手にとっての参入障壁となる。

    
カスタマイズ・参入障壁などは、英語圏の言葉の直訳だ。この様な極めてあいまいな概念を無自覚に使っている限り問題は鮮明にならないだろう。
    
☆☆☆市場原理から見たカスタマイズ
          
機械や機械のように働く労働者を使用するとき、単純労働であることが求められる。この条件を、満たすために部品は汎用品である必要がある。これが実現すれば、極めて安い給料を支払うだけで、株主と経営者の儲けは激増する。この成果を確認する指標が現在使われているP/L・B/Sなどの経営関係指標である。
     
ここから、カスタマイズというものは上記の指標を悪化させる効率の悪いものという認識になる。だから、余分にお金をもらえればやるが、それ以外はやらないということになる。つまり、取引する企業とはお金の関係だけでつながっていることになる。これを契約関係という。
    
☆☆☆共認原理から見たカスタマイズ
     
ところが共認原理からすると、カスタマイズは顧客の期待に応えた成果の結晶物だ。そこには契約関係(お金の関係)を超えた信任関係がある。これも、共認原理である。ここでは、よく期待に応えてくれる納入企業を、お金を超えたところでも評価している。
     
だから、評価された企業は活力を得られる。また、その信任関係から、供給元の企業は顧客の将来の技術計画も開示してもらえることになる。これは、経営上は別企業だが、共認上は共通の目的を持って組織された一つの集団のようなものが形成される。
    
これを従来の契約関係からみると、別企業のはずなのに特定に会社だけを優遇しているので参入障壁になるということになる。ここように、参入障壁という言葉の実態は、もっとも顧客に応望して、信任関係を築き上げた実力を評価できず、自分の実力の無さを棚に上げて、妬んでいるようなものだ。
    

 企業の強みはその時々の株価ではなく、従業員の集団心理の中に蓄積されるというこの考え方が分かれば、日本企業がM&A(企業の合併・買収)を嫌う理由も見えてくる。日本企業は買収について、西側のように事業の自然な結合プロセスと捉える見方はせず、これに抵抗する。

     
このように、市場原理から分析している限り、日本の企業がなぜM&Aを嫌うのか理解できないだろう。それは、奴隷化された雇用者のピンはねをして、株主と経営者だけが得をする企業経営の否定からくる。つまり市場原理第一主義の否定だ。
     
日本の会社は経営者から社員まで、みんなが充足できるシステムを望んでいる。それが実現できていた時代は、多くの企業が世界的に評価されていた。しかし、世界的な流れを作った市場原理主義へ転換を境に多くの企業が凋落した。その原因は、日本人の潜在思念にある共認原理を無視したからだ。
     
そして、今残る高度技術を持つ中堅企業や小企業は、現在でも共認原理をのこし、顧客の期待に応えることを活力源にしているからだ。このような経過からすると、もうそろそろ、西洋式経営理論から決別する時期なのではないだろうか?
   

 

コメント

 最近、あらゆる企業で問題になっている、隠蔽やゴマカシは、しがらみだらけで表面的な関係に留まってしまっている「企業集団」だから起こるのだと思うのですが、
 夜ごと、みんなでワイワイ楽しく飲みながら日頃の悩みとか疑問を素直に開きだせる場があればある意味安心して仕事ができそうですね。

  • まことちゃん
  • 2010年4月1日 22:13

>かつての私権意識に代わり、みんなの課題を核にした親和充足や仲間意識といった“共認原理”を基盤にした集団へと変化してきています。
飲み会って言ったら、かつては愚痴を言い合う場だったのが、レイスの“夜会”のような場は、疑問や不安を解消するだけでなく、会社どうする?社会どうする?といった幅広く課題を扱う場なんでしょうね☆

  • iku
  • 2010年4月1日 22:14

>新入社員2~3人を“子”として、2年目社員を“兄・姉”、3年目以上の社員を“親”とし、月に一回“家族会”を開いて食事会やバーベキューを催す。仕事上の上司・部下関係ではない親密な関係をつくるのが狙いだ。
仕事という場でも、『家族』がいてくれると確かに安心してできるなぁと思いました(^_^)
個人でなく、みんなの課題として仕事に取り組むことが充足に繋がっているんですね☆

  • tanitti
  • 2010年4月1日 22:16

里親制度とは家族的な紐帯をベースにした共同体的組織を構築することだとおもいます。
現在は、私権意識によってズタズタにされ、景気低迷と共に活力衰弱した企業の生き残りをかけた闘いが始まった時代です。紹介された企業のように根本的な(人の意識の)問題を改善できたところが勝てるのだと思いました。

  • 実直くん
  • 2010年4月1日 22:25

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