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2010年04月28日

私権原理から共認原理へのパラダイム転換を実践する会社・・・『株式会社アールエフ』

資本金約9億、年商約70億の長野県にある『株式会社アールエフ』という会社があります。ワンルームマンションからスタートした、従業員175名の小さな会社です。あさ出版の『日本でいちばん大切にしたい会社』にも掲載され、世界的に注目されています。

この会社は創業十数年の若さですが、ワイアレス口腔内カメラの世界シェアが85%、デジタルレントゲンセンサーの国内シェアナンバーワンなどの実績をもつ、医療機器メーカーです。この会社は『高性能で大きさが他社の半分の製品を、他社の三分の一の価格で売る』ような、きわめて優れた開発能力を持っています。

その中でも、『飲むカメラ、カプセル型』は世界を驚愕させています。これは、女性の小指くらいの大きさで、薬のように飲むと、内蔵を撮影できます。写した画像は体外のモニターTVに伝送され、ライブでカラー画像を見ることが出来ます。しかも、カメラにバッテリーはなく、体外から電磁誘導によって動かす仕組みです。

sayaka_finger.jpg

下段の『SAYAKAのイメージ画像をご覧下さい』で動画が見を見ることが出来ます。

次に丸山社長の言葉です、

一言で言えば‥知恵を絞る、絞りきる、ことです。製品を開発する時にまず考えることは、その製品によって、
どれだけ多くの人が喜ぶのかということです。どれだけ役に立つのか、助かるのか、
その幸せの度合いや効果をまずひとりの人間として素朴に考えます。
その価値に対して支払えるお金はいくらなのか、いくらなら無理なく買えるのか。
価格もその製品を手にする人の側から考えます。
販売価格が決まると、それに従って製品原価は自然に決まります。
あとは「知恵を絞る」です。ここから開発が始まるのです。
他社の同種製品のほぼ原価が、アールエフの販売価格です。
それを実現するために、知恵を絞る。絞りきらなければ到底“無理”なのです。
従来の考え方や仕組みにとらわれていては、自分達が設定した原価をクリアする製品はできません。
不思議なものですが、とことん自分を追い込むと、とてつもない知恵が出てきます。
アイデアが出ない時は苦しいですが、“出来上がった喜び”はすべてを癒してくれるのです。
技術屋とはそんなものなのです。


このような製品を次々と創り出す『株式会社アールエフ』の、強さの秘密を探っていきましょう。

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☆☆☆社長の丸山次郎氏の時代認識・・・常識が通用しない時代。

『今は、社会や経済の動きが予測しにくい時代だと思います。過去の経験則が役に立たなくなっているわけですから、計画通りにいかなくても当たり前と思っていたほうがいい。それよりも、もっと人間的な感性や直感を大事にするべきではないかと思いますね。』


ここでいう経験則とはいわゆる常識と呼ばれるものです。例えば、優れた技術開発には、高学歴で優秀なプロが必要とか、その技術から見て何が出来るか?という発想や、開発のためには実験機器も含めた大きな投資が必要というような内容です。

しかし、丸山社長は、すべてこの逆を実践しています。

☆☆☆技術的に優れた商品ではなく『売れる商品をつくる』・・・相手発の製品開発

アールエフでは、製品開発の主導権が営業部にあります。こうすることで技術的に優れた製品より『売れるものを創る』という姿勢をはっきりと打ち出すようにするためだそうです。では、技術的に優秀ではないかというと全く逆で、世界を震撼させるほどの技術を持っています。

☆プロ集団ではなく素人集団

まず、過去の一般的な技術開発は、自社のストック技術を前提としています。もっと具体的にいうと、それぞれの技術者が安住する専門部門という硬直的な組織が先にあります。そこでは、部門求心力が支配し、お客様より自分たちの存在価値である自部門の技術が優先されます。

その結果、お客様の期待に応えるより、自部門利益を優先してしまうので、技術力が上がらなくなるという関係にあります。これが、大企業病といわれる私権原理(相手より自分・自部門)により統合された組織の限界です。

ところが、アールエフでは、とことん相手発です。『売れる』という中身は、必要な性能を満足して、医療経営のなかで投資しても負担ならない、ということです。こういう相手発の目標設定をすることで、突破する課題は格段に高くなります。

そうなると、一人(や一部門)では出来ませんし、常識(=専門部門のなかで共認されている価値)では突破できません。そこで、その課題をみんなで共認して、実現のために常識を捨てて一から考えられる素人のような頭を持つ人材を、学歴にこだわらず集めています。

☆情報公開、みんなで追及する柔軟な組織編制

そして、みんなでその課題に対応できるように、情報を公開して、柔軟に組織を変えていくということも実現しています。これを実践することで、高難度課題をみんな突破し、相手に期待に応えることが出来、社員の活力がアップします。

☆男社会の序列統合から、女性が感性でまとめる組織統合へ

この会社の開発部門の管理職には、技術出身者ではない女性が就いています。技術が優れているからといって技術屋をまとめるのに向いているとは限らないという考えからです。これは『今までの会社が、システムを創り命令系統を整備して、力仕事的にまとめてきた。』という社長の旧来企業に対する組織観から来ています。

そこを突破するために、『もっと女性の感性や直感力を重視した柔軟なやり方で、結果的にみんなが集まってくるようなまとめ方をしたい。』という体制をとっています。

女性の感性で充足を伴った評価空間を創り、みんなの活力を上げていくという、共認原理そのもので組織をまとめているのだと思います。

☆☆☆お客様発、仲間発の無借金経営の会社

☆社長にはあまりお金を与えない

『金があると社長なんてやつは外に出てかっこつけるから』というのが丸山社長の言葉ですが、この奥には、『会社は社員みんなのもの』『社員一丸となって顧客の期待に応えていくこと』という潜在意識が読み取れます。これは、企業は株主のもの、そのための利益を上げることが企業の使命といった、市場原理に貫かれた欧米式企業とは全く逆の、共同体的経営だと思います。

☆高価な測定器は直ぐ買わない

これも単に経費圧縮のため方針ではありません。まず周りにあるもので測定器を作らせる。そうすると、原理を深く理解でき、驚くほど技術力が上がるようです。

このことにより、社員は技術力が向上すると同時に経費も削減できて、お客様に安価な商品を提供できるようになります。その結果、みんなが充足することが可能になるのです。

ここでも、私権原理から共認原理の転換が見てとれます。

☆☆☆特許を否定し、信任関係で仲間を増やすと同時に、自ら競争圧力を創り出していく

このように高い技術があるにもかかわらず、アールエフではほとんど特許をとっていません。理由は、みんなが求めるものを公開することで、より社会のためになる、というものです。また特許をとるにしても『公知(の事実)』という手法で、内容を公開しています。

私権時代の企業は、このような情報をオープンにしないことで利益を上げていました。ここで、特許そのものは私権時代の、自分だけよければよいという意識を法制化したものですから、本源的は信任関係と全く逆のものです。

このような情報をオープンにすることにより、海外も含めた、たくさんの研究者が共感し、アールエフとの信任関係が構築できています。その反面、後発でも簡単に技術内容が手に入るため、ライバルも直ぐ登場します。現に、大手企業が資本に物を言わせて類似商品を発表しています。

そして、それに対抗してさらに高い技術を生みだしています。これは『自ら競争圧力を創り出し、活力を上げていく』というし共認時代のシステムを創りだともいえます。

☆☆☆一軒一軒歩く営業からお、客様に来ていただく営業へ

一般的に、医療関係営業は一軒一軒病院を回るという手法をとっています。ことろが、アールエフでは、ダイレクトメールとショールームという営業手法の組み合わせで、営業経費を削減しています。シ-ウルームでは訪れたお客様は、ゆったりしたラウンジのような空間で全商品を動かすことが出来ます。

ここで成約率は、来場者の3割が即決、その後購入する人も含めると8割になります。

このような営業が可能なのも、どの会社より、的確にお客様の期待に応えた商品を作っていること。一度商品を買っていただいた方には、ダイレクトメールでアフターフォローと新製品案内を行い関係を継続すること。信任関係を築けているユーザーからのクチコミ評価。など、これも共認原理に合致した営業戦略の成果だと思います。

これらが、不夜城と呼ばれるくらい活力のある、アールエフの強さの源泉だと思います。今後の企業を考える上での気づきが満載でした。

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コメント

わ~おもしろかったです☆バブルの語源なんて全然知らなかった!(・’O’・)
歴史を振り返ることで、株式会社制度の構造的欠陥がよりくっきり見えたかんじがしますね。
>連帯を重視した「集団主義」
の株式会社って、なんか不思議です~・・・
日本やドイツがそうなんですね。
何でも柔軟にうまくとりこんでしまう日本が、市場原理に立脚する株式会社を、どう国内にここまで成立させていったのか、非常に興味があります。
次回の「日本における生産集団の歴史」も楽しみにしています☆★

  • 香魚里
  • 2010年8月20日 21:32

香魚里さん、コメントありがとうございます。
>何でも柔軟にうまくとりこんでしまう日本が、市場原理に立脚する株式会社を、どう国内にここまで成立させていったのか、非常に興味があります。
 そうですね。日本は、海外からの制度や文化をうまく吸収して進化発展させてきた歴史があります。そして、本来は市場原理に適応した株式会社においても、そこに共同体的な原理を組み込んで発展してきたのではないかと思います(それが日本企業と経済の強さとなっていた)。
 ただ、それでも市場縮小、および課題が経済に留まらない(利益重視のみでは社会問題化)という状況においては、いよいよ次の会社形態が必要とされているのではないでしょうか?
 まずは、日本の歴史をおさえることでそのヒントを探りたいと思います。ぜひ、ご期待ください。

  • systema
  • 2010年8月21日 18:21

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