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2010年05月15日

なぜ社員同士で協力できないのか

はじめまして、OKです。
路上で世直し なんでや【関西】で取り上げられた職場がギスギスしている本当の理由!?(『不機嫌な職場』講談社現代新書より)。
当ブログでも、ホップ☆ステップ☆ジャンプ”あなたの職場は不機嫌?”や、人材育成の本質とは!?⑥~元気な企業の充足規範活用例~で紹介されていますが、今日はいままで紹介されていない、筆者たちの考える「協力関係を阻害する構造的要因」を取り上げます。
↓図は『不機嫌な職場』の帯より。
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改めて、「協力し合えない」「ギスギスした職場」とは、
「一人ひとりが利己的で、断絶的で、冷めた関係で」、「社員が孤独感というストレスをもつ職場」です。例えば、
「皆のために」と一所懸命頑張ったのに、反応が薄い
熱意を込めて書いた提案メールにレスポンスがない。あるいは冷ややかな反応ばかり返ってくる
何回頼んでも、誰もきちんと対応してくれない
そのくせ、一方的な指示を出してきて、こちらが対応をしていないと、キレる
イライラした空気が職場に蔓延し、会話がない
困っていても、「手伝おうか」の一言がない
「おはよう」等の挨拶もなく、皆淡々と仕事をはじめる
こうした職場が増えていることが、社員のモチベーションを下げ、心や体を壊しているばかりか、生産性の低下や、ミス爆発、品質トラブルなど会社の業績に悪影響を与えてきています。
★では、なぜ協力関係が阻害されるようになったのか?
筆者たちは、役割構造、評判情報、インセンティブの3点のフレームワークから構造適要因を取り出しています。
1.役割構造 進む組織のタコツボ化
欧米企業は職務を中心に組み立てられており、この職務により評価や報酬も決められ、必要なスキルも明らかになっているのに対して、
日本企業は責任範囲を曖昧にし、むしろ人の能力や実態に合わせ、責任範囲を伸び縮みさせる方法で組織運営している。だから「仕事というのは、言われたことをやるだけでなく、言われていないことをやることだ。」とされたのである。
しかし1990年代前半から、(市場縮小→採算悪化から)日本企業はコスト削減と効率化に向かった。その代表的な取り組みの一つが成果主義である。従来、年功や経験年数などで支払われていた報酬を、「成果」に応じて支払う形の「効率化」に重きが置かれ導入が進んだ。
その結果、社員は個人個人の「成果を残せる仕事」に集中していく一方で、個人成果に関係のない業務は次ぎ次ぎと消えていった。その中には、社員がお互いに手を差し伸べて行なっていた業務もなくなり、組織の「タコツボ化」が進んでいった。
同時期に仕事の専門化、複雑化が進んだが、「束ねる」ことの意識は希薄であった。その結果、従来であれば社員間の協力関係で難なく解決できた問題が、組織として対応できず、顧客対応や品質問題でのトラブルが顕著になってきた。
2.評判情報流通と情報共有の低下
かつての日本企業は「共同体」と呼ばれたように、まさにお互いを知る多様な機会に恵まれたコミュニティであった。社員旅行や懇親会、サークル、職種の集まりなど多様な出会いの機会に富んでいた。コミュニティーは居場所であると同時に、多面的な「認知」の場でもあり、協力関係をつくる上での基盤となっていた。
しかし、効率性を追求するマネジメントにより、会社のインフォーマル活動はなくなっていき、これら「場」の持つ評判情報流通機能もなくなっていった。
3.インセンティブ構造の変化 交換関係の破綻
日本の会社は90年代半ばに至るまで実質的な長期雇用保障が行なわれてきた。
社員側の雇用期待と会社側の貢献期待の取引関係がうまくいっていたわけだが、近年、この交換関係をベースにしたインセンティブ構造が変化してきた。
変化の要因は、大企業の倒産や容赦ないリストラで、長期保障ができなくなってしまったこと。
それを見た社員は、会社はあてにならないものだと学習し、頼りになるのは結局、自分の腕=スキルだけということになった。⇒近年の個人のスキル開発ブームへ。
さらに、ほぼすべての職種の市場化(=外部への業務委託)が進み、社員からすると、常に外部にオルターナティブ(代替案)が存在する状態になった。だから、今の会社で上手くいかなければ転職すればいい、と多くの社員が心の中で考えるようになった。
「その仕事は私のためになるんですか?」とまで言う社員に、「言われていないことをやるのが仕事」は通用しないし、協力行動は望むべくもない。
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如何ですか?「日本企業、危し!」と思いませんか。
これら変化を一言でいうと、日本的経営体の破壊⇒欧米化、つまりすべてを市場化(賃金奴隷化)する流れのように思えてなりません。
時代は大きく私権原理から共認原理に転換しているのに、明らかに逆行しています。これでは人も会社も破綻していくのは当然ではないでしょうか。
次回は、このような中にあって、「社員が楽しく働ける職場」づくりに奮闘している企業を紹介したいと思います。
お楽しみに~

 

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