2010年09月04日
「構造認識」の共認が会社経営の真髄 ~船井幸雄氏の著作を読んで~
経営コンサルタント、執筆家として著名で自身でも企業経営をしてきた船井幸雄氏が最近の著作「退散せよ!似非コンサルタント(李白社)」の中で、自身の歴史を振り返る中で、会社経営とは何か?について語っています。
その中で印象に残ったのが、次の一節です。
>経営コンサルタント経験が10年を超えたころ、私は「世の中の構造やルール」そして「人間の正しい在り方」を知らないと、十分なコンサルティングや経営はできないな・・・・・・と気がつき始めました。(中略)
そこで余裕時間をできるだけつくり(このころ「任せられるものは、人に任せる」ことを覚えました)、その余裕時間のすべて(といっても毎日1~2時間です)を「世の中の構造」と「人間の在り方」の研究に傾注しました。これは、いまも続けています。<
氏のこの歴史構造に学ぶ経営姿勢は、まさに類グループの創業者たち、そして現在も全員参加の共同体として全員経営を掲げている類グループが「なんでやネットサロン」等で構造認識(歴史構造・生命原理)の勉強に励んでいる姿にも通じるものであって、おそらく会社経営を求道する者にとって「構造認識」は必要不可欠ということなのではないでしょうか。
この著作では、ほかにも次のような認識が語られています。
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■絶対に失敗しない経営のコツ
氏は「私が行きついた7つの成功法則」として、経営のコツを挙げていますが、まさに氏が「世の中の構造」と「人間の在り方」を研究した末にたどり着いた認識のようです。
(1)基本的に正攻法しかやらない
氏は経営の基本は、①原理原則に則る、②時流対応の2つにあり、常に①を守り、同時に②を掴む努力をするのが「経営の正攻法」と述べています。
☆氏の言う「原理原則から外れる」とは、本業以外での金儲けに走ったり、トップが現場と離れたりすること。つまり、生命原理や潜在思念に照らして外れたことはせず、外圧適応のための状況認識を誤らないようするということでしょう。
(2)理論以上に実務に強くなる
「理論というのは、極めておけば幅広く応用が利く」が、「現場ではむしろ、経営理論よりも実務能力の高さのほうが求められる」。
☆経営とは、理論と実践の塗り重ね構造ですね。
(3)常にプラス発想を心がける
氏は喰代栄一著「ポジティブ思考ではなぜ成功できないのか?」から次の部分を引用しています。「ポジティブが良くて、ネガティブが悪いというように、ことを二極化して考えてもほとんど無意味です。ポジディブとかネガティブという枠を超えて、まずマインドフルであることを目指すほうがよいのです」。
☆この「マインドフル」って、100%肯定視に近い感覚だと思います。
(4)一日も早く働き続けることの楽しさに気づく
「人間は一生学び続け、働き続けて、成長していく存在です。それが、最も効率的なように創られた存在といえそうです。
また人は、そんな中で自らの長所を発見し、その長所をもって社会に貢献する使命を負っているのだと思います。」
☆るいネットの「実現論」にある、「生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している」のくだりに近いですね。
(5)できる経験はなるべくしてみる
「経営者の本当の胸のうち、本当の苦労までは、経営者になってみないと分かりません。(中略)
ひるがえって、働いたり学んだりで、できる経験は何でもしてみることだと思います。
異質の働きや学びの経験を重ねることによって、視野が大きく広がります。」
☆経験論的な言い回しですが、「なるべく」という部分が現実的。
(6)長所伸展の法則に徹する
「社員の教育に長所伸展法を取り入れてからは、私自身がカッカとして社内で竹刀を振り回すようなことは、まったくなくなったからうれしいことです。なお、短所是正法はしないほうがよさそうです。成功の確率は低いし、人間がダメになりがちです」
☆肯定・充足による指導が、人材育成の肝ということでしょうですね。
(7)24時間フル対応の覚悟で仕事をする
「いまも同じですが、船井総研は当時から24時間体制でクライアントに対応していました。(中略)
いまの日本の会社は休みが多すぎるのではないかと思います。私にもいまでは、土曜日や日曜日に遊んだり休む人の気持ちは分かりますが、正直なところ人間として生まれてきたのに、もったいないと思います。」
☆思うに、動物も睡眠をとりながら体の機能の大部分は常時動いているわけですが、企業も交代交代で24時間フル稼働させることができたら、もっと強力な集団になれるのではないでしょうか。
■共同体的な経営
また、船井氏自身が創立した船井総研(現在は会長)について語っています。
この会社はるいネットでもしばしば話題になる元気な会社ですが、氏の言葉からもその共同体的な特性が垣間見れます。
「ちょっと自慢めきますが、船井総研は、創業以来赤字を出したことがありません。そして創業初年から株式配当を続けてきました。クビになった社員も、私は知りません。
これが経営者としての常道だと思っています。
要は、働き、ムダをやめ、客を喜ばせ、儲ければいいのです。
あと一つ、国などに経営の応援を頼らないことです。経営というのは、自立して自己責任でやることです。それで十分に経営はできるものです。」
と述べ、自由を束縛される株式上場はやめた方がいいと忠言しています(自身の反省も踏まえて)。
そして、こうも述べています。
「会社の命運は99.9%までトップで決まります。とくに中小企業であれば100%と言ってもいいでしょう。(中略)
素直、勉強好き、プラス発想の3条件を満たすトップと、社員以下とが一体化した会社は確実に伸びます」と。
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以上をまとめると、氏が理想とする会社経営とは、
①トップが「世の中の構造」と「人間の在り方」の研究に傾注することで、より深く・より精度の高い状況認識に立てる。
②そのトップと社員以下とが一体化した会社は確実に成長する。
ということになり、その姿は、まさに類グループが長年実践している「全員経営の共同体企業」に他ならないのだと思いました。
因みに、氏が1970年に大阪で創業した船井総研は、現在所員500名規模の会社で経営コンサルティングという意識生産を担っているという点において、1972年に同じ大阪で創業し、建築設計ほか意識生産を担う400名規模の類グループとは、非常に近しいものを感じていましたが、今回の著作で氏の経営思想に触れることで、その理由がわかったような気がします。
- posted by seiichi at : 1:52 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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