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2011年06月02日

シリーズ 大震災復興~日本企業の底力!~ 1-2). 震災後、加速する日本の産業の地殻変動

大震災復興~日本企業の底力! 「Ⅰ.大震災から見えてきた日本企業が抱える問題点と課題」 について、シリーズで紹介しています
  
【今回の震災による倒産企業の特徴】
①倒産は被災地以外の全国の関連企業にも及ぶ
②震災前からの業績悪化企業が倒産
③節約・節電による消費激減により不要不急の業種が倒産
 
前回は、その中から、①倒産は被災地以外の全国の関連企業にも及ぶ として、~ 1-1).被災地以外にも広がる企業倒産・操業停止の実態を紹介しました
 
ここでは、市場拡大絶対主義による効率優先を図った結果、下請け企業が1社に集中し、シェアの大きい企業が被害を受けたことにより連鎖的に倒産したということが分かりました。
 
今回は、 ②震災前からの業績悪化企業が倒産につながった背景について、調べてみました
  
  
これからも「共同体・類グループの挑戦」をよろしくお願いします!

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まずは、震災前の日本における基幹産業のおかれた状況を整理します
  
【電機産業の国内シェアの推移】
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データは、「日本の電機産業はこうやって蘇る」 (洋泉社BIZ)を元に作成しました
  
1995 年から2010 年までの電機産業の国内シェアの推移、そして2015 年の予測値を示します。
ここ十数年の間で、全ての製品でシェアを海外に奪われているのが分かります。
日本が実質的に製品の生みの親であり、日本モデルの家電だから競争力を維持するのではないかといわれた液晶TVやデジカメでもシェアの低下は著しく、ハード以外でも、日本のお家芸とされたゲームソフトさえも、1995 年にはシェア70%といわれたのが2010 年では30%まで低下しています
  
象徴的な状況を次に紹介します。「日本の産業の地殻変動」、「NEVADA ブログ」からの引用です。
 

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◆7年間一度も利益上げていないソニー(TV部門)
「ソニー」は最終赤字が2600億円の赤字に転落すると発表していますが、この赤字の原因はTV部門です。海外での委託生産に切り替え始めており、コストは下がっていますが、それ以上に下がったものがあるのです。ソニーブランドの付加価値です。
今までは『ソニー製品なら高くても当たり前、自社製造でありそれだけ品質もよい』とされてきたのですが、他社製造では、この付加価値はつきません。
結果、末端ではソニーは東芝や日立といったブランドと同じか、場合によっては販売不振で安く売られる有様になってきてしまったのです。
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【国内自動車販売の推移】
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データは、リンクを元に作成しました
  
1993 年から2010 年までの国内自動車販売の推移を示します。
バブル崩壊後、1996 年の700 万台をピークに徐々に販売が減り続けています。
リーマンショックを契機に減少に拍車をかけ、2009 年には450 万台近くにまで販売台数が減少している事がわかります
(2010 年に増加しているのは次に説明するカンフル剤の影響です。)
  
   
つまり、 日本の基幹産業は震災前から失速していたのです
 
そこで、 国による金のばらまき政策により、景気対策のてこ入れを試みたのです。その結果を次に示します。
 
【エコカー減税導入による販売台数の推移】
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画像は、リンクよりお借りしました
エコカー減税開始後、前年同月比-25.3%と落ち込んでいた販売台数が急増し、減税終了直前の駆け込み需要で+37.7%を記録した後、補助金終了で急激に販売が減少していることが分かります。
先の図からも分かる通り、2010 年はエコカー減税により一時的に販売台数が増加したものの、2011 年は大幅に販売台数が低下することは明らかです。
販売台数は、元々落ち込んでいたエコカー減税導入前を更に下回る水準になるということです。
 
 
これらは、全て今回の震災以前の話です
実は、日本の基幹産業は震災前から衰退の一途を辿っており、金のばらまきという点滴により、かろうじて生き延びているにすぎないのです  
そして、今回の震災はこの現象により拍車をかけ、基幹産業の真の姿が顕在化しただけなのです。

この状況が「日本の産業の地殻変動」でまとめられているので、紹介します
 

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リーマンショック以降、アメリカを中心に先進国の消費需要が激減、政府は中央銀行からの資金供給を増やしたり、補助金で消費を補い、企業はなんとかリーマンショック前までの生産を回復した状況にある。
ところが震災後、日本ブランドと言われたソニーの没落、電気大手メーカーのリストラ、ホテル・観光産業など震災後の自粛だけでは説明できない消費の激減など、日本の産業に地殻変更が起こり始めているとしか思えない。
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改めて、日本がこのような状況に陥ってしまった背景をまとめます。
①快美欠乏を求めた物的生産ではいまや、新興国に対する日本の優位性はない
アジア圏などの新興国からの製品が怒濤の如く、日本に輸入されてきます。
これらの製品は、今や日本の製品と変わらないレベルにあり、日本製品よりも低価格です。今や、日本の技術水準に肉薄してきている新興国に対して、日本の優位性はないということなのです。
 
②市場を極端に外需に依存している限り、日本の産業は勝てない
かつてはアメリカの消費需要が世界経済の要であり、日本の輸出産業を支えていましたが、リーマンショック以降、日本は大きな被害を受けました。
つまり、自動車、電機産業に代表されるような輸出産業は、海外の影響を受けやすく、それらの変化に対応出来ないという、決定的な弱点をはらんでいるのです。
 
豊かさを実現した日本ではすでに私権欠乏が衰弱しており、快美欠乏を求めた物的消費は衰退しています。
日本には期待出来なくなった市場を海外に切り替え、極端な外需への依存により可能性を見いだそうとしていますが、これでは日本の産業は勝てない時代であるということになります。

 

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