2011年05月28日
時流探索~ベストセラー『心を整える』~
今年3月20日に発売後、アマゾンでは3月10位、4月4位、5月9位とベストセラー中。なんでだろう?と気になっていたので読みました。震災直後で、人々の心の深いところに響いたのかもしれないと感じました。
会社で働く人たちにとっても学ぶところがあるので、今日は抜粋をお届けします。
最初に著者、長谷部誠氏のプロフィール
84年1月生まれ(現在27歳)。3歳からサッカーを始め、藤枝東高校では01年全国総体準優勝、02年浦和レッズ加入、08年ヴォルフスブルク移籍。10年南アフリカ・ワールドカップでゲームキャプテンとしてベスト16。11年AFCアジアカップではキャプテン、優勝。
では、本を書いた動機と「心を整える」ってどういうこと?から、紹介していきます。
応援、よろしく~
時折、ふと頭をよぎることがある。「中学、高校と各年代の日本代表に選ばれなかった僕が、なぜ日本代表に選ばれるのか」
「僕がここまで来られた理由をきちんと説明できれば、きっと誰かの人生のヒントになる」
僕のキーワードは「心」です。僕は「心」を大切にしています。「メンタル」という言葉で言い換えてもいいです。ただよく「メンタルを強くしよう」「心が折れちゃダメだ」「心を磨け」などと言われることがありますが、僕の感覚はちょっと違います。
僕にとっての「心」は、車で言うところの「エンジン」であり、ピアノで言うところの「弦」であり、テニスで言うところの「ガット」なのです。車のエンジンに油をさし、ピアノの弦を調律する、そしてテニスのガットを調整する。そんな感覚を心に対して持っているのです。
つまりは「心をメンテナンスする」「心を整える」ということ。
生活のリズム、睡眠、食事、そして練習。日々の生活から心に有害なことをしないようにしています。ちょっとでも心が乱れたら、自分で調整するようにしているのです。
「心を整える」。僕が伝えられることはこれに尽きます。これといった長所もなく、華麗な経歴もない僕がここまで生き残ってこられたスキルと概念です。何かひとつでもヒントや気づきがあれば嬉しいです。
この感覚ってよく分かりますね。
では、彼が意識している具体的な習慣を見てみましょう。一般社会人にとって有用と思われるものだけにします。タイトルだけで分かる場合はタイトルだけにします。
第1章 心を整える
01 意識して心を鎮める時間を作る
1日の最後に必ず30分間、心を鎮める時間を作っている。
部屋の電気をつけたままベッドに横になる。音楽もテレビも消す。目を開けたまま天井を見つめるようにして、息を整えながら全身の力を抜いていく。ひたすらボ~ッとしていてもいいし、頭に浮かんできたことについて思考を巡らせてもいい。大事なのはザワザワした心を少しずつ鎮静化していくことだった。練習と緊張でざらついた心をメンテナンスしてあげるのだ。
03 整理整頓は心の掃除に通じる
04 過度な自意識は必要ない
05 マイナス発言は自分を後退させる
第2章 吸収する
12 先輩に学ぶ
13 若手と積極的に交流する
14 苦しいことには真っ向から立ち向かう
16 頑張っている人の姿を目に焼きつける
答えがないようなことを延々と考えすぎて迷いが生まれているとき、身近な「頑張っている人」を目にするようにしている。真夏の炎天下、工事現場で働くおじさん。お母さんが小さい子どもを自転車に乗せて一生懸命こいでいる姿。
自分のことでいっぱいいっぱいにならず、日々の生活にあふれている、頑張っている人々の姿に気がつける自分でありたい。
第3章 絆を深める
18 集団のバランスや空気を整える
ワールドカップ直前にゲームキャプテンに指名された。全体を客観的に見まわして、チームに足りないことを探し、チームを整える存在であろうと思った。みんなを引っ張るリーダーというよりは、組織の乱れを正していくイメージだ。
19 グループ内の潤滑油になる
21 偏見を持たず、まず好きになってみる
23 常にフラットな目線を持つ
第4章 信頼を得る
26 組織の穴を埋める
レベルの高いチームの中で生き残るためには、何か人と違うストロングポイントを示さなければならない。僕にとってそれは「組織に足りないものを補う」ことだ。焦らず我慢して継続すれば、いつか「組織の成功」と「自分の成功」が一致する。会社でも組織のベクトルと個人のベクトルを一致させられれば、どんな仕事でも自分を生かすことができるのではないか。
27 監督の言葉にしない意図・行間を読む
28 競争は、自分の栄養になる
31 勇気を持って進言すべきときもある
稲盛和夫さんが「判断に迷ったときは、人として正しいかどうかを考えるようにしている」と言っているのを本で読み、チームのために進言することは「人として正しい」ことだ思う。「自己保身のために言わないことの方こそ正しくない行動のはずだ」と考える。
32 努力や我慢はひけらかさない
第5章 脳に刻む
第6章 時間を支配する
36 夜の時間をマネージメントする
大一番で力を発揮するためにどうすればいい?と聞かれると、「平穏に夜を過ごし、睡眠をしっかり取る」と答える。
38 遅刻が努力を無駄にする
遅刻というのは、周りにとっても自分にとっても何もプラスを生まない。まず、遅刻というのは相手の時間を奪うことにつながる。僕は遅刻する人を信頼できない。時間に遅れるのはどこかに甘さがあり、本気で取り組んでいないという証拠だ。きつい言い方をすれば、まわりに対する尊敬の念が薄いと思われても仕方ない。
ドイツには、「箱の中に腐ったリンゴがひとつでもあると、全部が腐ってしまう」ということわざがある。
逆に時間より早く来て、すでに100%の状態で準備する人間がいたら他の人たちも気が引き締まり、組織にポジティブな空気を生むことにつながる。
第7章 想像する
41 常に最悪を想定する
42 指揮官の立場を想像する
44 他人の失敗を自分の教訓にする
45 楽なほうに流されると、誰かが傷つく
第8章 脱皮する
46 変化に対応する
「正解は一つではない」「考えは生き物。常に変化していい」
47 迷ったときこそ、難しい道を選ぶ
第9章 誠を意識する
53 正論を振りかざさない
54 感謝は自分の成長につながる
あとがきに、
『僕がなぜこのように「心を整える」ことを重視しているかというと、自分が未熟で弱い人間だと認識しているからです。』
とありますが、本当に謙虚で、見事な「無能の自覚」ですね。
いくつになっても学ぶ内容があったと思いませんか。
- posted by okatti at : 22:13 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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