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2011年05月27日

「人口減少社会の衝撃!!これからの働き方はどう変わる?」~意識生産社会の到来1~「工業生産から意識生産」への構造変化~

今回で、「人口減少社会の衝撃!!~これからの働き方はどう変わる?」シリーズ7回目となります。
これまで、全体Ⅲ部構成のうち、前半のⅠ、Ⅱ部を扱ってきました。今回は、ここまでの中間まとめとして、既に起こっている未来ともいえる「工業生産から意識生産への変化」について押さえてみようと思います。

Ⅰ.人口構造の変化
1.今、なぜ労働法について考えるのか?
2.100年後の日本は、明治時代末期の人口に
3.男性生産人口の急減→これからは女性の戦力化が必須
4.人口減少下での生産力維持は、女性老人・若者が鍵を握る

Ⅱ.産業構造(生産様式)の変化
5.産業構造の急激な変化(1)働き手の産業間移動
6.工業生産(=大量生産・大量消費)の終焉(2)~働き手の地域間移動~

Ⅱ部の5,6では、「日本の産業構造の変化は、(1)働き手の産業間移動、(2)働き手の地域間移動が大きな特徴」ということを見てきました。

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◇工業生産から意識生産への産業構造の変化
【’70年以降、卸小売・飲食・サービス業が成長。しかし、それも成長鈍化=成熟期に】



この時代の大きな特徴は、農林業+漁業+鉱業(一次産業)に加え、製造業(二次産業)も減少に転じ、変わりに建設業やサービス業が大きく増加したという点です。豊かさが実現され物が行き渡ったために製造業は衰退し、代わりに、建設業が赤字国債をもとにした公共事業により成長し、金融・保険業や不動産業などのサービス業が幻想価値や信用創造で膨張したバブル経済により大きく成長したのです。
サービス業の中でも ここ数年で大きく伸びているのは、社会保健・社会福祉、その他の事業サービス業(※2)、教育、情報サービス・調査・広告業、医療業となっています。

巷でよく言われるように時代や生産様式の変化を「モノからサービスへ」という言葉で捉えられ、これからの成長産業はサービス産業であると言われてきました。
しかし、 高度経済成長期から‘90年代前半まで市場拡大を牽引し、サービス業の主要顧客であった都市型労働者の生産人口はすでに95年より減少に転じています。
かつ、‘80年代にピークを迎えた旅行や娯楽などの解脱欠乏を満たす産業も成熟~衰退期に入っています。次に伸びてきた癒やし系産業もまだ一部では伸びているといえますが、全体としては成熟期に入っているといえます。
では、これからの可能性はどこにあるのか?

◇1次×2次×3次産業=6次産業としての進化
代表的な1次産業である農業では、「6次産業」という言葉が注目されています。

■6次産業はかけ算で考えよ
経済学には経済・産業の発展によって、産業は第1次産業から第2次産業へ、さらに第3次産業へとシフトし、第3次産業が大きい国が先進国であるという考え方がある。しかし、それだけでは先進国の第1次産業である農業は衰えることになる。
 そこで私は、1次産業+2次産業+3次産業=6次産業という考えを提唱した。農業を単に農畜産物の生産という1次産業にとどめないで、2次産業(加工や食品製造など)や3次産業(流通・販売など)にまで踏み込むことで、新たな付加価値を創造し、地域に新たな雇用の場を創造する活動を推進しようと呼びかけた。
 しかしその後、足し算では不十分だと考えるようになり、かけ算にあらためることにした。すなわち1次産業×2次産業×3次産業=6次産業である。足し算でも答えは同じ「6」となるが、かけ算にすることで、 1次産業の農業がなくなれば、つまり農業がゼロになったら、いくら2次産業、3次産業を強化しても、答えはゼロになるということを強調したかった からである。
<参考>
『地域に活力を呼ぶ農業の6次産業化①~6次産業はかけ算で考えよ~』
『地域に活力を呼ぶ農業の6次産業化②~女性と高齢技能者が支える~』

分断されてきた1,2,3次産業を統合していくことで新たな価値(充足や評価)を創造するという方向性は、まさに意識生産的な農業をあり方を示しています。
生産から加工、販売にとどまらず、農業をテーマパークとして観光業化した「モクモク」の事例もあります。
伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)
また、眼鏡や電化製品といった旧来からあるモノの生産や販売においても、お客様の身体に与える影響まで考慮した眼鏡作りや、お客様が必要とすることに全て応えていく電気屋さんなどの事例も出てきています。これらの事例を見ると、もはや旧来の1次、2次、3次産業といった分類では定義できない事業が増えてきています。

小さな街の電気屋が生き残っている理由
そして山口が考えた作戦とは、
・お客様が喜ぶことは何でもやる
・3万4000世帯の顧客を1万2000世帯に搾る(その代わり3倍のサービスを目指す)
・顧客の情報をデータ化し、社員全員が閲覧できるようにする。(家族構成、購入履歴、趣味など)
・地域ごとに担当者を決めて、すぐに訪問できるように体制を整理。
・購入時期や金額などで顧客をグループ分けし、訪問する回数を決定。
山口は社員に伝えます。
「我々が目指すのは究極の御用聞きだよ!」
社員たちは本業以外のことを何でもやった。
留守の間の犬のエサやりや散歩、スーパーへの買い物、部屋の模様替えなど、ありとあらゆる作業をやった。しかし、ちゃっかり顧客の家の家電情報も収集してたのです。

意識生産として眼鏡をつくる【眼鏡のとよふく】
「メガネはただ見えればよいというものではなく、より楽に見え、その人の生活を豊かにするもの、高度な要求に応えられるものであるべき」
脳軟化症で大学病院では頭の水を抜く手術をという診たてをされていた方が、眼鏡のとよふくさんでメガネを作られてから見る見る元気になり、頭に溜っていた水もなくなり、大学病院で一日中待たされ、メガネを調べただけで帰されたそうです。「楽に見えるメガネを使うことで大脳に余力が生まれ、本来の自然治癒力が働いたのではないか。別な言い方をすれば、眼のストレスは脳のストレスとも言えるのではないか」という意見を眼鏡のとよふくさんでは持たれています。

上記の事例などでは、もはや一体何屋なのかわからないほど、多様かつ本質的なサービスを行っていることがわかります。
共通しているのは、お客様にとって役立つこと、必要とされていること、すなわち期待に全面的に応え、充足してもらっていることだといえます。
◇意識生産では、人間や社会全体を対象化していかに充足を生み出せるかが問われる
改めて「意識生産」ということについておさえてみます。

自主管理への招待(6)実現思考とは何か
>それに対して、意識生産の主要な対象は、類(人間またはその関係=社会)である。つまり、従来の生産が主要には自然を対象とする物的価値の生産であるのに対して、意識生産とは、人間または社会を対象として類的価値(関係価値)を生産する活動 である。
>物的な価値は、専門分化され夫々に固有の領域が拡大される事によって高度化されてゆく。そこでの分化された一つ一つの 労働力の内容は、相互に断絶した個々の技術・技能として歴史的に普遍化され定式化されてゆき、従ってその労働力の大部分は、機械に置き換えられてゆく
労働力そのものの総体化あるいは根底化の程度が、そのまま高度化の程度を規定する。(例えば、教育の高度さは、教育者自身の全人間的価値の程度によって決まるのである。) つまり類的価値の生産においては、たとえどれだけ専門分化されても夫々に要求される能力の根は一つであり、誰もに普遍的に類(人間または社会)総体を対象化する能力が要求される。

これまでの変化をまとめると、

【徐々にモノからサービスへ移行】
1次産業 - 農業、林業、水産業など、狩猟、採集。
2次産業 - 製造業、建設業など、工業生産、加工業。電気・ガス・水道業
3次産業 - 情報通信業、金融業、運輸業、小売業、サービス業など、非物質的な生産業、配分業。
(参照:ウィキペディア


さらには、その労働も単純労働的なものから、徐々に「顧客にいかに充足を感じてもらえるか?」、「社会にとって必要(なくてはならない)か否か?」といった人や社会を対象化した高度な労働に移行してきます。
【分断された各産業は統合へ向かう】


そして、

「物を考える日本人」と「日本への熱い眼差し」の接点とは① 
>こういった思考の成果として、 人々のより大きな充足を生み出すことができる(=より多くの評価を得ることができる)意識生産の様式が確立されていけば、それは必然的に、旧来型の産業を上回る成果を上げ、社会は「いかに多くの充足を生み出せるか」という評価基準によって再統合されていく。

また、人口減少という状況において、単なる消費者はこれから減っていきますが、自ら学び、よいと思った事業を応援し、さらにはできることから協働していきたいという人は、これから増えていくと思われます。そのためにも、応援者(学習者)、協働者を増やしていくことは重要となります。

【対象は消費者⇒応援者⇒協働者へ】


第1段階:【解脱収束】快美・解脱欠乏を満たすサービス業=旅行、娯楽、飲食
第2段階:【人収束】共認欠乏(繋がり、癒やし、安心)を満たすサービス業=福祉、医療、セラピー等
第3段階:【認識収束】認識+共認欠乏を満たす意識生産業=教育、社会事業
つまり、これからは工業生産時代に専門分化された諸産業が、いかに共認充足を生み出せるかという1点において、再統合されていく過程であるといえます。
意識生産とは、1次・2次・3次産業といった産業分類に規定されず、より人間や社会を対象化して(=総体化)、より本質的な価値を生み出せるか(精神や肉体、環境に良く、人類社会の永続に役立つ=根底化)にかかってくるのではないかと思われます。
では、そのための組織形態とはどのようなものか、さらには、本シリーズのテーマである「労働法」との関係はどうなるのか?については、次回に考えてみたいと思います。

 

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