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2011年09月23日

企業が社会を変える!!~地域再生に取り組む辻野建設工業~

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今回は、事業を通じて地域再生から次代の社会作りにまで挑戦している北海道の株式会社辻野建設工業さんに注目します。
☆本当に社会に必要とされる仕事が評価される時代
近年の世界的な金融危機は、バブル化経済で無理やり拡大させ続けてきた市場も、国債でそれを支えてきた国家財政も、もはや維持できない事を顕にしました。
この危機的状況は、これまでの「市場拡大絶対」の思い込みをも崩壊し、人々の意識には「必要か、必要でないか」という判断基準が顕在化し始めています。
その結果、現代はあらゆる産業が「儲かるか否か」というモノサシではなく、「必要か否か」という評価に晒される時代に移行しています。厳しい生存競争の時代、という一面もありますが、社会に本当に必要とされる仕事が評価されるという意味で、やりがいのある評価競争社会、新たな活力源の創出の可能性も開かれたといえます。
こうした状況の変化から、市場ではペイしないものの、社会に絶対必要な生産活動である農業や介護や新エネルギー開発などの産業が大きく注目され、なかでも生存に直結する農業には関心が集まっています。
これらの生産活動は、本来、自然の摂理に則って地域共同体の中で自給自足的に行われていました。そして、その生産活動に誰もが従事する事が、共に働く充足にも幅広い年齢層の役割の創出や教育にもなっていたのです。
ところが現在、日本は豊かになりましたが、市場拡大の過程で共同体を失い、儲からずとも不可欠な生産を蔑ろにしてきた結果、環境問題や精神・肉体破壊の問題などの社会問題に直面しています。前述の意識変化と併せて近年は共同体の再生への期待も高まり初めています。
このような時代状況を捉え、企業として農業をはじめとする本当に必要な生産活動や地域共同体再生に取り組んでいるのが辻野建設工業さんです。続けてその取り組みを紹介します。
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☆地域活性化のネットワーク作り
辻野建設工業さんは、農業総合商社辻野商店(大正3年創業)の建築部門の専門企業としてスタートしています。古くから周辺農家に親しまれ、燃料の総合商社、特産品販売店、保険、旅行、不動産等のサービス商社など、ひたすら求められる事に応えるという形で事業化して、それをグループ企業で行っています。
そして、現在手がけられている事業の他、辻野建設工業さんは常々本業の枠を超えて勉強会や地域活性化プロジェクトの企画も立ち上げられています。例えば、

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近年の社会情勢は経済中心で動いており、その行き過ぎが原因で社会に様々なひずみが生じてきている事実は否めません。私どもはその解決策として地域コミュニティを増進する運動が必要と考え、地域コミュニティの増進をテーマとした勉強会「まちなか暮らし研究会~コミュニティ編~」を企画しました。「社長のブログ」より

のように、人々の近年の意識変化を捉え、地域共同体作りを牽引するのは、組織力・生産力をもつ企業が適任で、それが結果的に評価され、本業の付加価値にもなると考えて取り組まれている研究会がその一つです。また、

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廃校活用を核とした農村活性化
東裏のような北海道の典型的な農村集落では農家の大規模化や高齢化、後継者不足に伴って子どもの数が減り、その象徴として廃校が続出しています。(中略)
今回は地域活性化の核を1つに絞るのではなく、農産物加工、食育、文化的活動、都市住民との交流、移住定住などの要素を総合的に組み合わせ、その相乗効果を絡めながら全体的に地域が活性化されるかどうか・・・ということに取り組む事となりそうです。「社長のブログ」より

のように、地域の活性化にも力を注いでいます。引用部分でで述べられているような現代の農村の高齢化・過疎化の問題は、その土地の企業にとっても死活問題です。その危機感を持ちながら、目先的な対応に留まらず、沢山の人や企業に声をかけて地域を巻き込み、「今後どうする?」を考える場を作っています。
そして、前述の様な企画は常に地域共同体の当事者として、実践を見据えて開催されています。このように、辻野建設工業さんが地域再生の課題を立てて呼びかけを行う事が、実は、地域の人や企業が専業の枠を超えて自ら社会を作っていく為のネットワーク作りにもなっているのです。
☆次代の社会基盤を作る事業
辻野建設工業さんは自社の事業や事業部門でも、これまでの大量生産大量消費型の生活を脱した次代の社会のあり方を構築しようと取り組んでいます。事業として取り組まれているものの一つが、居住区を整備し、生活スタイルを提案して町に居住者を呼び込む当別田園住宅事業です。
【当別田園住宅事業】

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「農的な暮らしと小動物との共生」「農的環境下でのワーク」「広い土地の教育効果」「良き隣人関係」「子育てと自然環境」「景観のある暮らし」「里山の活用」当別田園住宅事業より

この事業では、7つのコンセプトを軸に農的な暮らしを提案し、移住者を集っています。住民はまちづくりワークショップや、継続的に行なわれる交流会を通して、地域の当事者意識や仲間意識を高め、農業を軸とした自然の中での営みを通じて、都会では得られない充足感を得ています。2009年時点で47人の移住者が共に生活さており、現在でも多くの見学者が訪れています。
また、辻野建設工業さんは「自給自足事業部」というユニークな事業部門を設立されています。
【自給自足事業部】

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1:世の中、このままの消費一辺倒では立ちゆかなくなるのではないか?
2:従って自給自足のノウハウを蓄積しておくべきである。
3:仮に自給自足をせざるを得ない時代がこなくても自給自足から得られる知恵やノウハウはこれからの社会で有用になるはずである。
4:完全な自給自足は無理だと思いますが、「半自給自足的生活」とはいかなるものかを試してみたい。
5:できあがる農産物の消費を安定させたり、生産経費をまかなう上で収穫物の販売行為は欠かせない。それを「つじの蔵」等でやってみる。「社長のブログ」自給自足事業部の目的より

辻野建設工業さんは、自社の事業部門として「自給自足事業部」を設立されています。部員を募集され、2名が部員として活動されています。現在、平日は普段の仕事に取り組み、休日に農作業に従事され。農作業で得られたノウハウをブログで発信し、自給自足に向けて技術を蓄積されている段階です。
このように、平日は普段の仕事に取り組んで収入を得て、休日いは農業に従事して必要な農作物を作る。これを経済的な面から見ると、現在の農業は、儲からない農業を収益の上がる普段の仕事で補うことで初めて成立する社会構造がある、ということになると思います。
そうであれば、収益を上げる事が出来る企業が農業に取り組み、集団規模で自給自足を行うことで、現在の農業の低収益性問題を解決できるだけでなく、自然の中での教育・高齢者の役割の創出などの新しい可能性の提案にもなります。
☆企業が社会を変えていく
これまで紹介してきた辻野建設工業さんの取り組みから見えてくるのは、
◆お金が儲からずとも、誰もが必要としている農業生産は、企業内の活動に取り込むことで、集団としての自給自足が可能になる。
◆その結果、自然の中での教育・高齢者の役割創出などの機能も同時に作り出せ、市場社会固有の問題であった、教育や高齢者問題も解決し、活力のある社会を再生できる。
ということです。
また、辻野建設工業さんは研究会を開催して、企業同士の繋がりも広げられていますが、そうした繋がりを通じて今後集団規模の自給自足のような取り組みをする企業を増やしていけば、市場主義社会を超えた新しい社会を実現していく可能性が広がっていきます。
先進的な取り組みを行っている辻野建設工業さんは、これからも注目していきたい存在です。今後は更に、社員の方々の想いなどもうかがってみたいと思いました。

 

コメント

新しい共同体という概念はこれからのSNSでも同じといえますよね。

  • ハーバードナンパスクール佐藤エイチ
  • 2012年4月30日 20:44

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