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2011年11月22日

「みんな発=組織的な視点」が企業を強くする~サンコーインダストリー株式会社~

%E7%A4%BE%E5%93%A1%EF%BC%92.jpg今回は、約40万種類ものネジを取り扱うネジの問屋さんのサンコーインダストリーさんを紹介します。
ネジの問屋さんと聞くと、正直なところ堅い印象を抱いてしまいますが、HPなどからサンコーインダストリーさんの社内の様子を拝見すると、その印象は一変します。
写真やブログからは社員の方々の明るさ、活力、一体感が伝わってきて、会社が好きで楽しく働かれている事、取り扱われているネジにも全員が愛着をもたれている事が感じられます。
また、社屋や広報活動もユニークです。例えば、

%E3%81%BA%E3%82%93%E3%81%BA%E3%82%93.bmp 会社を訪問したお客さんは、企業キャラクターのペンギン型ロボットが社内を案内
レストランの様な社員食堂やジムを完備した、テーマパークのようなオフィス
HPのトップ画面で、取締役はじめ社員の方がエージェントに扮して自社に潜入する企業紹介の映画を上映

などです。こうしたサンコーインダストリーさんのユニークな取組みの一部は、活気があって風通しのいい社風と共にメディアでも取り上げられて注目されています。
しかし、社員の方々の活力や一体感、職場の風通しの良さは、その遊び心のある取組から生まれている訳ではありません。
奥村社長が語られる、

%E7%A4%BE%E9%95%B7.jpg 「中小企業の強みは運命共同体」と考え、活力ある運命共同体を目指す。
社員みんなに『いかに仕事にやりがいを持ってもらうか?』と考えると、より良い職場環境の提供しかないんです。
「勤務する社員が『自分の子供も、この会社に入社させたい!』と思わせるのが目標」。

といった、共同体的な意識が基盤にあり、日々の活動を通じてそれが社員の方々にも浸透し、みんなが企業運営の当事者として周りの期待に応えている事が、活力や充足感、全社的な一体感を生んでいるのです。
では、サンコーインダストリーさんの共同体的な風土はどのようにして育まれ、根付いているのでしょうか?
続きの前に応援宜しくお願いします

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☆みんな発の視点を育むTQC活動
 tqc-img_01.jpgサンコーインダストリーさんの取組みのなかで、社員の共同体的な意識を育む核になっているのが、1983年から既に50回近く行われているTQC(総合的品質管理)活動です。これは、日々の業務の中で「お客様に満足いただくために何とか改善できないか」と感じた問題をテーマに、業務の品質や効率を向上させる活動です。各部署で10名程度のサークルが作られ、全社員が半年間活動して、夏と冬に盛大な成果発表会や表彰が行われます。
この活動から、例えば、

%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC.jpg 33回、営業二課のサークル「セルビス」が取り組んだ「とりよせ」は、注文と同時にメーカーにオーダーが入り、物流センターにもその情報が届くというもの。TQCがきっかけとなり、社内で改善が重ねられ、現在、「TORI」というサンコーに欠かせない業務ソフトに進化しています。「セルビス」のリーダーを果たしたのが、入社2年目の女性社員。その回の最優秀リーダー賞に輝きました。
「資料がポン!」は、ネジの材料を証明する品質保証のためのもの。リンクが張られ、サイトが纏められ、IT化が図られました。商品本部が発案、構築しましたが、汎用性が高く、営業から、さらに現在は誰もが見れる社内ネットワークとして活用されています。

などのように、新たなアイデアや取り組みが長年に渡って次々に生み出され、日々の仕事に反映されています。
「職場をもっと良くする為には?」「お客さんにもっと喜んでもらうには?」という課題に誰もが取り組み、役割を担う事で、みんな発の組織的な視点や当事者意識が育まれています。そして、その成果を全員で評価し、共有する場がある事でこうした活動自体が全社的な活力や一体感、充足感を生んでいます。
また、TQC活動では新人や2年目の若手社員がリーダーを務めることもあり、若手が全社的な課題で役割を果たす機会にも、統率力や問題解決力を身につける格好の人材育成の機会にもなっているのです。
☆自分たちの場を自分たちで作る「○○委員会」
また、サンコーインダストリーさんでは、TQC活動だけでなく、日常的に社員の方々が取り組む「○○委員会」と名づけられた自主活動も活発です。

jyouhou.jpg採用チームの佐藤です。
本日は、「情報発信委員会」という委員会の早朝会議に出席しました。
わが社では、〇〇委員会という小集団が沢山存在します。
各々が目的をもって活動しています。
「情報発信委員会」は、その名の通り、社内外に我社の情報を発信する
… 事を目的としています。
ちなみに本日のテーマは「他拠点の知りたい情報は何か?自拠点から
発信したい情報は何か?」でした。
このような日々の小さな活動が、「他部署や他拠点の垣間が無い」「派閥や学閥が無い」につながり、それらが、サンコーインダストリー独自の“家族のような繋がり”につながるのかなと思った本日の朝でした。サンコーインダストリー株式会社採用チームfacebookより

このほかにも、各部署の代表で構成されるレクレーション委員会、社内外の美化に取り組む環境整備委員会、制服委員会など、沢山の○○委員会が立ち上げられています。
TQC活動を基盤に社員の組織的な視点が育まれ、委員会活動で日常的にも「自分たちの場を自分たちでつくる」事が任されていることが、社員の活力を高め、共同体的な意識や、組織力を一層強いものにしている事が分かります。
☆全員参加の場づくり
%E3%81%8A%E3%83%BC%EF%BC%81.jpgそして、サンコーインダストリーさんは「全員一丸となって」仕事に取り組む為に、社員研修や、全員で成果を挙げるための社員の巻き込みや場作りも工夫されています。
まず社員研修は、業務分担に関わらず、誰もが経営者としての視点でネジ業界の仕事に取り組める様になることを目的に開催されています。また、時々の新商品の知識習得の研修には、営業職だけでなく営業事務担当も全員参加し、一緒に勉強会を行います。
そうした研修で誰もが周りの仕事に通じていることを背景に、業績の節目や販促キャンペーンは、全員参加のお祭りになります。各営業マンの成果をダービーに見立て、社長を筆頭に全員で営業マンを応援し、その成果をみんなで喜び合います。その為のブログまで立ち上げられる熱の入れようですが、全員が本気で楽しめるのも、研修や日頃のやり取りを通じて、仕事の大変さも喜びもみんなが同じように捉えられているからなのだと思います。
☆みんなで作る社内報
サンコーインダストリーさんには、コミュニケーションツールとして社内報があります。「Monthly Sunco News(MSN)」と名づけられた社内報は、給与支給日に給料明細と一緒に配布されています。

給料明細と一緒に配布されることで、社員本人だけでなく、家族もSUNCOでの取り組みやニュースなどの共有ができるようになっています。MSNの発行にあたっては、各部署の代表者が持回りで編集長を務めることになっています。
≪掲載記事例≫
★全社的なニュース
★部署毎でのニュース
★キャンペーン情報
★社員紹介
★今月のぴか一(ピカイチ)さん (各課で活躍した人にスポットを当てて紹介)
★SUNCO品質チャンネル (各課での品質に関する取り組みを紹介)
★今月の赤ちゃん (前月に誕生した社員の子供を紹介)

社内報をみんなが持ち回りで作る事や、記事の事例からは、社員が日頃から社内の様子や仲間の活躍ぶり、家族のことまでを注視していて、良く知っているからこそ作れる社内報だという事が分かります。みんなで作ることで、社内報と社内報作りの課題も社員の関係をより深めているのです。
☆職場の充足を高める女性の活躍
これまで紹介してきた取り組みの中では、以下のような女性の活躍も目立ちます。

%E5%88%B6%E6%9C%8D%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A.jpgユニークなのは社員が着用する制服を決める制服委員会の設置です。「自分たちの気に入った服装で気持ちよく働いてもらえるように」という社長の発案から、3から4年に1度のペースで制服を見直しています。委員会の代表は女性社員が務めています。制服として社員に支給しているフリースやジャンパー、スカート、ベスト、ブラウスなど、委員会のメンバーが意見を出し合いながら決めるそうです。その中でもマタニティーウェアは電磁波を遮断する素材を使用するなど、ファッション性だけでなく機能面まで配慮するよう話し合いました。大阪府HPより

「周りの人やお客さんにもっと喜んでもらおう」、「職場をもっと良くしていこう」という、女性たちの細やかな気配りや充足性が、仕事をはじめとする活動の中で、関わる人たちの活力を引き上げていることが感じられます。
それを敏感に捉え、サンコーインダストリーさんでは近年、新卒採用者の3分の2が女性と、採用面でも女性の活躍に強く期待されています。これまで培われてきた社内外の充足が一層広がり、ますます勢いのある企業に発展していきそうです。
☆社員の「みんな発=組織的な視点」が企業を強くする
ここまで紹介してきたように、サンコーインダストリーさんでは、日頃から社員が職場や仕事の成果をより良いものにする為に主体的に活動されています。そして、それが仕事の活力や充足、一体感をスパイラルに上昇させ続けています。
その基盤になっているのが、社員の方々の「みんな発=組織的な視点」です。
サンコーインダストリーさんでは、社長が企業を共同体として捉え、常々社員の活力に想いを馳せ、長年のTQC活動や研修を通じて「みんな発=組織的な視点」を育成しながら、自分たちの場を自分たちで作る機会を社内に広げてこられました。
体制の組み換えや、他企業で成功している新たな取り組みの導入はどこの企業でも検討されますが、なかなか実践にはいたらず、また、ただ取り組んでも上手くいきません。
紹介したサンコーインダストリーさんの数々の事例は、社員に組織的な視点が浸透すればこそ、「○○委員会」のようなより良い場を作る為の活動も自ずと活発化し、共同体的なより強い組織が出来上がるのだ、ということを示していると思います。

 

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