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2012年05月01日

共同体企業の中身とその構造化⑦~市場原理に替わる確かな判断軸を経営に取り入れた企業~

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バブルの崩壊以降、少しも良くならない景気。その上、金融危機でいつ失速するか分からない世界経済。それなのに、司令塔たる政府は無策なままで、この国の統合機関の空転はひどくなる一方です。

学者や官僚は、誤魔化しの弥縫策しか打ち出せず、経営コンサル等も同様で、小手先の方法論しか提示できません。事態は悪化するばかりなのに、講演などを聞きに行っても、この状況を打開する抜本的な答えを語る人は誰もいません。

このような混沌の時代の中、真剣に生き延びる可能性を模索する企業があります。彼らは、近代思想に立脚した、ありふれた企業理念や、市場原理を鵜呑みにした小手先の経営理論の改良などを越えて、もっと確かな判断軸を模索しています。

それは、何か感じはするけれども言葉にならない潜在思念をよりどころにして、直接行動方針に繋がっているものや、すでに観念化(言葉化)まで行き着き、この時代を切り抜ける新たな概念装置といして固定されているものまで様々です。

そこで今回は、これらの事例について段階を追って、記事にしてみました

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☆☆☆『関ヶ原製作所』・・・みんなの潜在思念を判断軸に、新しい会社のあり方を模索している企業

『関ヶ原製作所』さんは、70年代のオイルショックで経営危機に陥った際に、旧来の資本の論理に基づき、従業員を大量解雇しました。その結果、残った社員も含めて、人心は関ヶ原製作所の経営者から離れて行きました。

このとき経営者は、市場原理に則った従来の判断軸ではうまくいかない時代だと直感し、「利益は二の次でいいではないか、給料があがらないのなら、せめて、明るく楽しい会社にして欲しい」という社員の期待に応えて、社員の望む会社を社員自らが考えていくという組織づくりをスタートさせました。

この結果、社員の活力は再生し、従来の経営常識とは裏腹に利益も上がってきました。そしてその後に訪れた、90年代後半のバブル崩壊後の不況という3度目の試練を機に、生産内容そのものを戦略的に変化させてきたのです。

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それは、他の企業が大量生産体制に乗らないために撤退していっていた多品種少量生産の製品への移行です。

これらの製品を受注するためには、多方面に渡る、絶えざる技術向上が必要になり、技術獲得が皆の会社を存続させるための重要な課題となります。

その結果、大変な技術習得過程そのものが、皆から期待される技術者の役割になり、それを実現する『ものづくり学校』という制度も作り出し、匠人材の創出 技術・技能のエースとなる人材を戦略的に育成するまでに発展して、関ヶ原製作所の経営を支えています。

このように、生産にかかわる技術習得自体が、『私権(自分)のため』から『みんなの期待に応えること』に変わり、職能主義という従来の技術者の視野狭窄的な属性を乗り越えて、経営を考える技術者へと変身をとげることが出来たのです。

つまり、市場原理を基盤とした経営常識をすて、今感じる『みんなの期待』という新たな可能性を、言葉にならずともそのまま制度化して、混沌の時代をきり開いてきたのです。

今や、関ヶ原製作所さんにとっては、従来の経営理論より、『みんなが感じた会社のあり方』の方が、よほど確かな判断軸になっているのです。

これは、技術系企業に対してコンサルタントがまことしやかに提供する、『技術経営(MOT)』のような経営理論とは、その立脚点も対象も全く異なることが分かります。


☆☆☆『名南製作所』・・・『自然の摂理』から導かれた概念装置を、確かなる判断軸にした会社

『名南製作所』さんではF=maという自然の法則から導きだされた概念装置を、会社経営の判断軸にしています。これは、不確かな、近代思想に立脚した、ありふれた企業理念や、市場原理を鵜呑みにした小手先の経営理論の改良なとは全く異なり、組織を統合する概念装置の原点に、不変の事実である自然の摂理を置いたということです。

『F=maをルールとする』

理解することがすべて

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人が生涯を通じ、悠然と泳ぎきる強靭な精神力は、F=maの確然たる物性観によって他のいかなる文化よりも明確に開眼させられる。いったん開かれたこの心の目は、永遠に衰弱することなく、心の青春に美しい光と雄渾な希望を与え続けるであろう。理解しなければ、絶対信ずることができない。これが、大自然の法則F=maに内在する動かすことのできない心である。

~中略~

変わらぬは自然の法則のみ

~中略~

さて、あなたはいま、何を本当に信じて生きているか。もう一度静かに胸に手を当てて考え直してみよう。「金か」「物か」「友人か」「恋人か」

~中略~

「国家か」「自分自身か」。では質問する。そのものは時が経てば変化するか、いつまでも変わらないかよく考えてみたまえ。

~中略~

変わる可能性が絶対あるものを、はじめから当てにして、変わったからといって文句をつけているあわれな姿を、英語で「ナンセンス」という。「いつまでも変わらないのは自然の法則だけである。

このように、まずは不変の事実を基軸に置き、そこから自然科学的領域だけではなく、人間や社会の本質にも至る『法則』をも読み取り言葉(概念装置)として固定しています。

ここには、本気で何かを実現しようと思えば、旧来の思想や経営理論が、誤魔化しで小手先のものであるかに気づき、それを超える、不変で確かな本物の理論を追求するしかなくなくなる、というもう一つの事実も見えてきます。

『名南製作所』さんが、このような追求に至った背景には、『労働闘争経験』や『在来の会社経営への疑問』や『大学という権力体』の問題など、既存社会の壁を自ら体験したことにありあます。

そして、これを越えていくためには、新しい統合様式の会社を自ら創っていく必要であり、それには、今までに無い確かな概念装置が必要ということに気がついたのだと思います。

その際に、技術系の企業ということもあり、近代思想に比べればはるかに不変性の高い自然法則を基軸に、会社を統合していく概念装置を創り出したのではないでしょうか?


☆☆☆『類グループ』・・・確かなよりどころとなる理論を、自ら創り出すことで活力を上げている会社

実現するために事実を追求する。事実の中に答えがある。(類グループ会社案内P10~P11)より引用

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新しい可能性を実現しようとすれば、必ず現実の壁が立ち塞がる。この壁を乗り越えるためには、まず壁のあり様を正確に把握すること、つまり状況認識が不可欠となる。そこで必要となるのは、ひたすら現実を直視し、事実を追求する姿勢である。とりわけ、挑む壁が大きければ大きいほど、表面的な現象事実だけでは答えを出せず、より深い構造の発掘が必要となり、必然的に歴史事実の発掘⇒実現構造の体系化へと向かう。

例えば、近代市場・古代市場の成立過程の追求から、市場の構造が解明され、そこから経済情勢を正しく予測し、確かな方針を打ち出すことが可能となった。また、人類史の追求から、原始の人類が共認原理(集団のあらゆる課題を皆で認め合い、夫々の役割を共に認め、評価を共認すること)で統合された集団に守られて生き延びてきた存在であったことが分かり、共同体・類の統合原理と進むべき方向が確立され、活力に充ちた共同体を実現することが可能となった。

更には、サル社会や生物史の追求から、哺乳類を貫く自然の摂理が発掘され、闘争存在である男と充足存在である女それぞれの能力を最大限に引き出す場を作ることが可能となった。

つまり、徹底した現実直視⇒事実追求によって蓄積されてきた構造認識群と、そこから導かれる確かな方針こそ、類グループが活力にあふれる場を実現し、勝ち続けてきた最大の武器になっている。

このように共同体・類グループでは、40年に亙って現実直視⇒事実追求を繰り返す中で、現実社会で役に立つ新理論を積み上げ、『実現論』や『自主管理の招待』、『GRAND THEORY』などを作り上げてきました。

このように、『類グループ』は、学者や官僚の打ち出す、誤魔化しの弥縫策や、経営コンサル等の小手先の方法論にすがっても何も実現できないという時代認識から、新しい時代に適応していくための事実にもとづく理論を、自ら創り出すことで社員の活力を上げ会社を統合してきたのです。

その結果、未明課題に対しても正確な方針を出すことが出来、どんな逆境でも突破し続けることにより、沢山の成功体験を積み、大きく成長することができました。それと同時に、実現するための理論の追求それ自体が、社員の活力を上げる 原動力になっていたのです。

このように、類グループは、混沌の時代には小手先の改革ではなく、新しい可能性を開く理論がまず必要である、という事実を自らの体験をもって証明した企業とも言えるでしょう。

これらの結果、新しい理論をよりどころにして出来上がった仕組みの一部を紹介して、この記事を終えたいと思います。

~社員全員で課題を共有する「社内ネット」

「社内ネット」は、類グループ438人が最も活用する仕組みの一つであり、部門を越えた提案、リアルタイムに課題や成功体験を共有し、社員全員の意識が統合されています。また、下記の劇場会議で共有された経営方針を、各部門で具体的にどのように進めていくのか、その戦略手法と改善案が逐一投稿され、素早い塗り重ねが行われています。 

~社員全員で追求過程を共有する「劇場会議」

社員全員が取締役・株主である類グループでは、「劇場会議」と上記の社内ネットが組織図上、最重要に位置しています。劇場会議には、社員全員が参加し、経営方針を決定するだけでなく、その方針に至る原因や構造、そして追求過程そのものを共有することによって、社員誰もが経営的視点を持つことができる。そして、その視点と方針を元に、上記「社内ネット」で日々課題を共有することで、具体的な実践方針も塗り重ねることができます。 

~女たちの感覚が一体になる「感謝と謝罪のトレーニング」

自主活動である「感謝と謝罪のトレーニング」は、さらにいい女になるために女性50人以上のメンバーで、日々起こる様々なことをどう捉え、どう深めるかをみんなとすり合わせを行う場を作っています。感トレノートを書いたり、定期的に集まって「感謝と謝罪のトレーニング」を行うことで、元々やる気にさせ上手である女性同士の意識が一体になれば、まわりのやる気がどんどん上がる!この期待応合がスパイラルとなって、組織の大きな活力源となっています。 

~社会構造を分析し、意識潮流を読む「ネットサロン」

自主活動である「ネットサロン」は、社会事業の一環の活動で、社員と活動に共感してくださった方とともに、社会の勉強会を開催しています。ネットサロンの特徴は、特定の分野だけを扱うのではなく、例えば政治・経済・人々の意識など、複層的に物事を捉え、原因と答えの構造を追求していく場です。社会構造や人々の意識潮流について学べば、現実で起こっていることの必然性、未来予測が可能となり、お客さん以上にお客さんの欠乏・状況をつかむことができるようになる。 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました

 

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