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2012年11月08日

『共同体経営とは?』1~遺伝子の共同体~

本日は「生物進化の歴史:遺伝子の共同体」をテーマに、我々の共同性の起源を探っていきたいと思います。
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共同体企業に関する分析でありながら、なぜ生物史まで飛んでくの?と思う方もいらっしゃるとおもいますが、「共同性」や「群れ」の意味を考えていくと、人類はもちろん、サル、動物、多細胞、単細胞・・・全ての生物が、共生体・共同体=群れとして適応・存在しており、共同体を形成すること=群れるのは生物の摂理といえます。つまりこの根本原理を追及しなければ、共同性や群れの本質は見えてこない。

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そして突き詰めていくと、実は我々生物の遺伝子のレベルにまでさかのぼる必要があるのです。


***以下転載***
『遺伝子の共同体』
真っ当な分子生物学者なら、生物の維持と進化の単位(主体)を、一つの細胞内に存在する全DNA(人間の場合、この全DNAの中に約十万の遺伝子が組み込まれている)orゲノムに置くだろう。
その根拠は、少なくとも二つある。(補。細胞質遺伝etc.DNA変異によらない、全く別の進化様式が存在することは、間違いないと私は考えていますが、ここでは便宣的にDNA方式に限定して、話を進めます。)
***以上転載***

生物の維持と進化の単位である遺伝子を考えたとき、遺伝子の複合的な働きがヒントになります。
1)一個の遺伝子が単独に働くことは在り得ない
先ほどの投稿の続きです。


***以下転載***
まず第一に、一個の遺伝子が単独に働くことは在り得ない
。どの遺伝子も数十、数百、数千の他の遺伝子群と連鎖的に化学反応を起こしてはじめて何らかの働きを持ったアミノ酸や蛋白質を作り出すことが出来る。しかし、そうして作り出された一つの蛋白質だけでは、生命を維持することは出来ない。結局、十万の遺伝子が緊密に連動し、協働してはじめて生物は維持され、進化してゆく。要するに全DNA(ゲノム)とは、まぎれもなく十万もの遺伝子の共同体である。
***以上転載***

遺伝子はその全体が常に協働することで生命体を維持しており、遺伝子全体が群れの構造すなわち共同性を有しています。単体の遺伝子だけを取り出して、その働きを議論しても無意味です。
これらは、近年の遺伝子レベルでの実験によりある程度解明されています。
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***以下転載***
『ノックアウトマウスから見えてきたこと、遺伝子ネットワークによる代替』
医学の研究領域で、特定の遺伝子(DNA領域)を損傷したノックアウトマウスによる実験が、広範囲に行なわれている。
ある臓器の重要な機能に関与している蛋白質を見出し、その発現を規定しているDNA領域を欠いた受精卵を作成し、この受精卵から生まれたマウス(ノックアウトマウス)を観察して、確かに、その蛋白質が、臓器の重要な機能を担っている事を検証しようというものである。
しかし、このノックアウトマウスは、研究者の予想に反して、何も欠陥がでてこない
***途中省略***
しかし、GP2ノックアウトマウスは、消化機能不全を起こすことなく、順調に成長し、立派に受精し、次の世代を生み出した。
同様な例として、脳海綿症で注目されているプリオンに係わるGPIという蛋白質があるが、このGPI蛋白をノックアウトした。
プリオンはそれが変性し機能を失うと「狂牛病」を発病するので、脳・神経系では重要な機能を担っている。しかし、このプリオンを欠いたノックアウトマウスでも、何の異常も見つからない。
***途中省略***
GP2発現をノックアウトした受精卵は、発生過程において、遺伝子の相互作用により、GP2を使わない、別の消化酵素分泌メカニズムを形成したのである。
GP2蛋白質を使った消化酵素分泌メカニズムだけが唯一のメカニズムではなかったのである。
生命体は、この様に、遺伝子ネットワークによる動的な挙動によって、代替した秩序を作り上げる潜在力をもっている。
近代科学の祖であるデカルトを継承した定説、生物=超精密機械論では解き明かせない生命原理が存在する

***以上転載***

ある形質や機能に関わる遺伝子を損傷させても、他の遺伝子ネットワークにより代替機能の形成を含めて柔軟な一つのシステムとして存在していることが分かります。
これがひとつの遺伝子が単独で存在することができず、他の数十万という遺伝子と連鎖的に反応して初めて生命が維持できるということを表しています。
2)変異遺伝子は残りの遺伝子と適応的でなければ生きていけない
次に、もうひとつ重要な視点として、遺伝子は他の遺伝子と適応的でないと生きてはいけないということがあります。適応的でない遺伝子は淘汰される仕組みは、遺伝子が共同体的な存在であることの証です。
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***以下転載***
第二に、ある遺伝子が変異を起こした時、その変異遺伝子は残りの十万の遺伝子群と適応的でなければならない。もし他の遺伝子群と不適応ならば、自然環境etcによって淘汰される以前に、まず細胞内部or個体内部で修復蛋白群をはじめとする組換え系の物質群や蛋白質の致死化学反応あるいは免疫細胞によって体内淘汰されて終うだろう。従って、まず一個の遺伝子が在るのではなく、まず共同体的な遺伝子群があり、その中でのみ、かつ全遺伝子と適応的である場合にのみ、一個の遺伝子は存在し得るのである。(注:体内淘汰されない限りは適応なので、ごくまれに個体にとって有害な遺伝子が存在することも在り得る。)
***以上転載***

そもそも遺伝子というのは、一日にかなりの数が何らかの原因で損傷を受けています。損傷を受けた遺伝子は基本的に修復されますが、損傷の数が多かったり修復がうまく行かなかった場合に、淘汰されることになります。


***以下転載***
『DNA』>DNA分子の損傷は1日1細胞あたり最大50万回程度発生することが知られており、その原因は、正常な代謝活動に伴うもの(DNAポリメラーゼによるDNA複製ミス)と環境要因によるもの(紫外線など)がある。それぞれに対応し、DNA修復には定常的に働いているものと、環境要因などによって誘起されるものがある。
DNA修復速度の細胞の加齢に伴う低下や、環境要因のよるDNA分子の損傷増大によりDNA修復がDNA損傷の発生に追いつかなくなると、
・老化(細胞老化)と呼ばれる、不可逆な休眠状態に陥る
・アポトーシスあるいはプログラム細胞死と呼ばれる、細胞の自殺が起こる
・癌化
のいずれかの運命をたどることになる。人体においては、ほとんどの細胞が細胞老化の状態に達するが、修復できないDNAの損傷が蓄積した細胞ではアポトーシスが起こる。この場合、アポトーシスは体内の細胞がDNAの損傷により癌化し、体全体が生命の危険にさらされるのを防ぐための「切り札」として機能している。
***以上転載***

遺伝子群が損傷と修復を繰り返しながらも、それぞれ適応的である場合は、生命体として存続が可能となります。これはすなわち遺伝子それぞれがばらばらに働いているわけではなく、先ず全体との調和が重要であり、全体の存続を前提とした存在であることが理解できます。
3)「全遺伝子の共同体」が進化の単位
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そしてこれまでの

1)一個の遺伝子が単独に働くことは在り得ない
2)変異遺伝子は残りの遺伝子と適応的でなければ生きていけない

という事実から、生命体というものが「全遺伝子の共同体」を単位として進化をしてきたということが導き出されます。


***以下転載***
>第一・第二の当然の帰結として、ダーウィン的な自然淘汰は、常に全遺伝子群(ゲノム)に対して働く(正確には、全遺伝子群が作り出す、全形質に対して働く)。それが、全遺伝子の共同体を進化の単位(主体)とする根拠である。
***以上転載***

「生きとし生けるものが全て外圧的応態である」・・・が故に、この外圧適応の圧力は、遺伝子レベルにまで遡ることができます。そしてこの圧力に対して、すべての遺伝子が共同体的適応を行うことによって、存在し、種として適応していることが、「全遺伝子の共同体」が進化の単位(主体)であるといえる根拠になるということです。
以上、本日は生命の起源である遺伝子のレベルにまでさかのぼり、共同性の起源は生命の起源そのものだということがよくわかりました。次回は、「生物の適応様式:群れの持つ意味を探る」をお送りいたします。お楽しみに!!

 

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