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2012年11月15日

『共同体経営とは?』2~群れのもつ意味を探る~

「遺伝子の共同体」では、私たち人類の持つ共同性の起源を見てきましたが、今回は生物が本能的に持つ「群れのもつ意味」を探っていきたいと思います。

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私たち生物が誕生してから40億年。
これまで生物はさまざまな外圧に対して適応戦略を打ち出すことで進化し、生き抜いてきました。
つまり、全ての生物は外圧適応態であり、今生きている生物たちは外圧適応に成功してきた種ということです。
実は、この適応の歴史が群れの歴史そのものなのです。

いきなり適応の歴史が群れの歴史なのだと言われてもしっくりこないですよね。

例えば、私たち人類は群れることで生きています。家族という群れの中で助け合い、会社という群れの中で共に仕事を作り上げ、国や世界という大きな群れの中で互いに養い合って生きいています。
もちろん人類だけに限らず、草食動物や小動物、魚、昆虫なども群れを作り、外敵に対抗しながら、子孫を残しています。
一方で、熊などのように群れを作らない種もいます。しかし、もっと注意深く見ていくと、実は、熊も生物が群れることで生きることができているのです。さらには、その群れを形成している一個体を見ていくと、その個体も生物が群れることで生きることができているのです。
つまり、“群れ”が階層的に重なって生物が形作られている訳ですね。

その階層化がまさに生物進化=適応の歴史の痕跡であり、階層毎に異なる “群れ” =統合様式があったことを教えてくれています。統合様式とは詰まるところ「生死を分かつほどの外圧に対して、どう生き延びるか?」の命題に対し、生物が出した答えであり、その時代の生物の適応戦略を現しているものです。つまり、私たち生物は、祖先の生物たちが出した答えの集合でできているのです。

こう見ていくと、それぞれの階層毎の“群れ”=統合様式がどんなものだったのか気になって来ますよね 😉
それでは、順を追ってもう少し詳しく群れの歴史を見ていきたいと思います。

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1.自然外圧に対する群れの統合様式

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まず、生物が初めて経験した外圧は、強大な自然外圧です。
この頃、自然環境は大変化を繰り返し、生物は常に機能が停止する危機=絶滅の危機に瀕する状況にありました。生物にとって対自然闘争が生きる上で第一義的な意味を持つことになっていたのです。

そんな中、この強大な自然外圧に群れることで適応していく道を見つけたのが、私たちの祖先であり今も身近なところで耳にする、ビフィズス菌、大腸菌、納豆菌といった原核生物たちです。

群れることで遺伝子の交換を行い、生物群体として外圧に適応した原核生物

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始原生命である原核生物は、バイオフィルム内で生息する同類同士の位置関係を認識しながら、周囲の状況変化に応じて遺伝子を発現させ、外圧適応しています。つまり、単体では生きられない為に、集合し、微生物共同体として一つの生命体を構成し、遺伝子や酵素等の諸機能をそれに連動させる形で真核生物へと進化していったのです。

一人では生きられないため、寄り添って集まることで助け合って生き延びるという適応戦略を選択した原核生物たち。
しかし、次の自然外圧が生物に新たな適応戦略を求めていくことになります。

一つの細胞内に異なる機能の細胞が群れ、共生群体として外圧に適応した真核生物

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酸素生物「好気性細菌」や光合成生物「シアノバクテリア」といった原核生物の登場により、地球上の酸素が大量に増加し、自然外圧が変わると、次の統合様式である真核生物が生まれます。まず、酸素生成生物や光合成生物を補食作用によって体内に取り込み、酸素呼吸によりエネルギーを作り出すミトコンドリアと共生して、エネルギーの生成が可能になったことでより大型化し安定的に生存が可能になりました。また、核膜を形成したことで、DNAの遺伝子情報安定化と高度化を図ることもできました。このように、異種の原核生物が群をなし共生することで、それまで有害であった酸素や光を吸収し、外圧に適応していったのです。

見事に外圧適応した真核生物たちでしたが、次に、適応の中で得たDNAの遺伝子情報安定化(異なる個体同士が寄り添い合い、DNAを組み替える)の方法をさらに進化させた多細胞生物が誕生します。

群体として外圧に適応した多細胞生物

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次の統合様式として誕生したのが、数限りない真核細胞で構成されている多細胞生物です。初めて他種の生物との生存競争に晒された私たちの先祖である真核単細胞は、集まることで要素や部分に役割分化し、大きな外圧適応体を形成していく新たな統合様式を形成していきます。体細胞と生殖細胞の役割分化を手に入れた多細胞生物は体細胞をどんどん変化させ、脳や神経を作りながら、その後の生物大爆発の大きな契機を作ることになりました。

2.他の生物との種間圧力に対する群れの統合様式

カンブリア紀になると、自然外圧に適応した種が爆発的に繁殖していきます。この時代になって初めて自種の食糧確保領域と他種の食糧確保域とが重なり、その密集状況の突破口として、ある種が運動能力を高める進化を実現しました。その最たる出来事が肉食動物の誕生と、その肉食動物から逃げるために、更に移動能力を付けた者や、たくさんの棘で身を守るような生物の誕生です。まさに、カンブリア紀は、自然圧力にほぼ適応進化した生物が、初めて種間圧力を対象化した時代と言えるのです。この激動の時代を生き抜き、地上に繁殖の道を目指した私たちの祖先は多くの外敵から隠れながら、新たな統合様式を形成していくことになります。

胎内保育機能と性闘争本能を獲得し、縄張り集団として外圧に対応した哺乳類

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“哺乳類の最大の特徴は、胎内保育機能にあります。しかし、卵産動物が一般に大量の卵を産み、その大部分が成体になるまでに外敵に喰われることによって淘汰 適応を実現しているのに対して、胎内保育と産後保育の哺乳類には、適者だけ生き残ることによって種としてより秀れた適応を実現してゆく淘汰適応の原理が働き難くなります。そこで、淘汰適応が成体後に引き延ばされ、成体の淘汰を激化する必要から、哺乳類は性闘争=縄張り闘争の本能を著しく強化してゆきまし た。実際、性闘争を強化した種の方が適応力が高くなるので、性闘争の弱い種は次第に駆逐されてゆきます。かくして哺乳類は、性闘争を極端に激化させた動物 となっていきました。現哺乳類の祖先と考えられているモグラの場合、性闘争に敗け縄張りを確保できなかった個体(=大半の個体)は、エサを確保できずに死んでゆきます。
もちろん、性闘争=縄張り闘争の本能は、脊椎動物の前から殆どの動物に存在していますが、哺乳類は、この性闘争(=縄張り闘争)本能を淘汰適応の必要から 極端に強化した動物だと云えます。その場合、種を存続させる為には、闘争存在たるオスがより闘争性を強めると共に、メスたちの外側で外敵に対応した方が有利です。従って、とりわけオスの性闘争(=縄張り闘争)本能が著しく強化されることになります。モグラの場合、メスも性闘争=縄張り闘争をしますが、オスの闘争はより過激で、その行動圏はメスの3倍に及びます。従って、概ね3匹のメスの縄張りを包摂する形で1匹のオスの縄張りが形成されます。これが、哺乳類に特徴的な首雄集中婚の原型です。
こうして、哺乳類のオス・メス関係を特徴づけるオスの性闘争の激しさと内雌外雄の摂理(本能)、および群れの全ての雌が首雄(勝者)に集中する首雄集中婚 の婚姻様式(本能)が形成されました。このオスの性闘争の激しさと内雌外雄の摂理と集中婚は多くの哺乳類に見られる一般的特徴であり、もちろんサル・人類 もそれを踏襲しています。”

このように、哺乳類は種として群れることにより高い外圧にも適応でき、そこで生殖を行い同類他者を生み出すことで、さらに高い外圧に適応していけるよう新たな本能特性を獲得することになりました。

3.同じ種内の個間圧力に対する群れの統合様式

群れる為に共認機能を獲得したサル

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外敵のいない樹上に進出したサルは、栄養価の高い木の実や果物が豊富にある環境(最高の防衛力と生産力)を手に入れ、森林の食糧限界まで繁殖していくことになります。そこで、彼らの最強本能たる性闘争=縄張り闘争が激化します。しかし、通常であれば縄張り闘争に負ければ餌を確保できずに淘汰されていくのに対し、常に餌の豊富な樹上環境であるが故に、縄張りの境界線上で、闘争に負けても死なない、という本能上には刻印されていない状況へと追い込まれることになります。つまり、敗者は常に勝者に追い払われながらも生き続けるという形で、極度の飢えと怯えといった不全感覚を常に刺激される極限状態に陥ってしまったのです。
このような状態から解脱すべく、弱オスたちは「どうする?」⇒「どうにかならないか?」と可能性を相手に求めだします。不全感に苛まれて本能が混濁したサルたちにとって、唯一開かれた可能性=共感充足となり、はじめて意識統合に成功することになったのです。さらに親和本能を強化し、あらゆる不全感覚を捨象することで、仲間を獲得するに至ります。これによって、弱サルたちは、遂に“闘争集団”を形成し、縄張りを確保することが可能になったのです。

こうしてサルは、本能を超えた共認によって、はじめて自らの意識を統合することができました。サルが形成したこの全く新たな共認機能について忘れてはならないのは、不全感から解脱するための解脱共認(親和機能を含む)こそが、全ての共認の原点であり、その母胎の上に闘争共認や規範共認が上部共認として形成されているということです。

つまりサルは、同類圧力→同類課題を第一義課題として共認機能を進化させたのです。そして全ての共認は、その充足度に基づく評価共認へと収束していき(いわば仲間の評価を羅針盤として)、最良の内容を共認内容として固定していくことで、集団の統合が実現されたのです。

(参考:実現論 第一部:前史二.サル時代の同類闘争と共認機能)

これまで見てきたように、生物は群をなすことで外圧に適応してきた歴史を持っています。

実現論前史イ.可能性への収束=統合

始原単細胞から人類を結ぶ直線上に塗り重ねられてきた遺伝子群(の内、現在も有効な遺伝子群)は、単細胞時代の遺伝子を含めて全て現在形において、作動している。

そして、それら塗り重ねられてきた諸機能(or 諸本能)は、最も深い位置にあって私たち人間の意識や行動の土台を形成している。

組織論的アプローチからの進化論

つまり生物史とは、前の生命体が部分として活躍できる新組織を実現していく中で、新組織の統合様式が階層的に進化することで今日までの系譜を残してきた。この‘階層進化’とは‘新パラダイム’の到来・獲得に他ならないと思う。我々が最近よく耳にする‘パラダイム・シフト’という言葉も、生物史を紐解いてみれば、生命の進化メカニズムの基底的な構造や摂理のひとつと捉え直すことができるだろう。

こうして生物史的に見てきましたが、進化の歴史は“群れの歴史=統合様式の積み重ね”に通じています。
こうなると、さらなる進化を遂げた、私たち人類の統合様式はどのようなものなのか気になってしまいますね☆
ということで、次は気になる人類の統合様式に迫ってみたいと思います。

<参考投稿>
外圧適応態
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=3996
進化積層体としての多様性
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=29726
哺乳類の集団性は淘汰原理でもあるから進化原理である。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=37968
生命の起源と進化に学ぶ-6-多細胞生物の誕生
http://www.seibutusi.net/blog/2009/05/000763.html
カンブリア紀は種間圧力の連鎖進化
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=93983
進化における「自然圧力」と「種間圧力」と「個間圧力」との関係構造
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=125984
生物と「群れ」
http://www.seibutusi.net/blog/2009/07/000841.html
哺乳類の集団性は淘汰原理でもあるから進化原理である。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=37968
哺乳類の性闘争本能
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=1321
実現論 二.サル時代の同類闘争と共認機能
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=4
原猿→真猿へ
http://www.seibutsushi.net/blog/2006/12/000082.html
真猿の分化と進化過程
http://www.seibutsushi.net/blog/2006/12/000083.html
サルの表情が豊かなのはなんで?(共認機能の進化)①
http://www.seibutsushi.net/blog/2006/12/000087.html
サルの表情が豊かなのはなんで?(共認機能の進化)②
http://www.seibutsushi.net/blog/2006/12/000088.html
共認機能の獲得(1)本能不全
http://www.seibutsushi.net/blog/2007/05/000201.html
共認機能の獲得(2)共認回路の形成
http://www.seibutsushi.net/blog/2007/05/000202.html
原猿から真猿へ12 ~縄張り闘争と同類闘争~
http://www.seibutsushi.net/blog/2010/09/001006.html
原猿から真猿へ13 歴史的な視点の重要性
http://www.seibutsushi.net/blog/2010/09/001007.html

 

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