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2013年10月02日

企業の人材採用戦略-1- この20年、選考手法はどのように変化したか?

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※画像はこちらから http://www.jtca.jp/

「事業は人なり」(松下幸之助)、「人は石垣、人は城、人は堀・・・」(武田信玄)、こうした名言にもあるように、組織をつくるのは「人」、企業も人材が全ての要
したがって企業にとって、人材採用、人材育成は最重要の課題です
共認時代における人材育成とは?  

今回の記事(シリーズ)では、企業における人づくりの入口となる「人材採用」、特に新卒採用の動向に焦点を当てます。
ともに働く、ともに闘う仲間をどのように募るか? 
他社の事例にも学びながら、これからの方向性を探っていきたいと思います

大企業の人材採用は景気動向に大きく左右され、最近は、リストラ、追い出し、非正規雇用増加といった話題が多いですが、闘える優秀な人材の確保には苦心していると聞きます。
一時期は即戦力期待(人材教育に時間とコストをかける余力がない)から新卒を抑制して中途採用に傾斜する向きもありましたが、組織の理念を体現する核人材の育成、人材の年齢構成バランス、同期つながりの形成(横糸)、新人入社による組織活性化等の観点から、新卒採用重視へと回帰する動きもあるようです。
また多くの中小企業は恒常的に人材不足といわれますが、大企業のような知名度もなく、求人を出してもなかなか望むような人材が集まらないことが悩みの種です。
どのようなメッセージを、どのように発信し、認識転換を促していけばよいか、課題は山積みです。

一方、学生からは企業の人材採用はどのように見えているでしょうか?
就職活動は年々大変になっているとも言われます。
長引く景気低迷からの先行き不安、焦りもあるでしょう。
いまだに安定を求める大企業志向も根強いですが、大企業=安定という図式も過去の幻影に過ぎなくなっています。現実はそんなに甘くない。
大企業とはいかなる存在か?前編 中編 後編
自由に職業選択できる社会ではあるのですが、そのぶん悩みも多く、就職浪人、就活うつ、早期離職、ミスマッチなどの問題もあります。
一方で既存の枠組みにとらわれず、社会事業への挑戦、自ら生産体をつくる、社会をつくることを志向する若者も登場しています。
未来を拓く、社会事業の可能性
これから、若者たちの意識はどのように変化していくのでしょうか?

まずは、バブル崩壊後のここ20年で、企業の人材採用の戦略や手法はどのように変わってきたのか、見てみます。
1.新卒採用における選考手法の変遷
2.人材採用戦略の事例
3.人材採用活動の状況(課題)と、いくつかの視点(仮説)

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1.新卒採用における選考手法の変遷                  

リクルートワークスNo.102「新卒選考ルネサンス」 
環境激変の20年間に、選考手法は変わったか
 より要点抜粋。

バブル崩壊からのこの20年間は、長期的な景気低迷によって、社会環境が大きく変化。景気動向や経営環境の影響を強く受ける新卒の採用環境も大きく変わった。学生の就職活動の厳しさが頻繁に言われるようになる。就職協定廃止をはじめとする「自由化」、企業が独自の採用活動を始め、選考プロセスを分散させた結果、学生の就職活動は「早期化」「長期化」したと言われる。
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◆採用環境が激変するなか、企業は厳選採用を始める
新卒採用の需給バランスを示す大卒求人倍率の推移。
バブル期の1991年卒は2.86倍→バブル崩壊で急落1996年卒は1.08倍→1998年卒は1.68倍まで持ち直し(IT)→2000年卒は再び下がり0.99倍→翌2001年から求人倍率は上昇基調(団塊世代の一斉退職目前)→2008年卒の求人倍率は2.14倍。
この20年間は、新卒の採用環境は経営環境の影響のみならず、社会環境の変化を強く受けてきた。
1.大学進学率の上昇。1990年は約25%→2009年には約50%と2倍に。『大学生』の意味の変化、“大学卒”が必ずしも高い学力を証明するとはいえなくなった。
2.非正規社員の比率上昇。1990年代後半の就職氷河期に拡大した、正社員になれなくともフリーターや派遣という働き方でよいとされた時代。リーマンショック以降一転して、大学卒業時に正社員になれなければ一生苦労するという焦りや不安の時代。この2つの時代は、同程度の求人倍率でも、正社員へのこだわりはまったく異なる。就職活動における不安が増している。
3.インターネットの登場。学生間の情報格差はなくなり、一部の有力大学の学生しか知り得なかった情報をどの学生でも入手できるようになった。一方、情報があふれたことで、学生は焦りを増長。
経営環境の悪化、大学卒の持つ意味の変化、混乱する学生の就職活動など、環境が大きく変わるなか、企業は欲しい人材の見極めが難しくなり、学生を厳選するための方法を模索し始めた。

◆人数を厳選するために、選考手法を組み合わせる
1993年、「厳選採用」という言葉が『就職ジャーナル』に初めて登場。バブル崩壊直後、企業はまず数の厳選を始めた。なかには新卒採用を中止した企業も。
書類選考、適性テスト、小論文など、企業はさまざまな手法を組み合わせることで採用人数を絞ろうとした。面接では、何年後にはどう働いていたいか、この会社で何をやりたいかという意思を問い始めた。また、事業内容や企業理念を理解しているかを確認。さらには威圧的な内容の質問や反論を繰り返し、これに対する返答や対応を見ようとした。いわゆる圧迫面接の登場。

◆母集団が大きくなるなか、効率的な選考手法を模索
1997年、就職協定が廃止。翌年の倫理憲章では実質的な選考は大学4年まで自粛するとされたが、会社説明会や採用情報の広報などの時期は早まった。
1996年に就職情報サイト『リクナビ』が誕生。インターネットを利用する企業は一挙に増加。より多くの学生との接触が可能になり、企業は大量に学生を集めることで優秀な人材に出会える可能性を高めようとした。資料請求やエントリーの数は増加し、母集団は大きくなったものの、どうやって選考していくべきか、企業は試行錯誤を始めた。
エントリーシートを使ってスクリーニングを始めたのはこの頃から。質問の内容は、「自分の長所と短所を書きなさい」「過去に何をやってきて、その経験をどう生かしていきたいか」など。学生はエントリーシートを埋めるため、自己分析に多大な時間を費やすようになる。
インターネットの普及による、もう1つの大きな変化。適正検査の問題や、面接の質問事項、面接者の特徴などの情報がネット上に流れ、学生の間では回答をあらかじめ準備することが一般的になる。
企業は、学生の多面的な姿を見ようとして、グループワーク、ディスカッション、ディベートなど、さまざまな場を用意し始めた。

◆新卒へのこだわりうすれ、即戦力重視。個人面接が主流
1990年代後半、学生の就職活動は依然として厳しかった。採用基準に達しない学生は採用しない、採用予定数には固執しないという企業が増加。数の厳選だけではなく、学生の質を問い始めた。職種別採用の導入も目立った。人数を絞ることができるうえ、求める知識やスキルなど採用基準が明確になる。
2000年以降、景気後退から、企業は即戦力を求める動きを強めた。さらにフリーターの増加や派遣可能な業種が拡大したことから、新卒採用へのこだわりがうすれた。
新卒採用での失敗を回避するために、個人面接を重視し、学生1人あたりの面接回数も増えていった。「コンピテンシー」という言葉が使われ始めたのもこの頃。
より早く戦力化するために、ある職種に求められる適性や能力が備わっているかどうかを面接で見ようとした。選考においても、人事部だけでは適性や能力が判断できなくなり、現場の目を取り入れる動きが目立った。
2001年以降、少数厳選採用の企業は多いものの、企業の採用意欲は徐々に高まり始めた。いっぽうで、なかなか求める要件を満たす学生に出会えないという声も聞くようになる。
企業は、事業内容や仕事の中身を詳しく知ってもらおうと、セミナーや会社説明会に力を入れるようになる。インターンシップを実施して、会社で実際に働くことで仕事を理解してもらおうとする企業が2割を超えた。

◆新卒回帰が進むなか、早期離職が新たな問題に
2006年以降、企業の採用予定人数は急増。1990年代に新卒採用を抑制したことで組織の年齢構成の不均衡による影響が出始めたことが大きい。
こうして新卒回帰が進むいっぽうで、新卒採用におけるさまざまな問題が明らかになってきた。深刻になっているのが、採用後のミスマッチや早期離職の問題。入社後3年以内に辞める人は1995年以降、3割という高い割合で推移。
「叱られたり理不尽なことがあると翌日から出社しない社員が出てきている」「何ができるか、何がしたいかと面接で問われたのに配属が異なる、と辞めるケースも少なくない」「前兆なく突然退職を申し出るケースが増えてきた」「すぐに成果を求めがちで成果がでなかった場合の踏ん張りがきかない」との声も。大手企業を志望する安定志向や、多くの情報に振り回されている、など学生側の問題もあるだろうが、入社時の見極めに何らかの問題も潜んでいると思われる。

2.人材採用戦略の事例

ごく一般的な新卒採用活動は、就職情報サイトへの掲載、会社ホームページでの広報、会社説明会の開催からはじまり、選考ではエントリーシートや面接を中心に置き、応募者の志望動機や本人の意欲をもとに判断する、というパターンだと思います。企業も学生もかなりの労力をかけています。

しかし、このような画一的な選考プロセスは実際どうなのか、あるいは、まず母集団を形成してふるい落とすという採用選考のシステム自体、実際どうなのか。
企業にとっても、学生にとっても最適な手法と言えるのか。
そのような問題意識を持つ企業も多く存在します。
そうした従来の枠組みから脱却し、独自の採用活動を試行しているいくつかの企業を紹介します。


◆採用活動を通じて、企業理念・社風を発信する企業:面白法人カヤック
面白法人カヤックの人事部に迫る! 
「Webクリエイター集団」面白法人カヤックでは、組織戦略を重視、共に働く仲間である「人」の採用に注力。経営理念や行動指針を背景とするオリジナルの採用手法や、「面白法人」に込めたメッセージを体現するべく、誰でも楽しめるユニークな採用キャンペーンを実施している。
カヤック仲間募集ページ より抜粋。

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●2013年度 カンニングOK!私語OK!『第1回全国統一面白センター試験』
ググってもOK!カンニングしてもOK!他の人と相談してもOK!助っ人を連れてきてもOK!思いついたあなたのアイデアを試験用紙にぶつけてください。 テスト構成は面白法人、発想術にまつわるマークシートと自由記述の2種類で実施。
●2012年度 オリジナルバスで全国縦断3900km『旅する会社説明会』
新卒採用スローガンを「節就宣言」と題し、就活生が就活にかける時間を節約する企画に。わざわざ関東まで来なくても、会社説明会に参加できるよう、オリジナルの「会社説明会バス」で、鹿児島から北海道まで全国縦断して、カヤックから出向きました。
●2009年度 ブレストを体感できる『元気玉面接』!
カヤックスタイルのひとつであり、カヤックの文化である「ブレインストーミング」を体験してもらうために、アイデアを出せば出すほど元気になれる、ブレストを体験してもらうため「元気玉面接」を実施。説明会の参加者たちをチーム分けして、カヤック社員も混じり、ブレストをしながら選考。 一番いいアイデアを出したチームの参加者には、元気玉にちなんで1アイデア100円の賞金を進呈するおまけも!
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●節就宣言:無駄な就職活動はするな!スローガンは「節就宣言」
就職活動には、多くの時間がかかります。その時間を、企業側の工夫で少しでも節約できないだろうか?そんな考えから生まれたのがこの「節就宣言」です。就職活動の時間を節約して、その分、学生生活を有意義に過ごしましょう。第1弾 他社の履歴書でもOK!カヤックの合格可能性を事前判定 第2弾 世界最速3秒エントリー!ワンクリック採用 第3弾 オリジナルバスで列島縦断3900km「旅する会社説明会」
●ソーシャルグラフ採用:あなたとカヤックの距離は何メートル?距離が1メートル以内なら一次面接免除!
「“何をするか”より“誰とするか”」をキーワードにして、人にこだわっているカヤックですが、カヤックで働く人と近い人(相性、経歴など)は、きっとカヤックと相性がよいに違いない!という仮説に基づいて実施したFacebookを活用した採用キャンペーンです。あなたとカヤックとの距離を自動で診断。距離が近ければ、一次面接免除に!
●卒制採用「卒制に打ち込みすぎて就活忘れてた!」そんな人のための駆け込み新卒採用。
卒業間近まで卒業制作(卒業論文)に打ち込んでいて、気づけば就職先がない!そんな新卒生のための駆け込み入社キャンペーンとして実施。 エントリーシート&履歴書はいっさい不要。つくったもので選考しちゃいましょう、というこの企画。 「つくる人を増やす」を経営理念とし、社員の肩書きを全員クリエイターとするカヤックオリジナルの採用キャンペーンです。
●新卒採用スペシャルコンテンツ
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★注目ポイント:一見奇抜な(遊んでいるような)アイディアもあるが、、、企業理念、企業文化、社風を採用活動にストレートに体現し、発信している。募集広報も、この会社で働くことの「リアルさ」がダイレクトに伝わるように工夫されている。

◆日本最大級、採用直結型インターンシップ:ワークスアプリケーションズ
インターンシップ募集ページ  
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年間2万人の応募者が集まるインターンシップを実現しているワークスアプリケーションズ より抜粋

ITシステム開発、販売を手掛けるワークスアプリケーションズが毎年開催する「問題解決能力発掘インターンシップ」。1か月間のインターンにもかかわらず、年間2万人近くの学生が参加。年々インターンシップを実施する企業が増える中で、学ぶべきことは多い。
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●論理的思考能力と発想転換力をあわせた問題解決能力を見極める
ロジカル・シンキング(論理的思考能力)とクリエイティブ・シンキング(発想転換力)を兼ね備えた人を、「問題解決能力の高い人材」と定義。
“壁”にぶつかったとき、どう考えて行動し、ブレイクスルーしていくか。
そこをちゃんと見極められるような採用プログラムを構築しようというのが、もともとの発想。
参加学生は一つの課題が与えられて、1ヵ月間それにひたすら取り組む。
課題は抽象的なもので、ほとんど社員はアドバイスせず、とにかく自分で考えさせ、「問題解決能力」を見極める。
●参加学生に日給1万円
この1万円については、一つは宣伝費として、もう一つは優秀な人材が貴重な時間を費やしてインターンシップにチャレンジしてくれるのだから、そのチャレンジ代として必要なコストだと割り切っている。
インターンシップで優秀な成績を収めた学生には最長5年間いつでも入社可能な「入社パス」が付与される。
●採用と直結したインターンシップ
事前説明会の後、筆記と面接である程度絞り込み、参加するのはエントリー数の1割程度。
ただし参加者の定員枠はいっさい設けていない。優秀な人材はそれこそ根こそぎチャレンジさせたい。
参加者のうち、約5%が5年間いつでも入社可能な「Aパス」を、3~4割が3年間有効の「Bパス」を取得。
課題の成果はもちろん、最終形にするまでにどのような思考をたどったか、どれだけ考えたか、といった思考のプロセスや深さを見て、入社パスを与える学生を決める。
優秀な人材がすべてであり、その確保のためにコストがかかるのは当然という点で経営陣の認識は一致している。
●優秀な人材は難易度の高いチャレンジを待ち望んでいる
教えられたことをこなすことは、学校教育や受験で慣れているから当然長けている。
でも、正解のない抽象度の高い課題だけを与えられて、とにかく自分で考えてやれと言われる経験は、彼らにとって相当なインパクトがある。
優秀な学生ほど、そういう難題へのチャレンジを魅力と感じているのではないか。

★注目ポイント:通常の面接中心の選考フローを廃し、自考型のインターンシップ(現実の未明課題に取り組む。社会に出て役に立つ能力の獲得)を採用活動に直結させている。高い圧力の厳しさ、本気度、大きな壁や自分の限界を乗り越える充足体験を売りにしており、優秀な学生を集めることに成功している。

◆採用は先着順、履歴書不要、面接もなし!人材は仕事で鍛える:樹研工業
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リクルートワークスNo.61「新卒採用の新たな潮流」 より抜粋。

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愛知県豊橋市の樹研工業(売上高30億円、従業員90人)は1965年の創立以来ずっと、筆記試験はもちろん、面接もない「先着順採用」というユニークな方法を実践している。
同社は、腕時計などに組み込まれる極小精密部品の国内トップメーカーであり、最近、世界最小の100万分の1グラムのプラスチック歯車を製造、話題になった。
同社代表の松浦元男氏は話す。「採用は定期ではなく、最近は欠員補充。最初は知名度がないですから応募も稀で、数少ない応募者には全員で入社の勧誘をしたものです。その時から先着順が当たり前になりました。日本の初等・中等教育のレベルは高いですから大丈夫です。外見はいわゆる不良でも、真っ先に来る人間はいい顔をしていますよ」
先着順だけで驚くなかれ。履歴書は不要、面接も実施しない。
「募集広告もないのですが、どこからか噂を聞きつけて、働きたいとやってきます。その瞬間、いつから来れるんだ?と聞くんです。中卒、高卒、高校中退、大卒、元番長、元ヤンキーのお姉さまあり、日本語ぺらぺらの中国人あり、個性も、国籍もてんでバラバラ(笑)」(松浦氏)
そもそも松浦氏には、試験に対する大きな疑問がある。「かけがえのない存在である『人』を、限られた時間に会い、話をして選ぶという行為は、私にとって不遜にしか思えません。来た順番で決まるなら説明もつきます。何度も面接を繰り返して多様な人材を選ぶ、といわれますが、同じフィルターばかりかけられ、中肉中背の金太郎飴集団が出来上がるだけですよ」(松浦氏)
「先着順」の正しさは、大学院出と間違えられた中卒の工場長、並みいる工学博士や理学博士を相手に講義する高卒のエンジニア、大卒の女性金型職人など、同社で育ち、現在活躍している人材が証明している。
松浦氏の信念は、「会社は人が幸せになるためにできた組織」ということだ。「リストラや合理化に名を借りた社員の切り捨ては、長期的に見て企業のためにならない。短期業績に追われ、株価の上下に一喜一憂する。こういう経営は20世紀で終わったと思います」(松浦氏)。
そのための人を大切にする経営、先着順採用。企業哲学が採用に表れている。

★注目ポイント:採用は先着順、選考なし、それで何の問題もない。昔ながらの職人の世界(町工場の世界)を今も地でいくような企業。要は、人材は仕事で鍛えればいい、どんな人間も仕事を通じて成長できるという信念のように思われる。

3.人材採用活動の状況(課題)と、いくつかの視点(仮説)

                                    
★歴史的に見れば、大学進学率が上昇するにしたがって、就職活動の困難さ、企業と学生のミスマッチが広がっているとも言える。
これはどういうことか。採用・就職活動の自由市場化、親や大学による囲い込みの問題、個人主義をはじめとする旧観念の問題などが考えられるが、これらを突き詰めて考えると、大学の存在意義は何かという問題になるかもしれない。

★大卒者の増加に加えて、インターネットがもたらした問題。
自由市場化が進み、採用・就職活動も膨大な情報量にふりまわされる情報中毒状態に陥っているのではないか。
採用活動、就職活動は企業にとっても、学生にとってもかなり非効率な活動となっている可能性が高い。

★こうした非効率、画一性から脱却すべく、独自の採用戦略が試行されつつある。
その方向性、キーワードは、、、「人脈、口コミ」「仕事体験」「仕事で鍛える」・・・に回帰か? 
他企業の先進事例も探索しながらもう少し追求してみたい。
本来、ともに働く仲間、ともに闘う仲間を募る採用活動は、その企業の理念、共認風土の独自性が発揮される領域である。


※次回以降の記事では、こうした視点も踏まえて、より具体的に企業の採用戦略を考察してゆきます。

以下はオマケです。興味のある方は見て頂ければと・・・
◆参考◆独自の採用選考、試行錯誤の事例                                                 
【ちょっと変わった】面白い選考方法取り入れている会社【就活】 より抜粋

●特別電話面談【ファイナンシャル・エージェンシー】 :1次選考通過者に対し、特別電話面談「ジョブクリ コール」を実施。1次選考通過者の中からランダムに選ばれた学生が、Facebook上に掲示される課題を同社からかかってくる電話で回答するというもの。いつ電話が来るかわからない中での対応能力、Facebook上に投稿される課題をコミュニケーション能力でクリアする、という選考基準を満たした場合のみ、3次選考までの行程を免除する。ちなみに2014年度の課題は「2分間で「靴」を売り込んでください」
●Facebookによる新卒採用【ヘンケルジャパン】:公式フェイスブックページを唯一の窓口とした新卒採用を行った。フェイスブック内に応募者向けの非公開グループを特設し、学生が社員と双方向のコミュニケーションをできるようにし、企業理解を深めてもらうことが目的。
●intely採用【サイバーエージェント】:同社の運営するビジネスSNS「intely」を活用した採用を実施。通常の採用過程では評価することが難しいWeb上のコミュニケーション能力や情報発信力を評価し、優秀な人材を見極める考え。
●エントリームービー採用【ソニーミュージック】:新卒採用サイト上からエントリーし”バーチャル面接”に回答し、学生自身が動画撮影をした素材を応募資料として提出する。
●Brave採用【ディーゼルジャパン】:卒業後の6ヶ月間を「学生時代に忙しくてできなかった事」「社会人になる前にやっておきたい事」など、自分を成長させてくれることにチャレンジするための期間として、内定者に自由に使ってもらい、入社を10月とするもの。
●「学生」お断り【ファーストロジック】:社員一人一人の成果(=お客様を満足していただくこと)によって生まれた利益によって会社が存続し、はじめて社員の給与を支払うことができ、社員である皆さんの生活を支えることが出来ると考えております。つまり、学生というお金を支払う側の客の体質が抜けない学生には絶対に弊社に入社していただきたくないと心から思っています、という意味を込めた採用活動。
●バラエティ採用【ピーエスシー】:特筆すべきアピールポイントのある経験を評価する『バラエティ採用』を実施。大会での優勝経験(ジャンル不問)、部活動において補欠であったが最後までやり遂げた、誰にも負けない「スマイル」を持っておりアルバイト等で表彰、奨学生の認定、接客業のアルバイトリーダー経験、世界一周の経験、中学もしくは高校時代に皆勤賞、Facebookで300以上の「いいね!」を獲得、Twitterのフォロワー数が500人以上、バイリンガルなど
●オピニオンリーダー選考【エイチーム】:応募希望者は、オピニオンリーダーとしての実績、経緯などを中心にした自己PRをfacebookページのディスカッションボードへ投稿。その投稿内容を受け、一次選考を実施する。合否はfacebookのメッセージで通知される。
●ビジネスプランコンテスト【カルチュア・コンビニエンス・クラブ】:主体性をもって自らビジネスを創造できる「企画人材」の確保を目的に、「ビジネスプランコンテスト」を通じた選考を実施。2012年度のテーマは、CCCのインフラを代表する「TSUTAYA」・「Tカード」・「インターネット」をさらにおもしろくする新しいビジネスプランの立案。最優秀の「ゴールドプラン賞」を獲得した企画は、CCCでの事業化の可能性もあり、副賞として賞金総額100万円も用意されている。
●縁故採用【岩波書店】:2013年度定期採用で、応募条件として「岩波書店著者の紹介状あるいは社員の紹介があること」を掲げ、事実上、縁故採用に限る方針を示した。
●SO℃IAL CARD【アサツー ディ・ケイ】:OB訪問時に「SO℃IAL CARD」を配布。そこには入社からの経歴などが書かれている。また、カードの下に6桁の英数字が書かれており、マイページに入力してみると、面談した社員からの手書き風のメッセージが届く。
●大学1年生採用【ファーストリテイリング】:大学でダラダラ4年間過ごすよりも、1年生の時から「どういう仕事をするか考え、早くから決められる」(柳井氏)メリットがあるとし、新卒一括採用を見直し、「採用時期を通年とする」「選考する学年も問わない」とする新方式を導入。
●ネスレパス【ネスレ日本】:「大学1年生から参加できる入社試験」を導入。年齢、学歴、国籍などの対象を限定せず、選考時期・方法を選択可能としたものであり、何度でも挑戦できる。「選択型の課題を提出」もしくは「通年インターンシップ」に参加するともらえる通行手形のようなもので、このネスレパスを取得すると、「ネスレチャレンジプログラム」という社員参加型の3日間の研修に同席することができる。
●ユニーク採用【ソニー】:「卒業後3年以内も対象」、「服装は自由」、「選考方法では複数のコースを用意(ワークショップや企画提案、プログラミング手法のディスカッションなど)」というユニークな方針。「多様な人材がいるからこそイノベーションが生まれる」として、「日本特有の“シューカツ”というルールを変える」という。
●No.1採用【ソフトバンク】:No.1の自信や実績があれば分野は問われない。「テクノロジーの分野において誰にも負けない専門性を持っている」「特許を持っている」「自身の考案したアイデアが、サービスに実装された経験」「スポーツ大会での優勝経験」「営業成績で全国No.1を獲得」「起業実績や、ビジネスコンテストで上位入賞の経験」「グローバルな経験では誰にも負けない」「誰にも負けない特技」など。書類選考→プレゼンテーション、内々定というステップ。
●アントレプレナー(起業家)枠【トレンダーズ】:学生時代に起業していた実績がある学生は、役員面接から選考をスタートする。面接では、ビジネスモデルの説明などをするという。
●投票制度【アチーブメント】:グループワークを行った後、人事担当ではなく、応募者同士で「アチーブメント社」にふさわしい1名を決めさせるという投票制度を導入。また、“脳に汗かくグループワーク”、「何度も受けれる再チャレンジ制」や学生を感動させる最終選考として「サプライズで内定を出す」などを試みている。
●facebook枠採用【サイバーエージェント】:facebookユーザー限定の会社説明会を開催。エントリーで参加表明した学生は124名。ウォール上では、参加前に自己PRする学生が多くいた。facebookのイベントページの特徴を活かすと、イベント開催前からどんな学生が参加して、その学生がどんな想いを持っているのか、といったことを事前に知ることができる。
●逆面接【ゆめみ】:Facebook ページからエントリーした応募者には、「逆面接」と題し、ゆめみの人事担当を逆面接して合否を決定するという方法を取った。
●ビジネスコンテスト採用【アクセルマーク】:4日間で、与えられた課題に対し、学生が新規事業の提案をするコンテストを実施。対象は学部3年生・修士1年生で、「就職活動支援ケータイサイトの企画」というテーマ。最優秀者は初年度年俸1000万円で採用、優勝チームには1人につき10万円贈呈。優秀な企画については、事業化。
●重い課題【ライフネット生命】:よくあるような「学生時代にがんばってきた事」や「当社の志望する理由」などではなく、負担の大きい内容をエントリーシートの課題としている。2012年度の課題の一つ目は、選択式で「ライフネット生命の知名度を3年後50%まであげるプロモーションを考えよ」か「学園祭の模擬店の出店計画を立てよ」。5161名エントリーに対し、課題を提出した人39名、たった0.8%。
●20秒PR【キーエンス】:説明会の後に選考会として学生それぞれ20秒(あるいは10秒)で自己PRをしてもらい、それを評価する。
●登山合宿【山田養蜂場】:最終選考として、岡山県北部の下蒜山(しもひるぜん)への登山合宿を実施。短時間の選考会では発見できない、コミュニケーション力やリーダーシップ、問題解決力、協調性など、業務に必要な特性を、集団行動を通して評価することが目的。
●エアポートテスト【Googleジャパン】:面接官が「空港のラウンジに諸事情で飛行機もとばずホテルも空いていない。ラウンジで時間をすごさないといけない。」という状況で目の前にいる採用希望者と一緒にいる状態を「耐えられるだろうか?」という視点で合否を決める。
●パズル面接【マイクロソフト】:ユニークなパズルを取り入れたもの。代表的なものは、問1.鏡が上下は逆転せず、左右だけ逆転させるのはなぜか? 問2.マンホールのふたが丸いのはなぜか? 問3.車のドアの鍵はどちらに回すのがよいか? 問4.M&Mチョコレート(マーブルチョコのようなもの)はどうやってつくるか? 問5.アイスホッケーリンクの総重量は? 問6.世界中のピアノ調律師の数は? 問7.富士山をどう動かしますか? など。正しい答えがあるものも、無いものもある。
●オーディション採用【サウスウエスト航空】:選考会で、「みなさんとても緊張されているようですので、どなたかこのステージで他の応募者を楽しませてください。」と採用担当が言った。それからの時間、歌や踊り、ジョークなどで会場を盛り上げる者が、次から次へと壇上でパフォーマンスを繰り広げていった。ここでよいパフォーマンスをした人が採用されるのだろうと思われたが、実はそうではなかった。採用されたのは、どんなパフォーマンスに対しても終始温かいリアクションをしていた人材だった。将来同僚になるかもしれないスピーカーを熱心に応援しているのは誰か?そんな温かい愛情をもった人材を採用した。
●ユニーク採用【三鷹光器】:3つの試験がある。1つ目が、「焼き魚定食を食べること」。箸を使って丁寧に食べることができるか。手先の器用さを見ているらしい。2つ目が、「模型飛行機を作って飛ばすこと」。バランスよく精密に作製しないと、飛行機はまっすぐ飛ばない。大雑把な性格の人には難しいらしい。3つ目が、「電球をデッサンすること」。5枚の紙と鉛筆が渡され、制限時間内にデッサンしてもらう。提出するは1枚だけだが、消しゴムを使うなどして1枚だけで仕上げているのは駄目。5枚の紙を使って、さまざまな角度から試行錯誤しながら、描けるか。多面的に物事を捉えられる人材が問われている。
●セミナー合宿【NEC】:「2日間のグループワークを通じて、クラウド時代のソリューションビジネスに必要な、本質を的確に見極める力、自らビジネスを創出する力を身に付けるためのセミナー」として営業職とSE職の就職希望者に向けた一泊二日のセミナーを開催。
●5分間トーク【ベアーズ社】:役員面接の中で、いきなり「5分間話してください」と問われる。何を話そう?という状況の中、どのように対応するかで、その応募者の臨機応変さを確認する。
●敗者復活戦【やずや】:採用試験で不採用となった人を対象に、敗者復活として、「やずやへの思い」というタイトルの課題を、氏名、大学名を記載の上でYoutubeに(非公開で)アップするというもの。

 

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これからは共同体の時代
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トラックバック時刻: 2014年5月14日