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2018年08月23日

「待ち」から「攻め」へ 近畿タクシー② ~現在のまちづくりは市場社会の中で組織と組織がつながっていく

前回紹介しました近畿タクシー。そのユニークな取組みに至る経緯について、今回も「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から一部要約して紹介します。

今回は1995年阪神淡路大震災後の長田区腹腔まちづくりについて。神戸市長田区にお住まいだった森崎社長は、「長田復興」を目的に「アスタきらめき会」に参加。ここで、復興住宅と商店街を結ぶ無料バス「買いもん楽ちんバス」や、修学旅行生を呼び込み店主自ら語り部となる企画を立ち上げたり、地元の味を活かして「ぼっかけカレー」を土産物として考案。さらに最終的には復興のシンボル「鉄人28号のモニュメント」(作者の横山光輝が地元出身。高さ18mで若松広場に設置)を作るまでになったのです。

一方、会社の方はというと、そもそも客を待つ事業で、いくらロンドンタクシーを始めはしたがアイデアを活かす業種業態ではない。

「まちづくりでは人は動きます。ところが会社では動かない。フィールドの違い、モチベーションの違いといってしまえばそれまでですが、しかし何とかしたい。この落差を埋めたい。そこで始めたのがタクシー進化論会議です」

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社員にアイデアを出せと言っても出てこない。かといって社長だけが考えるのにも限界がある。そこで2001年会社のホームページを立ち上げて、そこでアイデアを一般から公募。そのタイトルが「タクシー進化論会議」。キャッチフレーズは「あなたの考えたタクシーが、神戸の長田を次々走る」。

ここから生まれた代表例が「料金カウントダウンタクシー」。これは料金表示メーターに90m前から 90→60→30→0 と表示が出る装置を付け、客に料金が上がる瞬間を知らせるというもの。つまり客は料金が上がる前に「止めて」と言うことができる仕組み。

「よく乗られる人にはわかることですが、降りる直前で料金が80円上がるという経験があって、客はそれに腹が立つわけです。“80円ストレス”といいます。」

客から文句を言われた運転手が「それなら前の料金でいいです」とやると、その80円は運転手が自腹を切ることになる。客と運転手の双方にこの80円ストレスは存在するのです
このカウントダウンタクシーは、新聞紙上で評判になり、業界で初めて顧客目線に立ったサービスと評された。実質値下げとも言えるこのサービスですが、

「結果は、ドライバーが客に褒められる。『いいことするね、これからは近畿に乗るよ』と言われるわけです。運転手もストレスから解放された。しかも売上は下がらず、むしろ伸びたのです」

アイデアの採否に係らず、タクシー進化論会議には、客の目線で見て「こうしてほしい」というアイデアが多くきた。このころから、会社全体が新しいことを「やって試してみる」という方向に変わっていったのだという。
おもてなしタクシー
その後、塾の子供を送迎する「安心かえる号」、花見客が帰る為の「桜咲くタクシー」、海水浴客が水着で乗れる「海のタクシー」など、トライ&エラーの流れで行き着いてヒットしたのが、名菓子店を巡る「スイーツタクシー」なのです。

「神戸で何気ないものとは何かと考えたら、ケーキ屋が浮かんだのです。だけど、そこは名所とは言われていなかった。それなら名所に帰ることができないかと、有力な店を一軒一軒説いて回りました。京都には金閣寺、銀閣寺がある。それが神戸ではお宅なのです、という大袈裟な言い方もしました。相手には『金閣寺ねぇ』と困惑されましたけど」

スイーツ店と近畿タクシーの間には、特別な契約があるわけではない。取次料なども料金も取っていない。「それは顧客に還元して下さい」と言ったのだという。

「私のほうは庇を借りるだけです。ユーハイム、アンリシャルパンティエ、モロゾフ、風月堂・・・と、錚々たる全国ブランドですが、神戸のありものには違いありません。それをタクシー機能でつないだわけです」

利用した客は、自分の名前のデコレーション付きスイーツで迎えられて大喜び。タクシー運転手も感謝され、スイーツを作った職人さんも喜ぶ。皆が活き活きするのは、まちづくりで習得したやり方。

「それまでは、タクシーはただ走るだけ。地域密着サービスなんてしていなかったのです。まちづくりに係ってみて、初めて気付いたのです。商店街は地域の受け皿、客は地元の市民。これを繋ぐのが運送業者である我々。考えたことは何をどういう形でつなぐかです。それを発展させたら、本業の方でも生きたわけです」

森崎氏は地域活性化の秘訣をこう語ります。

「出会って、つながって、広がって、が大切です。そのどこを担うかは、その人次第ではないでしょうか。それと、5年、10年と節目を設けて頑張ってみること。それと、はじめに金儲けを考えたらダメです。“人儲け”をする、と思うことです。知り合いになって何かが起きる。上手くいったら、後から自然とお金もついてきます」

森崎社長の話を聞くと、今の『まちづくり』の流れは、人や組織をつなぐことに尽きます。これを企業活動にリンクさせることでスピードと継続力が格段に上がります。近畿タクシーによってつながる商店街や復興住宅、ケーキ屋が元気になっていく。市場経済の中で各々戦ってきた組織(経営体)同士を結び付けることが、現代のまちづくり≒共同体再生の流れと言えます。

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