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2018年09月05日

「地域の誇り」とされるブランドづくり ~宮崎本店①~社員持株会の効果

三重県四日市市にある宮崎本店は、1846年創業で、現在も創業時と同じ場所で経営を続けている酒造メーカーです。地元では清酒「宮の雪」が、東京下町の居酒屋では焼酎(甲類)「キンミヤ」が有名です。「宮の雪」はG7伊勢志摩サミットで各国首脳に振舞われたお酒でもあります。

今日は宮崎本店宮崎由至氏が、1987年に六代目の代表取締役社長に就任(2017年11月に退任→会長へ)してから次々展開してきた取組みにスポットをあてたいと思います。今回も「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から要約しながら紹介していきます。

清酒の消費利用は1970年代をピークに、1975年には167万リットルあったのが、宮崎氏の社長就任当時の1989年は134万リットル、そして2009年には61万リットルにまで落ち込んでいます。一方、焼酎は甲類(連続式蒸留)についてみると1975年に12万リットルだったものが、第一次焼酎ブーム(お湯割り)にのって拡大し、1985年には36万リットル、さらに第二次焼酎ブーム(酎ハイ)に引き継がれ、2009年には46万リットルとなり、乙類(単式蒸留)と合わせると96万リットルにまで拡大している。
宮崎本店

宮崎氏は、少子化、日本酒離れ、そして焼酎ブームといった市場の変化を目の当たりにし、それに流されないように地域に根ざした企業経営を目指します。実際、蔵元としての存在は、鈴鹿山系の伏流水からの超軟水と、日本酒の原料となる山田錦の生産地に恵まれたことで確立しており、ブレずにその存在基盤をしっかり固めようとしたのです。

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宮崎氏が、最初に手掛けたのは専務だった1982年につくった社員持株会。このとき4500万の資本金を5割増資し、それを社員に持たせたのです。(現在も33.3%の株を社員が保有)

「経営参画といった面だけではなく、会社と社員とが、いい意味での緊張感を保つ関係を作りたかったのです。」

これは第一次焼酎ブームで得た利益を原資としたもの。ブームに乗っての臨時ボーナスでは一度だけになってしまうかもしれない。それではこの先もらえないと不満の種になってしまう、もっと継続性のある形にしたい、と宮崎氏は考えたのです。それは組合との交渉を長年やってきた経験からくるものでした。

「会社は経営の内情を見せず、組合は当てずっぽうに要求する。こうした関係はお互いに疲れますし、不信感ばかり募って、いいことはないですから」

社員は、経営の実態を株主として全て知る立場になる。組合員であり株主でもある社員もいる。するとこれまでの対立だけの関係から「こうすればもっと良くなるのではないか」といった建設的な話し合いができるようになった。

「お互いに同じ土俵で考える関係が生まれました」

以来、最低1割以上の配当を続けてきた。1割配当が10年続けば、2倍になる計算だ。しかも配当はキャッシュで渡しているため、地元でも「あの会社は毎年、社員に配当が出る」と評判になったのです。

日本では欧米に比べると、ファミリービジネス(同族会社)のイメージは必ずしも良いとはいえない。しかし安定性、継続性、責任の明確化、スピーディーな意思決定など、同族会社には良さもある。宮崎氏はそのいい面を拡大していこうと考えていた。そのためには「自分の会社」というオーナーシップに寄りかからず、「社員みんなで同じ方向に向かって進む」リーダーシップを発揮しようとしたのです。地域に根付く企業を目指す企業は、まず社員の根付く企業を目指したのです。

 

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