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2018年12月19日

少子化、クルマ離れの中で抜きん出る南部自動車学校① ~担任制導入~

18歳人口は減少の歯止めも見えず、どの大学も生き残りをかけた動きに入っています。
一方「若者のクルマ離れ」が言われるのも少子化問題が顕在化した2000年頃から。
日本自動車工業会が今年4月に発表した昨年度乗用車市場動向調査によると、車を保有していない10~20代のうち「車を買いたくない」「あまり買いたくない」という回答が全体の54%を占めています。

この二重のマイナス状況の中でも、業績を伸ばしている自動車学校が三重県伊勢市にあります。
今回は「『人』財経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から「南部自動車学校」を紹介します。

南部自動車学校の創業は1962年。モータリゼーションの波に乗り順風満帆に売上を伸ばしたが、1973年の石油ショックで業績低迷。それを建て直した加藤智社長の跡を継いだのが、現在の加藤光一社長です。1962年生まれの加藤光一氏は大学卒業後→東京の商社に就職→28歳で退職→2年間他所の自動車学校で修行後→1973年に南部自動車学校に戻ってきました。
当時はまだ18歳人口も200万人を超えていた時代でしたが、バブル崩壊により不況・デフレの影響から自動車学校は価格競争の流れに差し掛かっていた。価格競争に飲み込まれてしまえば経営体力を消耗するばかりでなく、社員の頑張りも活かせない。近い将来の少子化の波がくれば沈没する危険性さえある。

そこで加藤光一社長が取り掛かったのが「担任制」導入でした。「担任制」って何??

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運転免許を取得するには、学科、技能それぞれの履修課程をクリアし検定をパスしなくてはならない。S字カーブや縦列駐車、車庫入れなどの技能教習は、生徒が自分の都合のいい時間に予約を要れ、その時間に対応できるインストラクター(指導員)がその都度教習にあたる。小学校の教員のように、一人の生徒に全ての科目を教える体制ではありません。これが通常の「随時制」と呼ばれるスタイル。
「随時制」は生徒にとっては都合のいい時間に教習を受けることができ、自動車学校側にとっては、指導員を効率的に割り振れるというメリットがある。しかし加藤社長は

「私は教える側の立場として、このやり方では何か物足りなかったのです。自分が教えた人たちがどんなふうに成長するのか、きちんと見届けたい。その思いが強くなってきました」(加藤社長)

しかし担任制になれば受け持つ生徒のその後の事故率等で、指導者としての力量が明らかになってしまうため、現場からは反対の声も上がりました。それでも2003年に正式に担任制を導入した。
結果的には加藤社長の目論見どおり。2009年には生徒数で三重県NO1の地位を獲得した。

「紹介率が高まっています。誰かの紹介でうちの学校に通ってくれるようになった人が全体の半数以上。かつては1割程度なので顕著な伸びです。多くの生徒さんは、自分の長所や短所、癖を掴んだ上でしっかりと教えてもらえるのであれば、多少希望の日時に予約が取りにくくても我慢できる。にも係らず自動車学校の側は自分たちの都合でそうした顧客要望に応えてこなかったのかもしれません」(加藤社長)

担任制を導入して数年後、指導員の一人が病気で亡くなったとき、200名を超える元生徒から「お悔やみ電話」が寄せられ、30名の元生徒が葬儀に参列したそうです。しっかり関係が出来ているのが分かります。

教える指導員にも変化が生じます。担任制導入によって、指導員の人気/不人気が明確になる不安もあった。南部自動車学校では、指導員ごとに、紹介数や指名数、卒業生の事故率などのデータが内部では公開している。不都合なデータを見た指導員のやる気を削ぐことになることも懸念された。
ところが現実的にはやる気を失うことも、誰かに集中することもなかったのです。数字が伸びない指導員には管理・指導に当たる立場のものが面接や研修を行う仕組みになっており、最初は渋々受けているような者もいたが、「指導技術を向上させるために積極的に受けよう」に変わってきたという。

紹介数や指名数というデータがモチベーション向上に作用している面もあるが「やはり教え甲斐が大きい」と加藤社長は見る。
教習時間1コマ50分をギリギリまで使って教えるのは当たり前。生徒のためなら有給休暇の変更も厭わないし、生徒一人ひとりの特性や技量に合わせて指導プランを組み立てていくのが「楽しい」と言う声が多く聞こえるようになったそうです。

「料金は他の学校に比べて決して安くはありません。価格競争はしたくない。それでも当校を選んでもらえるのは他校にないものを私たちが提供しているからでしょう」(加藤社長)

『担任制』によって「教える⇔教わる」の関係の根っ子に、お互いの期待に応える関係が出来たのです。新しい試みについて、自動車学校を管轄する公安委員会からクレームがあったそうですが、リスクを恐れず既存のやり方を突破することでしか、新しい可能性を拓くことはできないのです。

 

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