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2020年01月15日

ヒトが獲得した発酵技術

飽食の時代と言われますが、日本が豊かになって、たかだか半世紀ほど。圧倒的な歴史の中で、食料の生産と保存が人類にとって最重要課題でした。特に、食料の保存については、日本では電気冷蔵庫普及率がほぼ100%になったのが昭和50年代と言われており、長い間、その有効な方法として発酵食品がありました。今回は人類が生き残るために現実の中で生み出した発酵技術について取り上げます。

●発酵はどうやって生まれたのか?
発酵食品の代名詞とも言えるヨーグルトを例にとってみてみましょう。
多くの哺乳類の中で他の哺乳類の乳を利用するのはヒトだけですが、最初に乳を利用したのは今から約6千年前頃、中央アジアの草原の遊牧民だったと考証されています。彼らはまず偶蹄類反芻獣であるヤギや羊(→続いて馬や牛)を家畜化。それらの動物の乳房は巨大で、その乳糟には大量の乳が溜まっています。ヒトはその乳首を絞って乳を容器に採り、飲んだようです。ところがこの時からそう月日の経たないうちに発酵を体験します。なぜそんなに早いかと言えば、実は偶蹄類反芻動物の乳房や乳首の周りにはそもそも乳を発酵させる乳酸菌が多数生息していて、絞った乳の中にもかなりの数の乳酸菌が侵入していたからです。これは今でも同じで、そこにいる乳酸菌の数はあまりに多く、確実に発酵が起こるのです。

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●冷蔵庫もない時代になぜ腐敗しないのか?
微生物の世界では、ある生息環境下に一定数以上の微生物が存在すると、その微生物のみが繁殖してそこを独占し、他の菌がいくら押し寄せてもその侵入や繁殖を許さない「拮抗作用」という現象があります。このように自らが生産して相手の菌の生育を抑える物質を抗菌性物質といいます。乳酸菌はどうやって抗菌性物質を作るのでしょうか?
乳の中には、乳酸菌が大好物にしている乳糖があってこの乳糖に乳酸菌が作用すると乳酸発酵が起きる。乳糖はブドウ糖とガラクトースという二つの糖が結合したものなので、乳酸菌はまずこの二つの糖をラクターゼという酵素で分解してブドウ糖とガラクトースにする。こうして生じた糖を今度は体内に取り込んで乳酸発酵を行い、生じた乳酸を体外に吐き出すのです。

         ↓乳酸菌↓
C6H12O6(糖)→→→→→→ 2CH3・CHOH・COOH(乳酸)

この乳酸は、乳酸そのものの抗菌性と、乳酸の生成によって水素イオン指数(pH)が大きく酸性に傾くことによって、多くの腐敗菌や雑菌の繁殖を阻止するので、草原の牛乳は円滑に発酵乳になることができる。さらに発酵乳になると腐敗を防げるばかりではなく、栄養成分は飛躍的に高まる。

実は牧草民族の生活の場である草原の牛ばかりではなく、日本でも牛の乳房内の乳にも乳酸菌や他の細菌が多数生息しています。ということは、日本で搾乳した乳もそのまま放置しておくと乳房内から移ってきた乳酸菌のために乳酸発酵が起きるだろう・・・と思われるかもしれないが、実はそう上手くはいかない。日本のような亜熱帯気候で、その上湿度の高い国では、空気中には圧倒的にカビや腐敗菌が多く生息していて、乳をそのまま放置しておいたのではたちまち腐敗して飲めなくなってしまうからです。

日本に生まれて残念・・・、と思わないで下さい。 普段忌み嫌うカビですが、味噌、醤油、日本酒、味醂、米酢、甘酒、鰹節など、日本の食文化を支えている発酵食品は実はカビが関与している場合が多いのです。日本人は湿度の高い、腐敗しやすい環境の中で、カビとともに生きる術を身に付けているのです。次回は自然とともに生きる日本人が培ったカビの活用方法について紹介します。

※参考:「発酵食品礼讃」(小泉武夫著:文春新書)

 

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