2020年04月03日
考える身体のつくり方(3)~「考える身体」は腸・血液から
◯腸と肌はひとつながりの臓器
前回のおさらいからですが、人の感覚といえば五感と思う人も多いですが、これは脳との関係が強いものに限定しています。現在の生理学では①特殊感覚②体性感覚③内臓感覚の3つに分類されていて、五感の内4つは特殊感覚に当たります。この五感はごく一部であり、特殊感覚でない感覚がたくさんあります。
その中でも体性感覚を統合している皮膚に着目していました。
人間の身体はよくちくわに例えられ、外側は肌で、内側は内臓とやや違うものの様に見えますが、大きく捉えれば内臓の表面も肌もどちらも皮膚なのです。
今回はその中でも最後の感覚「内臓感覚」を統合しているといわれている腸に着目しましょう。
◯腸はどんな仕事をしているの?
腸が食べ物を消化しているのは皆さんご存じだと思いますが、そもそも腸は進化上いつできたのでしょう。
歴史を紐解いていくと、動物進化の系統樹においては、最も原始的な動物として腔腸動物(ヒドラ、イソ)がおり、これをルーツとして二つの幹に分かれ、一方の最先端に昆虫が、他方の最先端に哺乳類がいます。実は腸は最初の臓器なのです。
最初に出来た原始的な臓器「腸」だけのヒドラの体には血液が流れていました。これは腸が血液を作っていたからです。人間の腸の上皮の細胞も、上皮の下の神経も、ヒドラの時代と大して変わらない姿で働いています。人間も腸で造血しているという説(千島学説)があります。
骨髄で造血しているというより全然説得力がありますね。
〇腸がなぜ第二の脳と言われているのか
「脳腸相関」というものがあります。
簡略化すると、脳から腸へも腸から脳へも迷走神経を通じて信号を伝達しているため、精神疾患によって下痢になったり、腸内フローラが崩れたことによって情緒不安定になったりするという事です。
特に脳を駆動させる「駆動物質(情報伝達物質)」は腸で作られています。
例えば幸せホルモンといわれている「セロトニン」は90%が腸で作られます。腸内のセロトニン濃度がある閾値を超える迷走神経を通じて脳に指令が行きます。
つまり、腸の状態によって脳の活性度・反応が決まってきます。
また、それは腸自身の機能だけではなく腸内細菌の役割が大きいとも言われています。
〇血流量が高くなれば、脳は活性化する。
集中力と脳血流量の関係を調べた実験があり、
下図のように集中力が必要な作業中には脳血流量が増加しています。
集中と血流量に大きな関係があることが分かります。
例えばタバコを吸うと目が覚めるといった経験がある人も多いと思います。それはタバコに含まれているニコチンやタールによって血管が収縮することで、ホースをつまんだような状況となり、勢いよく脳全体に血液が巡り、目が覚めるような感覚になります。
脳を活性化させるには、脳全体に新鮮な血液を巡らせることが重要です。例えば屈伸や散歩など運動をしる事で、足のふくらはぎがポンプのような働きをし、脳内に血液を巡らせます。また、話したり、笑ったりすると横隔膜の運動により血流を高める事が出来ます。
つまり、血流を高める身体が作る事が出来れば、脳が活性化するのです。
- posted by 岩井G at : 9:01 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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