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2020年03月26日

考える身体のつくり方(2)~皮膚には考える機能がある

“感覚”といえば、「五感」
               

「五感が大事」とよく言われますね。自然を感じ取るための身体機能(人間の感覚機能)として、よく“五感”という言葉が使われます。

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この5つの感覚機能、触覚を除く感覚機能が全て“頭”に集中していることに気が付きませんか?

生物は“脳”に最も近い位置にセンサーを集めることで、外部の情報を素早くキャッチできるように進化してきたと考えることができます。

 

人類は、感覚機能で受信したあらゆる外部情報を全て脳に集め、脳が認識・予測・判断=思考して行動しています。人類にとって“脳”が最も重要な機能であると考えられているため、“五感”が取り上げられているように身体の感覚機能の中でも頭(脳)に近い機能がクローズアップされているともいえます。

 

また五感の中でも“視覚”が優位とされ、近代社会のあらゆるコンテンツは視覚情報一色に染まってしまいました。「視覚情報を受信→視覚情報のみで脳が思考」といった短絡的な思考が蔓延り、その他の身体感覚機能を置き去りにしてきた結果が、現代において「身体性の欠如(頭でっかち)」として表れているのではないでしょうか。

 

「他の生物と異なり人間だけが外部世界を認識してから行動できる特別な存在」というのは西欧・近代的な思想・考え方ですが、「どの生物も、まず行動(運動)があり、認識や知覚はその後に続く」というのが全ての生物に共通する行動様式であり自然の摂理です。

 

人類も含め生物には、五感以外にも感覚機能があります。

五感だけではない身体の感覚機能

下記は生理学の立場から見直された、「新しい「感覚」の分類」です。

1)特殊感覚:視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平衡感覚
2)体性感覚:触覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚、運動感覚、筋肉感覚
3)内臓感覚:臓器感覚、内臓感覚
感覚機能分類

これによると、感覚機能は大きく3つ(特殊感覚、体性感覚、内臓感覚)に分類されています。
“五感”という分類はなく、五感に近いものとしては“特殊感覚”とされています。ただしここに“触覚”は含まれておらず、
代わりに“平衡感覚”が含められています。

触覚が含まれている“体性感覚”とは、従来の触覚のように、単に「何かに触れる」というだけの外部にあるものを感じるという感覚ではなく、
「熱い」、「冷たい」、「痛い」などの身体表面の感覚と共に、筋肉運動を含む身体運動が結びついている感覚として位置付けられています。

「熱い」「冷たい」「痛い」と感じた時に反射的に身体が動くのは、皮膚表面でキャッチした感覚が直接筋肉を動かしているからです。
もちろん脳にも信号が伝達されますが、脳が「熱い」と認識する前に身体を動かしているのです。

この体性感覚の中心が“皮膚”であり、身体全体に拡がっている感覚機能です。

“皮膚”は感情を持っている

“皮膚”に感じる風の強さは、耳が聞こえない人にも目が見えない人にもわかります。このように皮膚感覚は、周囲に起こっている現象を知らせる事ができます。

また皮膚には、温かい、痛いといった感覚をキャッチする神経が備わっていますが、「心地よさ」「気持ちの悪さ」「怖さ」などの感覚は、実は皮膚でも感じています。「温泉に入ると、気持ちがよい」とか「触ってみたら気持ち悪かった」という感覚は“脳”ではなく“皮膚が”感じた感情です。
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「鳥肌が立つ」「身の毛がよだつ」「温かい人、冷たい人」「肌が合う、肌が合わない」など、皮膚感覚で感じた取った現象を表わした言葉が沢山ありますが、皮膚には「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などの駆動物質を受け取る受容体があることがわかっています。つまり皮膚は脳と同じように感情を持つことができるのです。

“皮膚”は「色」を見分けられる

皮膚には、目の網膜にある感光感覚器(光を検出する機能)と同じものを持っていることがわかっています。皮膚が紫外線を受けると、メラニン色素が分泌=「日焼け」することで紫外線から内部器官を守ってくれます。つまり皮膚は紫外線を感じることができます。また皮膚が赤外線(太陽光など)を受けると温かさを感じますが、これは赤外線を感じることができる証拠です。

「赤色の部屋は暖かく感じ、青色の部屋は涼しく感じる。」これは人が視覚で捉えた感覚です。ところが、目隠しをして同じように赤色、青色の部屋で実験した場合もほぼ同じ結果になるそうです。皮膚は可視光も感じることができるのです。
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目(視覚機能)は可視光しか感じることができませんが、“皮膚”は視覚機能を超えて、幅広い光(電磁波)を捉えることができる機能を持っているのです。

皮膚は「第3の脳」である

・皮膚には「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などの駆動物質を受け取る受容体があり、感情を持つことができる。
・皮膚には感光感覚器(光を検出する機能)があり、光(電磁波)を捉えて反応することができる。

というように、“脳”と同様の機能を持つことから「第3の脳」と呼ばれています。
「皮脳同根」(ひのうどうこん)という言葉があるように、受精卵が細胞分裂する際に皮膚と脳は同じルーツから生まれていることがわかっています。初期の生物が脳を持っていなかったことからすると皮膚の方が古く、皮膚から脳が生まれたと考えれば納得できます。

脳と同じ(もしくはそれ以上の)機能を持つ“皮膚感覚”は、人類が“考える(思考する)”上で重要な“考える”機能だといえます。

 

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