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2020年06月18日

仕事は質かスピードか

「巧遅は拙速に如かず」  (文章軌範)

これは、物事は素早く終わらせるべきだ、時間をかけて完璧を目指すより、不完全ながらもさっさと仕事をやり遂げた方がいい、という意味です。「文章軌範」は宗の時代に、南宋の政治家・学者であった謝枋得(しゃぼうとく)が編集した書。宋時代の名文を選び、高級官吏の登用試験・科挙の作文の模範として編まれました。日本には室町時代末期に紹介され、特に江戸時代後期以降に多くの人に愛読されたといいます。

一方、現代の意識はどうなっているでしょうか?ちょっと古いですが、社会人男女275人を対象に、仕事は「速いけど雑」or「遅いけど丁寧」のどちらを目指すべきか? をアンケート調査(2017年4月マイナビ学生の窓口調べ)したところ

・「速いけど雑」     59人(21.5%)
・「遅いけど丁寧」  216人(78.5%)

という圧倒的な差のある結果でした。

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改めて仕事において「質」を優先させるか、「スピード」を優先させるか、という問題について考えてみます。

まず仕事を会社全体の成果として捉えてみましょう。
会社として社会に何らかの製品やサービスを提供する場合には、「質」は評価(≒価値≒価格)や信用と連動する重要な要素です。いくら価格が安くても50点の自動車では事故が怖くて、誰も買いませんよね。

一方で企業は常に企業間闘争の中で生き残らなければなりませんから、「スピード」は外せません。競合他社に先んじることが市場における勝利につながることが多いからです。
「質」と「スピード」の折り合いを如何につけていくか、は経営戦略上、重要なポイントになるのです。

では次に自分の手元の業務にフォーカスをあてましょう。
これは業務内容によって大きく変わります。例えば、膨大なデータを整理し処理する事務作業の場合では、「正確(≒質)」さが重要。雑にやってしまえば、誰かがもう一度同じ業務をしてチェックしなければならなくなり、二度手間。さらにもし誤ったデータを使って次の仕事が進んでしまえば、大きな手戻りが発生し、結果として時間をより多く費やしかねません。業務の途中に関所を設けて自己チェックしながら進めることで、ミスを減らせば、結果的にスピーディに全体の仕事が進みます。

逆に企画書づくりなどは、スピードが命。企画業務は切り口が重要なので、50点の案でも素早く文字やカタチにすれば、上司やチームの仲間と議論が出来、それにより軌道修正や更なるブラッシュアップが可能になります。これを繰り返せば、企画書の完成度(≒質)は間違いなく上がります。
仕事における質とスピードは単純な二者択一ではなく、連動していると見るべきです。冒頭の「質」重視のアンケート結果は、仕事成果≒個人評価にズリ落ちているか?仕事における事務作業の比率が高いか?のいずれかを表しているのではないでしょうか。

ただスピードは期限設定ができるので、誰もが分かりやすく目標設定しやすいのに対して、「質」は実は分かっているようで捉えられない場合が多い。法律や制度などで設定された基準がその製品やサービスの質を保障するならば明確ですが、例えばクライアントのニーズにどれだけ応えられるか?が質を規定する場合、的確にニーズを捉えられているかどうかで質だけでなく、無駄なくスムースに業務できるというスピードにも関わってきます。

「仕事」とは相手の期待に応え届けること。したがって常に仕事全体の構造と進捗から、その中での自分の手元の業務に求められる役割を捉えて、それに応じて臨機応変に進めていく方法を変えていくことが、社会人として仕事の取り組むスタンスなのです。

※参考『ビジネスに効く教養としての「中国古典」超一流の常識』(安恒理著:朝日新聞出版)

 

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